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お金ってなんだろう--マイケル・サンデルの白熱教室から

2012年06月16日 | ふと思ったこと

NHK・Eテレで、ハーバード大学政治哲学の教授、マイケル・サンデル氏の 5千人の白熱教室 「すべてをお金で買えるのか」[前編]」を見た。

サンデル先生の頭の中は、どれだけクリアーなんだと感心しきり。
相反する意見を聴き、受け入れ認めながら、折り合いをつけて、全体として一つの方向性に持っていく、その手腕がすごい。
民主主義が単なる多数決や、少数意見の排除に終わってしまうなら、民主主義などむしろ害、と常日頃思っていた私なので、民主主義の本当の良さを教えていただいたようで、少し希望が出てきた。
こういう人材が、国会で仕切りをしてくれたら、もう少し前向きで実りのある議論ができるのではないか、と思ったり。

サンデル先生のお話の中で、ちょっと興味深い事例を紹介していたので、記録しておきます。


事例1

スイスで、原発の核廃棄物の処分場として、アルプスの麓のとある小さな町が最も安全で適切であろうと議会で決まったのだけれど、そのためには周辺の住民の承認を得なければならなかった。
そこで、アンケートを取ったところ、周辺住民の51%の人の了承を得られた。
さらに、住民には、一人あたり年間6000ユーロのお金が支払われる、という項目を付け加えて、アンケートを取ったところ・・・
もっと同意が増えるだろうと期待していたのが、逆に25%に下がってしまったのだ。
これはどういうことなのか。
会場にいた人たちは想像する。ある人は、お金をもらえるということは、危険のリスクが高いと恐れを抱いたせいだと言い、またある人は、お金がもらえるなら、交渉次第でさらに高額のお金を得られる可能性があるからだろう、と言った。
しかし、理由は、両方とも違った。正解は3人目の女性が言った意見だった。
彼らは、危険のリスクはもともと理解した上で、あえてみんなのために、ひと肌脱ごうという犠牲的な精神を持って受け入れたのに、お金を受け取る事でその心が踏みにじられたような気がしたのだという。


事例2

イスラエルの保育園で、保育時間が終わって保護者に引き渡す、お迎えの時間が決まっているのだけれど、その時間によく遅刻する親がいるという。
度重なると、保育園でも仕事が終わらずいろいろな支障が出るので、経済学者の知恵を借りて、「迎えの時間に遅刻した保護者は罰金を支払ってもらう」というルールを作った。
これで、遅刻者は減ったのか。あにはからんや。
以前は、遅刻することに後ろめたさを感じ、時間に遅れないよう責任感を持っていたのに、お金を払えばいいのだという理由ができたので、まるで延長保育のような感じで今まで持っていた責任感や罪悪感は失われ、堂々と遅刻するものが逆に増えてしまった、という。




お金ってなんだろう。
お金さえあればなんでもできるし、お金をもらえばみんな喜ぶ、だからお金は万能だ、とそういうふうに思っている人もいるだろう。(経団連や原子力ムラ?。)
しかし、人の思いや心遣いをお金に換算しようとしてもそれは、経済学者の想像の範疇と全く違う答えになってしまうのだ。
人の心が踏みにじられ、モラルが失われしまうなら、市場原理が介入されてはならない場所もあるのではないか、とサンデル先生は問う。


で、突然だけど、今一番気になるニュース、大飯原発再稼働のこと。地元の人達の中には、経済的な理由から稼働してもらいたい人たちも大勢いるようだ。
ということは、再稼働することに賛成というのは、本当は正しくなくて(再稼働してもお金がもらえないなら、意味が無いだろうから)、お金がもらえるなら再稼働してもらいたいというのが本音だろう。
だったら、原発再稼働の有無はひとまず置いて、地元の方たちが(危険な原発なしでも)どうやって経済的に自立できるかということを、まず考えるべきではないのか、と思ったんだ。

それにしても、原発建設を地元に多額のお金を落とすことで引換にしてきた・・・このような日本の原発推進政策が、原発なしでは生きられないかのような原発依存の町を作ってしまった。
「命よりも目先のお金が必要」という人の気持ちはわからないでもないけれど、スイスの核廃棄物処分場の建設をめぐる事例で考えさせられたように、人の心の尊厳や気高さを、目先のお金で見失わないで欲しいと思わずにはいられない。

ところで、来週は、なんとサンデル先生の白熱教室、原発の再稼働の話をするのだというタイムリーさ。これは見なければね。





6月23日(土)午後2:00~3:00「これからの日本の話をしよう」[後編]
マイケル・サンデル教授が、東京国際フォーラムで5千人を相手に行った特別講義の後編をお届けする。議論をするのは、原発の再稼働、電気料金の値上げ、震災のガレキの受け入れなど、今日本が突きつけられている難問ばかり。しかしサンデル教授は、それらの議論を尽くしていくことで、日本は世界に向けて民主主義のお手本を示すことができると考えている。簡単には答えの出ない難問を5千人で議論していく。





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