きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

真夜中乙女戦争

2022年01月20日 | 日本

 

最初に感じたこと、声がいいよねー、私の声がいい。
今作のイメージの大きな要因になっているような気がする。
そしてとても美しい映画だった。

冒頭で私がこの作品は110分で終わると名言したので思わずニヤッとした。
そっか、これから始まることが寓話であることを宣言したんだな、って。
東京タワーから街の夜景が逆さまに映り、ぐるぐる回り、現実世界と違う世界に行ったり来たりしているんだという導入でした。

難解かもしれないという評判だったけれど、比較的わかりやすい作品だった
ともかくネタバレを一切避けたので公開初日に鑑賞、
ファイトクラブをもう一度観ておこうかとも思ったけど時間がなく、観なくて正解だったかもしれない。

黒服に影響を受ける私という関係だけれど、実は黒服は私の中に存在するものじゃないかとも感じていて、柄本さんがあえて存在感を重くしないように演じているんじゃないかと思ったりもした。
池田エライザさん演じる先輩がもっとミステリアスな役かと思いきや、真っ当に存在していそうな、私を現実に引き戻してくれるような役割でしたね。
先輩に思いを寄せる私だけれど、恋愛というよりは、二人はとても似ていて、まるで双子のような関係性を感じた

ともかく廉くんのビジュアルがとても綺麗、ああ綺麗だな、、思わず何度も思ったけれど(エライザさんも綺麗)、彼の凄い所は、その綺麗さが演技の妨げにならないところですね。そして目の表情がいい。
ちゃんと私の佇まいでそこにいて、鬱屈とした大学生で、母親だったらつかみどころがなくてイライラする男の子だった。

出演者はほぼこの3人で、素晴らしいキャスティングでした。

あえていうなら、中盤の黒服が徒党を組んで反社会的にエスカレートしていくあたりが少し弱いというか、もっと過激で危険だったらよかったけれど、逆に今の時代は凶暴性が見えない方がリアルなのかもしれない。
その後に続くラストまでの流れが良かった。
私と先輩が向かいあう場面、私と黒服が対峙する場面からのクライマックスは息を呑んで観た。
東京が破壊される映像が感動的に綺麗で最高のエンディング。
私がコロナ禍の今を笑顔で生きていると信じたい。

ビリーアイリッシュの曲を聴きながらのエンドロールの余韻がとてつもなく気持ちが良かった。

面白かったです☆

 

 

真夜中乙女戦争  2022年 
監督:二宮健
出演:永瀬廉、池田エライザ、柄本佑

上京して一人暮らしを始めるも友人も恋人もできず、大学の講義も身が入らず無気力な日々を送る大学生の“私”(永瀬廉)は、ひたすら東京タワーを眺めていた。やがて「かくれんぼサークル」で出会った美しく知的な“先輩”(池田エライザ)に好意を寄せるようになるが、人の心を一瞬で支配する謎の男“黒服”(柄本佑)と出会ったことで状況は一変。黒服と二人でささいないたずらを繰り返していくうちに、私は全ての退屈を破壊する“真夜中乙女戦争”という名の東京破壊計画に巻き込まれていく。

 

No.3


浅草キッド

2022年01月20日 | 日本

 

たけしが若い頃に浅草のストリップ劇場で働いていたことはなんとなく知っていたし、師匠の存在やエピソードもうっすらと聞いたことがあるような気がするんですよね。
なので物語の展開としては目新しモノではなかったんだけれど、
正直にね、良すぎてびっくりしました。

特筆すべきはビートたけし役の柳楽優弥の演技、凄まじく素晴らしかった!!
外見の印象は全く違うのに、何気ないしぐさや表情や立ち姿がたけしそのもので、ビートたけしが憑依したようで、マジで驚いた。

そして師匠の大泉洋が、笑われるんじゃない笑わせるんだ!という芸人として矜持を持ちながら、劇場にこだわりテレビに出演しなかったことから「幻の浅草芸人」と呼ばれた深見を凄い熱量で演じてました。
颯爽とストリップ劇場に入っていく様が粋でかっこいいんですよね、まさに昭和の粋な芸人。

時代背景が懐かしくて泣ける。
人間関係が希薄になりつつある今だからこそ、こういう師弟関係を拝見すると胸が熱くなる。

ネットフリックスでありがたく観ましたけど、近場の劇場で上映してくれたら、夫を連れて観にいきますけどねー。

満足すること間違いなしの作品でした。

 

