花男の物置部屋 引っ越して3箇所目

備忘録的に食ったもん、読んだもん、聴いたもん等を書いてます。

「眠れる森の殺人者」 佐藤 青南

2024-08-21 17:16:39 | 活字もすっげえたまには読むぞ

音喜多弦&鳴海桜子とコンビシリーズ第四弾。シリーズこれまでの作品とタイトルの風情も表紙デザインの方向性もガラッと変わりましたね。

 

バイオリンを習っている小学校5年生の少女が行方不明になる。感情は乗らないが非常に長けた技術でバイオリンを弾く少女だった。防犯カメラに少女共に写った男性による誘拐の線で捜査が進む。音喜多弦&鳴海桜子は捜査の中であるバイオリニスト、10年前にCD1枚だけ残して「怪我による当面の演奏活動中止」としたまま消えてしまった蛯沢多聞の可能性が強いと行きつくが・・・行方の分からぬ蛯沢を追ううちに過去の別の事案への関与も見えて来て・・・二人は無事に少女を保護できるのか???ってな感じですか。

 

タイトルや表紙の方向性は変わっても、中身の方向性は変わって無いです。ひたすら食いまくりながら、肝要な所でビシッと切れる鳴海と保護者のような音喜多のコンビは健在で、きっちりそのキャラの関係性も活かしたストーリー展開。鳴海の父との再会と言うイベントも序盤にて。コメディも悲哀も味わい深い作品でした。

 

面白かったです。

 

 

シリーズ前作までの感想↓

「連弾」

「人格者」

「残奏」


「新! 店長がバカすぎて」 早見 和真

2024-08-16 20:32:23 | 活字もすっげえたまには読むぞ

宮崎県へ異動・・・左遷?されていたあの店長が、3年ぶりに吉祥寺本店に帰って来た。「店長お帰り・・・」とかも思った谷原京子=32歳だったが、いややはりこいつバカすぎる・・・加えてIT企業上がりの社長ジュニアやら、小説化されてしまった"武蔵野書店吉祥寺本店"にあこがれて入って来たバイトちゃんやらの新キャラも迎え、京子の実家の飲み屋は何やらバズるし・・・色々大騒ぎな第二弾・・・ですか?

 

もともとコメディではあるけど、コメディ度がさらに高いです。専務へのブチ切れっぶりからの後日談とかも、主人公反転の仕掛けとかも正統コメディでナイス。シリーズ物って、どっからでも読める作品もあるけど、こちらは完全一作目読んだ人用ですね。個人的には続編好きだし、一作目踏まえての羽目外しっぷりもきっちり堪能できました。そして次作に向けての新キャラのチラ見せも最後に??

 

非常に面白かったです。

 

 

 

前作感想↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

「店長がバカすぎて」 早見 和真


「店長がバカすぎて」 早見 和真

2024-08-16 01:49:41 | 活字もすっげえたまには読むぞ

 

吉祥寺の書店にて契約社員として書店員を務める谷原京子=28歳。天然でイラつかせる店長の下、薄給や癖のある客=神様たちの傍若無人ぶりにも耐え何とか継続しているのはひとえに本が好きだから・・・もそろそろ限界。常に離職の道も考えながら今日も激務に耐えてます・・・と言う中で色々起こって最後には・・・???って感じですか。

 

お仕事小説で「店長がバカ」と言うタイトルからのイメージとはこちらで登場する店長のバカのベクトルは違ってました。ド天然で」無悪意な愛すべきバカだけど、絶対一緒に仕事はしたくないタイプか。主人公良いですね。後へ行くほど良いです。キレっぷりも素敵。他、脇を固める登場人物たちのキャラが良いので主人公及びバカ店長のキャラも相乗効果で活き活きしてきます。ミステリィ?的にはちりばめられた伏線は程よく分かりやすいのがむしろ吉ですね。そうでほしい方向へ誘導してくれる誘導力がある伏線たちです。本への愛と書店員/客商売の苦労もしみじみ伝わってきてお仕事小説としてもナイス。そして本質は素敵なコメディ。続編も読み始めてます。

 

非常に面白かったです。

 

 


「死んだ山田と教室」 金子 玲介

2024-08-14 13:58:27 | 活字もすっげえたまには読むぞ

 

2年E組の人気者だった山田が、夏休みの終わりに死んだ。猫を助けようとして飲酒運転の車に曳かれて死んだ。夏休み明けの教室は悲しみに覆われていた・・・そんな折開催された緊急HRの時、突然教室のスピーカーから山田の声が?? そして「死んでんすね、俺」と・・・どうやら死んだ山田は教室のスピーカに憑依して声だけの存在になったらしい。 死んでも明るい山田と2年E組の面々の奇妙でくだらないクラス生活が始まり・・・そしてそれはやがて・・・と言う感じですかね。

 

序盤のやたらばかばかしい青春コメディからの終盤の苦悩へと・・・まあ定番展開でしょうか。ファンタジィでコメディから始まり、本質は青春物。結果導入がピークで・・・設定が設定だけに、本線でももうちょっとひねりとか深みが欲しかった気がしなくもないですが・・・読み易く分かりやすい展開は変化球と見せかけた王道ですか。さらっと読むには悪くない作品かと。

 

まずまずとは面白かったです。

 


「私はチクワに殺されます」 五条 紀夫

2024-08-13 13:47:31 | 活字もすっげえたまには読むぞ

 

しばらく未読小説ストックが枯渇してて・・・久々です

死後2週間ほどで実の娘に発見された50代夫婦の無理心中の死体。死体以外にも異臭を放つ現場。つつましやか・・・と言うか貧困にその家には数万本とも思われるちくわに埋め尽くされていた。鴨居で首を吊った男の上着のポケットにはやたら長い遺書と思われるものが。その遺書は次の言葉で始まっていた・・・

「私はチクワに殺されます」

その男の手記、娘へのインタビュー、そして事件の真相へと・・・描かれた200ページに満たない短めの作品です。

 

しかしチクワ・・・今回も斜めから入ってきました(笑) ミステリィとホラーのハイブリッド型の作品ですね。最初の手記の章が個人的に読みづらく・・・ああ、御手洗物とかでもそういうことあるなとか踏んばって・・・読み切りました。笑いの基本は緊張と緩和by桂朱雀さんでしたか藤山寛美さんでしたか・・・ホラーやミステリィもそうですね。そういう意味では真っ当な組み立ての作品かと。興ざめしない感じで丁度よい終焉とホラーとミステリィの融合具合。過去作含めて3作中では一番薄めかも知れませんがまずます楽しめた感じでしょうか。

 

割と・・・面白かったです。

 

作者過去作感想

「クローズドサスペンスヘブン」 五条 紀夫

「イデアの再臨」 五条 紀夫