はたしょう日誌

しぶたに学園 池田市立秦野小学校の
“今”をお伝えしています。

避難訓練

2018年06月08日 | 日記

今日は、付属小学校の悲しい事件から17年の日です。秦小でもこの日を忘れないため、そして自分事と考えるために不審者対応避難訓練をしました。

不審者(役の先生)が正門から侵入してきたという想定で、対応チームが向かいます。

警察への通報訓練(実際は架電していませんが)もしました・・・・

けが人には救急チームが対応します。救急通報(実際には架電していませんが)訓練も実施・・・・

犯人が確保されたという連絡後、全員が体育館に集まって、点呼・・・・全員の集合が確認されて訓練終了・・・・

校長と生活指導ユニットの先生たちからお話をしました・・・・

 

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今日は、童話をひとつ紹介します。

創作童話「タダシとキヨシと臆病メダカ」

 シブタン小学校の校長室の水槽には、メダカが八匹いて、校長先生が、毎朝こまめに世話をしている。それなのに、このメダカたちは、校長先生が水槽のそばにやってくると、何かを恐れたように水槽の中の岩陰や藻の後ろにすっと隠れてしまう。「ああ、私に人徳がないから、メダカを怖がらせてしまうんかなあ。」と校長先生は、いつもぼやいている。

今朝も水槽の掃除をやっていると、顔を強張らせた子どもが、担任のタカシ先生に抱きかかえられて校長室に入ってきた。「タダシやん。」いつもとまったく表情が違う。いつもは「校長先生の頭のコブ、触らしてやぁ。」と、かわいいちょっかいをかけてくるタダシなのに、今日はまったく違う。「どうしたん?」声をかけても、タダシは校長室から出て行こうと必死にもがいている。タカシ先生が「タダシ、一度落ち着こう。」と声をかけるが、その眼は、部屋の外をにらんで、「離せや。」の一点張りである。タカシ先生は、彼の体を抱きかかえてはいるが、決して声を荒げない。「タダシ、キヨシと何があったか、教えて。」実は、タカシ先生は、つい先ほど、教室でキヨシに掴みかかろうとしていたタダシを見つけ、クールダウンのために彼を抱きかかえて校長室に連れてきたのである。しかし、タダシは、かたくなに口を尖らせたままである。「タダシがそんなに怒ってるの見てて、先生もつらいねん。」

「キヨシに聞いてみなわからんな。だれか、呼びに行ける先生いてる?」校長先生が、職員室に声をかける。「私、行きます。」同じ学年のヒロコ先生が手を上げ、すぐに教室に向かった。ヒロコ先生は、キヨシを廊下に連れ出して、「キヨシ、タダシと何かあった?」と話かける。キヨシは、うなずく。朝、数人で追いかけあいをしていて、タダシの横を走り抜けたとき、たまたま、タダシにぶつかったようだ。「わざとじゃなかったん? そう。でも、謝ったん?」キヨシは、うなづいた。「でも、タダシには、わざとじゃないって伝わったかな。」「伝わってないかもしれん。」「それで、タダシは怒ってしまって、キヨシに掴みかかったんやな。」「そう・・・」「じゃあ、もう一度、ちゃんと説明して謝ろうか。」「うん。」

ヒロコ先生は、キヨシを連れて校長室に戻った。「キヨシにぶつかられたのが原因やったみたいやね。」ヒロコ先生が、タダシに話しかける。タカシ先生が「タダシ、そうなんか。」と尋ねる。タダシの体から、力が抜けて、ぽつりぽつり話し始めた。「オレが、教室にいて、ただ普通に立ってたのに、急にキヨシがぶつかってきて・・・痛くて。そんでも、キヨシ謝らんかって・・・」うつむきながら、タダシは話す。ヒロコ先生が言う。「わざとや、なかったみたいやで。」「でも、ぶつかってきたもん。」「何人かと追いかけあいして、たまたまタダシにあたってしまったらしいで。」「そうなん・・」「そんで、キヨシは謝ったゆうてるで。」「聞いてない。」「タダシは、かっとなってしまってたから、それが聞こえんかったんちゃうんか。」「・・・」「キヨシ、もう一回謝りたいってゆうてるけど、聞いたってやれるか?」タダシは無言のままである。「キヨシ。タダシは、わざとぶつかってきたと思ったらしいで。急にぶつかられたら、無理ないわな。」と、タカシ先生。すまなそうな表情でキヨシはタダシの方を見た。タダシもキヨシの顔をちらっと見た。「キヨシ、もう一回、ちゃんと謝ろうな。」キヨシは、「痛い思いさせてごめんね。」と謝る。タダシは、ゆっくり顔を上げて「いいよ。」と応じた。「二人ともこれでええな。」二人とも穏やかな表情でタカシ先生に応えた。

そのとき、ふと視線を動かした二人の眼に、水槽の姿が映った。「校長先生、メダカ見ていい?」「ええよ。けど、ここのメダカは臆病やから、なかなか姿をあらわさへんで。」二人は、水槽の前にちょこんと座り込んだ。すると、ふだん、なかなか姿をあらわさない臆病なメダカたちが、すっと水槽の前面に姿を現した。「タダシ、さっきの怖い顔つきじゃなくなったなあ。それを感じて、メダカも安心して出てきたんやで。」とタカシ先生が語りかける。「ほんまや、メダカ出てきた。」「何匹おるか数えよか。」二人は一緒にメダカを数え始めた。さっきと校長室の空気が一変しているのがよくわかる。そして、数分後、二人は「失礼しました。」と、きちんと挨拶をして教室に帰っていった。タカシ先生も二人を見守るように、その後をゆっくり歩いていく。

その姿を見送って、今度は校長先生が、「メダカたち、よく出てきたね。」と水槽をのぞきこんだ。すると、その瞬間、メダカたちは再び、すっと、岩陰に隠れてしまった。「まだまだ修行が足りませんね、校長先生。」ヒロコ先生がつっこむ。「あの二人には負けたね。」そして、校長先生とヒロコ先生は、廊下をほっこりと歩く三人の姿をいつまでも見つめていた。

(この話は、フィクションですが、こうした出来事の解決をともに経験して、子どもも教師も育ってゆきます。)