 

浅草キッド  2021年   ☆☆☆☆☆ 
監督:劇団ひとり
出演:大泉洋、柳楽優弥、門脇麦、土屋伸之、鈴木保奈美

昭和40年代の浅草。大学を中退後、たけし(柳楽優弥)は「ストリップとお笑いの殿堂」と言われる浅草フランス座に転がり込み、「幻の浅草芸人」と呼ばれていた深見千三郎(大泉洋)に弟子入りする。東八郎や萩本欽一など、お茶の間を席巻していた大人気芸人を育てた深見の下で、たけしは大成することを目指し笑いの修行に勤しんでいた。しかしテレビが普及するにつれ、演芸場の客入りは減る一方だった。

 

No.2


ドライブ・マイ・カー

2022年01月20日 | 日本

2時間59分の長尺で、体感としてはもっと短かったけど、集中力が必要な映画館で観るべき作品。
とても良かった。
感じること(考えること)が多くて、感想を聞かれてひと言で説明できないよね。
物語が収束するというよりも広がって終わった感じで(←もううまく説明できてない)
ウェルメイドとか、伏線が回収されて納得とか、カタルシスですっきりするとか、そういう次元で語れないものだった。

始まりはえっ?という印象。
舞台俳優の家福と妻の音との不思議な夫婦関係と、家福の喪失感の理由をアバンでじっくりと描く。長かった。

大切な人を失った人の喪失と再生の物語。
ひと言で説明するとそうなっちゃうんだろうけどちょっと違う。

入れ子方式で描かれるのが、広島で行われた演劇祭の演目チェーホフの「ワーニャ伯父さん」
9ヶ国語で演じていて、普通ならコミュニケーションできるはずのない異なる多言語で会話するの。
これが面白かったですね。
言語とは何か、というか、コミュニケーションに必要なものは何だろうって考えるよね。
演じるってどういうことだろう、、とか。
本読みの場面が延々と繰り返されるの、凄いよね、ちょっと規格外(笑)、でも必要だったんだろな。

そして演出家の家福が結果として演じることになって、人は悲しみや後悔を抱えながらも生きるしかないと、自ら答えを示すように家福自身が演じる。
韓国手話は音を発しなくても、シンプルにダイレクトに伝わる感情があって素晴らしい、感動しました。

タイトルどおり、家福の愛車サーブでドライブする場面が物語の中心で、車の中でいろんな会話がされるんだけど、
高槻と奥さんとのその後の話(物語)はちょっとびっくりした。
結果として彼のその後の行動が物語を動かしたけれど、わかるようなわからないような、、でも人生ってそういうもんだよな、、説明のつかないことってある、という謎の説得力がある。
高槻と家福は対極にいるよね。

人と人とが分かり合う方法、伝え合う方法の話をしていて、声とか演じることもテーマのひとつ。

本読みは感情をこめずに言葉ではなく声で発する。
亡くなった妻の声で、車の中で台詞を繰り返し流して練習する。
みさきの母との話、本当のことかどうかはわからないけれど、母は心からその言葉(声)を発してた。

声にこだわっている意味はなんだろう。
と同時に車の中の会話だからか、言葉で説明することが多くて、それで違和感ないことが面白いと思った。

エピローグは韓国でしたね。
コロナじゃなかったら撮影は釜山で行われる予定だったらしいので韓国なのかな。
晴れ晴れとしたみさきの表情で納得したけれど、観る側に結末を預けているのも好きです。

タイトルを聞いて最初に浮かんだのは、ビートルズの「ラバーソウル」
1曲目が「ドライブマイカー」で2曲目がシタールで始まる「Norwegian Wood」ノルウェイの森
高校生の時に繰り返し聴いた大好きなアルバムなんだけど、なぜか村上春樹さんで繋がって面白いと思ったのでした。

 

 

ドライブ・マイ・カー  2021年  ☆☆☆☆☆
監督:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生
原作:村上春樹

脚本家である妻の音(霧島れいか)と幸せな日々を過ごしていた舞台俳優兼演出家の家福悠介(西島秀俊)だが、妻はある秘密を残したまま突然この世から消える。2年後、悠介はある演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島に向かう。口数の少ない専属ドライバーの渡利みさき(三浦透子)と時間を共有するうちに悠介は、それまで目を向けようとしなかったあることに気づかされる。

 

No.1