これ最初に聴いたのも前に書いた先輩の車の中。当時ちょうど「ワールドミュージックブーム」なんて言われてて、米英以外のポピュラーミュージックにも注目が集まりだした頃だった。確かに今まで見かけなかったような種類のアーティストのCDを店頭で見かけるようになってた。これは花男がその「ワールドミュージック」と呼ばれるものを聴き始める様になったきっかけの作品。それまでは「ワールドミュージックって何?」って感じだった。
サリフさんは西アフリカの「マリ」と言う国出身で、アルピノ(以前TVで姿を見たことがあるが真っ白だった)で目がちょっと不自由な人らしい。当時アフリカの音楽って言うとどちかというと「野生」なもんだと思っていた。もっと言うと太鼓ボコボコ叩いて「うんば!!」とか言ってるんじゃないかと・・・・とんでもないイメージを持っていた。「日本人にはいまだに"サムライ"が一杯居て、何かっつうとすぐ"ハラキリ"する。女の子は15歳になったらみんな"ゲイシャガール"にならなくてはいけなくて、何処からでも"マウントフジ"が見える」と思ってる欧米人と大差ない。我ながらひでえ野郎だとは思うが、今ほど情報も豊富じゃない時代の二十歳そこそこの平均的なお馬鹿な若者なんてそんなもんだったんじゃないかな?無意識にだけど、欧米に対するコンプレックスと「第三世界」と呼ばれる国々への無根拠の変な優越感見たいな物はあるでしょ?今でこそ・・・いや俺は今でも多少あるなあ・・・・わかっちゃいても染み付いたものは取れないらしい。
で、これを耳にしたとき、まずはその洗練されたサウンドに驚いた。それまで聞いてきた欧米の音楽や日本のどの音楽と比べても「洗練」と言う言葉がぴったり来るように感じた。次に耳に飛び込んできたのはサリフさんの声。「すっげええ!!」と思わず声を出した。「最強の喉」と言う言葉がぴったりだ。リズムは欧米の黒人音楽とかに比べるてより緻密で複雑でタイトな感じを受ける。ともかくはまった。こんなところにかっこいい音楽が隠れてたのかと驚いた。
そこからワールドミュージックと呼ばれるものも聴くようになる。で聴いていくうちに判ったのは、「良いものもだめなものもある」っつう事。平行して欧米・日本の音楽も聴いてたし、まあ乱暴に言えばおんなじ物=ポピュラー音楽。最初にその範疇で「極上」の音楽に出会えたことはラッキーだった。おかげで「先入観」で敬遠すると言うことが減った様に思う。ということで、出会いの選択肢が広がったと言う意味でもこのアルバムと紹介してくれた先輩には感謝。先輩の車の中でこのアルバムを聴いてなかったら決して手に通ることは無かっただろうCDの中に、一生もんの出会いも結構あった。
最近また新譜が出たらしい。「名作SOLOを超える傑作」みたいな記事を音楽雑誌で目にしたが、近所のCD屋では売ってない。出張で「都会」に出たら買おう。
「ワールドミュージックブーム」当時敬遠していたとか言う人が居たら、是非聴いてみてくださいな。今のほうが聴きやすいでしょ?普通に欧米の音楽(日本の音楽は「歌詞が直接脳を刺激する」と言う要素があるので別にして)に接するのと同じように接してみてかっこいいですよ。