きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

ノマドランド

2021年04月03日 | アメリカ・イギリス

 

同年代なので、我が事のように受け止めながら没入しました。
自分はできるのかと。
そもそも絶対無理だということは承知の上で想像はしてみる。
身体は若い頃のように動かないし、いつ病気になってうごけなくなるかわからない、漂流する高齢労働者たち、というフレーズが重い。

アメリカでノマドがサブカルチャーとして存在し、車上生活を選択する人も増えているらしいけれど、今作は高齢労働者なんですよね、60代以上。
年金が少なすぎて家賃や住宅ローンが払えずに車上生活を選ぶ人が多いらしい。

企業倒産で暮らしていた街ごと消失し(郵便番号がなくなる)、夫を亡くし車上生活を選択した。ファーンも家があり、そこで暮らせるのならば旅にはでなかったはず。
ノマド初心者だったファーンが、クリスマスの時期はアマゾン配送センターで、夏は広大な国立公園での清掃、レストランでの調理、季節労働者として暮らしながらノマドの人たちと出会って変化していく。

正直なところ、車上生活を選択するしかない、ホームレスに近いイメージを持って観始めたんだけど、観ているうちに違うことを知らされた。
そもそも根本から違った。
どう生きるかという話であって、貧困や格差を描いた話ではなかった。

一緒に暮らそうと願う家族(妹)や友人はいるんですよね、最初は夫を亡くして天涯孤独な人だと思って辛かったんだけど、頼れる人がいないわけではない。でも彼女はノマドの暮らしを選択した。
思い出に囚われ、モノに囚われた人生から自由になる道を選んだ。

登場するノマドの人たちは実際の車上生活者だそうです。
自分語りをする場面があったので、もしやと思ったけれど上手に演じていて驚きです。

雄大な風景のなかを道を移動しながら生きていく。
すべて自己責任でひとりで生きていく。
しがらみに縛られず自由に誇りをもって生きることに感銘を受けつつ、
同時にリスクを抱えたノマドの暮らしを選択せざるえない人の現状も描いているところが稀有な作品だなと思ったのでした。

 

 

ノマドランド  2021年   ☆☆☆☆☆
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ、ボブ・ウェルズ
原作:ノマド 漂流する高齢労働者たち

アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。



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