進化は深化でもあります・・・・
11月のとある夕方。「ハコでーす。5才でーす」勢いよくハタ兄に手を引かれてハコちゃんが職員室に走り込んできました。
「ねえねえ、ハタ兄。この中で一番、餅つきで餅をつくのが上手な人はだあれ?」「それは、もう、秦小一のキン肉マン、イッセイ先生でしょう」「じゃあ、イッセイ先生。何で餅つきは12月にするの?」ここでハコちゃんからいつもの鋭い質問が放たれました。「何で!?」と、とまどったイッセイ先生でしたが、しばらくして「たまたま、12月はみんな暇だから。だって、他の月は行事が一杯だけど、12月はそんな何にも・・・・」と答えた瞬間、ハコちゃんの顔が急に膨張し、頭からは煙が噴き出し、ポオオーという汽笛とともに「ぼーっと生きとるんやないでぇ!!」という叱声が職員室中に鳴り響きました。驚くイッセイ先生を尻目に、今度はハコちゃんの冷静な声が聞こえました。
「餅つきを12月にするのは、お餅には神様が宿るかあらぁああぁ」すると突然、職員室のテレビから「お餅には神様が宿ることも知らずに『餅つきは寒くなってするほうが感じが出る』とか言ってる先生たちの何と多いことか」と、ナレーションが流れ、画面には秦野のことなら何でも知っているハタノ大学民俗学研究所のハタベエ教授が現れました。
「ハコちゃん、5才なのに餅つきの本当の意味を知っているなんてすごいね」そう言って教授は次のように話をしてくれました。「お餅は1年中、いつ食べたっていいわけですよね。でも、普通、お正月によくお餅食べるでしょ。それは、お正月とは年神様のお祭りだったからなんだ。」「えっ、お正月ってお祭り?」「お正月には年神様が家にやってきてね、毎年、新しい魂を授けてくれるんだ。だから、みんな毎年正月に1つ年をとるんだね。誕生日に年をとると考えてはいなかったんだ」「誕生祝いってなかったんだ」「そう。そして、年神様は家にやってくると丸い形をした鏡餅に宿ると言われていたんだね。神様は鏡餅に宿り、その年神様が宿った餅を家の主人が家の人に分け与えたのがお年魂(年玉)。その魂をいただいて体に新たな魂を入れるものがお雑煮というわけです。お餅とは神様が宿る聖なるモノだったんですね。」「だから、お餅は正月にやってくる年神様のため12月につくわけだったんだ」イッセイ先生は得心して膝を打ちました。教授はニコニコしながら、最後にハコちゃんに尋ねました。「ところで、ハコちゃんはお餅をどうやって食べるのが好き?」
みんなが何て答えるか注目しているとハコちゃんは悠然と答えました「寄せ鍋のシメに食べる薄切り餅のしゃぶしゃぶかな」5才にしてはシブすぎ!!