はにかみ草

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休息日の読書 日本台湾学会の論文集

2009-09-21 21:53:02 | 公開

今回の休みの日のあいだに、友人にゆずっていただいた日本台湾学会の論文集を読みます。そのかたには、いろいろ台湾の情報を教えていただいて、すごく感謝しています。

第11回のシンポジウムの内容は、「台湾原住民族にとっての霧社(むしゃ)事件」です。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jats/taikai/taikai11.html


むしゃ事件でネット上で読めるものは、在台の安穏日記さんの記事などがあります。

→「夏旅その7 霧社」http://d.hatena.ne.jp/annoncita/20090914/1252919167

日本の植民地支配に対して、原住民が蜂起し、それを日本軍が毒ガスなどを使って原住民族を虐殺した事件です。
論文集には、事件の遺族の Takun Walisさん((漢名:邱建堂さん、南投県仁愛郷公所民政課長)が論文を書かれています。
あらためて証言を読んでみると、日本人が原住民族にしたことのすさまじい暴力がいくつもあります。

奴隷や動物のように労働力を奪い、山地の自然を収奪し、原住民同士で殺し合いをさせ、日本人が原住民のの様子を偵察するために原住民族の女性を「娶(めと)」い、経済的な封鎖も行い…。


このような歴史が日本の教科書に書かれていないことからして、加害の事実を学校で教えることから逃げているということを意味すると思います。

「起義」(=蜂起)は、日本人支配者に対する怒りと耐えがたさから起こり、数十年間その事実を語れない状況にあったその事実を無視して、「台湾は親日の人が多い」というのは、日本人の多数派の歴史認識でしょう。



私が数年前、中国に1ヶ月留学に行きたいということを年配の親戚に伝えると「何で「支那」なんかに」という反応をされました。なのに今度台湾に行きたいと伝えると、「台湾料理っておいしいんやろ。台湾は行きたい」という返事が帰ってきました。
この裏返したような反応には驚いてしまいました。

「何で「支那」なんかに・・」という言葉には、中国に言っても何も学ぶことがないとか、危険で社会主義の危ない国といった否定的なイメージがあるんだと思います。もちろんものすごく気分が悪いし、そんな認識を持っているのは歴史を直視しない態度から来ているのでしょう。

ほかの人にも台湾に行きたいということを話すと、「台湾は親日的なんでしょ」と言われます。この「親日=台湾」、「反日=中国、韓国」といった二項対立の図式も、小林よしのりや大手のメディアによってつくられたイメージであって、そのような二項対立の枠組みを使って相手に反論したくはありません。
そんな枠組みにはあてはまらない、多様な歴史観があるからです。

日本人の学生のなかにも、「中国のお土産なんていらん」とか言うひともいるみたいです。(一緒に南京に行った学生から聞きました。)

その一緒に行った学生のなかにも、歩いてる中国人を見て、「日本ではあんな格好せーへんよな」とか言いながら、馬鹿にしてる人が数人いました。本当にものすごく気分が悪くて、今でもあからさまな蔑視が存在してることを感じました。一体中国に何をしにきたんだと言いたくなります。

原因は日本の教育にもあると思いますが、このような支配的な歴史観とは違う、少数者からの歴史も、ちゃんと学ぶ必要があると思います。




あとは、「台湾セクシャル・マイノリティ文学―邱妙律『ある鰐の手記』」という本も買ったので、近いうちに読みたいです。台湾のレズビアン文学で有名らしいです。

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