はにかみ草

。。考えたこととか感じたことをいろいろ書きます。。

3月中に読みたい本&最近読んだ本

2009-03-07 00:23:54 | 公開
仕事がもうすぐ始まるので、それまでに何とか読みたい本を読んでおきたいと あせっています。

これから読みたい本は、
山下英愛(やました よんえ)『ナショナリズムの狭間から―「慰安婦」問題へのもう一つの視座』明石書店、2008年。

山下さんはダブルで、姓は母方の名字らしいです。名は分かるように朝鮮語読み。
(ということを、友人のliangさんのブログで知りました。
http://ameblo.jp/tajitajir/entry-10217454676.html

この本を卒論を書く段階で読んでいなかったことは反省です。。
ナショナリズム批判をおこなっているそうなので、それがすごく気になります。

ちなみに早尾貴紀(はやおたかのり)さんが、ブログで書評を書かれています。
おすすめ!
http://hayao.at.webry.info/200808/article_7.html

山下さんといえば、権 仁淑さんの『韓国の軍事文化とジェンダー』御茶の水書房 、2006年 の訳者ですね。
この本は、韓国の民主化運動内における性差別や、韓国の徴兵制、軍隊内の性暴力、ある女性活動家のライフヒストリーなどが書かれていて かなりよかったです。

ちなみに山下さんは、京都の反戦生活という集まりのイベントに来られていました。(日程的にいけなかったのが残念です。)
「反戦生活・韓国徴兵拒否企画 21世紀のみんなのいやなこと」




2冊目。これも友人の紹介ですが、宋 安鍾『在日音楽の100年』(青土社、2009年

在日朝鮮人のラッパーのKPのことも書かれているらしいので、それが一番気になってます。
KPのHP→
http://www.kpstyle.com/
(ちなみに私は「根無し草」、「Baton」、「chalenger」という曲が好きです。
「Baton」という曲については、以前「下関市教育長の発言「植民地支配は歴史的事実に反する」というエントリーで書きました。)


リンク先の青土社の紹介文から引用します。

「「在日」 文化の軌跡と可能性
戦前興行界を湧かせた幻の女性歌手・演芸人、龜子(ペグジャ)。戦後ジャズブームに頭角を現し、日韓をまたいで活躍した吉屋潤の栄光と挫折。そして今日までの歌謡曲・フォーク等の歴史を彩る二世、三世、四世たち。彼らの背負ったものと勝ち得たもの、そして未来とは――。「失郷民(シリヤンミン)」 のうたの知られざる消息を掘り下げ、あらたな 「在日」 文化の可能性を展望する。

国家・民族のはざまに引き裂かれ、一国音楽史の下では“包摂”あるいは“黙視”されてきた在日韓国朝鮮人の歌手・音楽家たち。植民地時代から約100年の時をへて、「多民族国家」 という建前のさらに向こうへ、かれらのうたの軌跡と未来をさぐる、画期的音楽史。」



3冊目は、道場親信(みちばちかのぶ)『抵抗の同時代史 軍事化とネオリベラリズムに抗して』人文書院、2008年 です。
詳しくは、洛北(らくほく)出版さんのブログに


* * * * * *

最近読んだ本です。

デヴィッド・クレーバー『アナーキスト人類学のための断章』(以文社)

明日の研究会の課題図書なので読みました。
「書迷の読書日記」さんの書評↓
http://d.hatena.ne.jp/gemingdeshumi/20090228


姜信子(きょうのぶこ)『棄郷ノート』(作品社、2000年)

めーちゃくちゃ よかったです。
またまた「書迷の読書日記」さんの書評にもくわしいですが、本の帯には「故郷、民族、国家。美しき幻想の装置」と書かれているように、反ナショナリズムで、民族主義とは距離を置いている本です。

「親日派」として知られている小説家、李光洙を論じながら、
韓国、上海、満州を著者がたどっていく旅で思考されたことが書かれています。

著者は「日本人」でも「韓国人」でもないというスタンスで、
「故郷」を棄てる旅をするために韓国を訪れるのですが、
そのときに地元の人々に「女なのに訪ねてくるなんて」と何度も言われる場面があって、それに驚きました。
お墓や族譜のことでは女性ではなく男性が取り仕切るべきことだとされているようですが、でもわざわざ訪ねていったのに「女が」と言われるなんて・・・。

著者が韓国を離れるときに 特別な情もわかなかったと1章の最後に書いていたのが印象的でした。

あと上海編では、朝鮮独立のための大韓民国臨時政府についても書かれていて、
中国に関する記述があると どうしてもすぐに飛んでいきたくなってしまいながら読んでいました。

私は将来、中国か台湾に亡命して暮らす予定です。



あと読んだのは、文 京洙(むんぎょんす)さんの『済州島現代史―公共圏の死滅と再生 』新幹社 (2005年)と、玄 基栄(ひょん ぎよん)、 金 石範(きむ ソッポム)『順伊(すに)おばさん』新幹社 (2001年)

どちらも済州島(チェジュド)四・三事件に関わる本です。

(『順伊おばさん』はまだ半分しか読んでいません。
この本の素晴らしい書評は、オモニハッキョのFさんが書かれています。
4・3事件って何?という人はご一読ください。
http://d.hatena.ne.jp/F1977/20090118

読んだ理由は、週に1回通っているオモニハッキョにはチェジュド出身のオモニが多いし、4・3事件や朝鮮戦争以外の済州島の歴史も知りたかったからです。


チェジュドの社会運動や、海女さんの籠城闘争が書いてあったり、パクチョンヒの経済政策に異議をとなえるために焼身自殺をした労働者の話があって、時代背景は違うけど京大のストライキのことを思い出しました。
「済州島開発特別法」に反対するために焼身自殺をした梁龍賛という人物のことも初めて知りました。

(特別法は、半島=陸地(ユッチ)の財閥や資本が、チェジュドを観光資源として開発しやすくするための法律で、農民の土地を収奪したり それによって生きていけなくなる島民が多いことから猛反対にあった。)

焼身自殺は昔よくあった抗議の意思表示なのでしょうか。
そこまで追いつめる権力側も憎いけど、焼身自殺をされてもびくともしない権力者っていそうな気がします。
血も涙もない人なら、人が死んでも知らんふりをするのかもしれません。


ということを別の場所で書いていたら、ある友人が
焼身抗議した全泰壱(チョンテイル)さんの映画「美しい青年」について教えてくださいました。
http://www.hf.rim.or.jp/~t-sanjin/pakkwansu_chonteir.html