はにかみ草

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宋 連玉(そん よんおく)『脱帝国のフェミニズムを求めて 朝鮮女性と植民地主義』

2009-12-29 01:09:19 | 公開
今読んでいる本は、宋 連玉(そん よんおく)さんの『脱帝国のフェミニズムを求めて 朝鮮女性と植民地主義』有志舎 (2009年)です。
本のタイトルからして、読んでおかないといけない本だと思いました。

まだ途中までしか読めていませんが、本書は「植民地主義を克服するために如何なるフェミニズムが有効なのか」(11頁)という観点から書かれています。「日本の女性史研究が植民地主義に鈍感だという評価も否定できない」という批判もあり、「朝鮮の女性たちが植民地主義と闘いながら女性解放を願ったこと」について、3・1独立運動に参加した金マリアの思想の分析や、上海で樹立された臨時政府の憲章の歴史的意義なども紹介されています。(憲章には「大韓民国の人民は男女、貴賎および貧富の階級がなく、一切平等である」という条文があるそうです)

植民地統治下で朝鮮の女性がどのように闘ったのかという歴史は、私はほとんど知らなかったことです。本書には著者が日本軍「慰安婦」の女性をたずねたときのことや、済州島(ちぇじゅど)4・3事件を経験した生野区(いくのく)の女性の証言もあります。

「植民地統治下の社会運動に参加する女性にとって もっとも脅威となったのは官憲による性暴力である(47頁)」という状況で、「男女の不平等を存続させたままの民族独立はありえない」と熱弁をふるう女性もいたと書かれていて、ものすごく危険な状況のなかで植民地主義批判と同時に性差別撤廃の声をあげるなんて、どれほどのことだったのかと想像することしかできません。

第1章「植民地主義とフェミニズム」には著者の個人的な経験も書かれていて、そのなかにどきっとする言葉がありました。

「数少ない女子学生の前で、「女に学歴は必要ない」などと無神経に言ってのける在日朝鮮人男性群にうんざりし、当時一世を風靡(ふうび)したウーマン・リブの思想に心惹かれながらも、その頃の私はなぜか日本の女性たちに同一化することはできなかった。
 多くの歳月が流れた後に、その理由を考えて見るのだが、それはやはり私個人の行く手を遮るのは民族差別であり、日本社会の在日朝鮮人への無知と偏見への失望からだったろう。
 当時私が知り合った日本人女性の持つ枠組みは、日本という国民国家を前提とし、もっぱらその中で性差別を問うものであった。彼女たちは職場での性差別を問題にし、経済的自立を説き、セクシュアリティの平等を叫んでいたが、私たち在日朝鮮人は特別な例外を除いて、男女ともに日本の企業に就職することすら不可能に近く、経済的自立など夢のまた夢だった。」(8-9頁)


「日本という国民国家を前提とし、もっぱらその中で性差別を問うもの」というところは、活動をするうえで常に気をつけないといけないところです。。

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3 コメント

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買いました (tajitaji)
2010-01-05 11:29:28
 宋連玉さんの書、です。
 買ったというより、また買ってしまったかな。机の上、未読の書でいっぱい(涙)
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Unknown (ぅきき)
2010-01-05 16:22:05
わー。ブログ読んでいただいてありがとうございます。この本すごい良かったですよ。また某会のリクエストにでもあげましょう。

私もこれから4冊ぐらい届くので、がんばって読みます。ソニアリャンさん、ちょんよんへさん、戴エイカさんの本と同じぐらいいい本です。

戴エイカさんにはいつかお会いしてみたいです。いつもいい本紹介していただいて しえしえ!です。
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Unknown (ぅきき)
2010-01-05 20:44:59
また買ってしまいました。
カリフィアの『セックス・チェンジズ』と、イリイチの『シャドウワーク』…。カリフィアの本高すぎです。合計5000円もしました。古本でなかったし。。しばらく買うのやめます。
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