虹色オリハルコン

命にエネルギーを与えるパワーの力

命からエネルギーを奪うフォースの力

どちらを選ぶかは自分次第

「土中環境」高田宏臣・著

2020年08月27日 | パワーな人々・パワーな本

宇宙から地球を見た宇宙飛行士たちが言葉をそろえるのが、地球が唯一無二の奇跡の惑星であること。
広い宇宙のなかで、水と空気と命のあふれる美しい地球は、神の力が働いているかのような奇跡だと言います。

だからといって、宇宙に出なければ私たちはそれを理解できないでしょうか。
マクロの世界もミクロの世界も、フラクタルであるなら、身近な自然、森林や土壌、河川、海、小さな虫の世界、観察するほどに同じように奇跡がつながっていると知ります。

その大いなる奇跡を起こす宇宙や地球を形作った人智を越えた力への畏怖や謙虚さを持つことは、今、起こっている気候変動や環境破壊を止めるための基本として絶対に忘れてはならないことと、この本を読んで強く思いました。



「土中環境」
忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技
 高田宏臣・著



フィールドワークと観察によって発見した事実の積み重ね、以前コメント欄で教えていただいた、「土中環境」はセンスオブワンダーにあふれ、目からうろこが落ちる驚きでいっぱいでした。
リアルな観察から導き出される土の中の環境は、たくさんの微生物などのネットワークが情報を伝えあってこそ生き続けていられる。

腸内細菌によって人体の健康がコントロールされるように、土中環境、土の中の血流とリンパの流れとも言える、水脈と空気の流れ、菌の活性化などが、土地の健康をコントロールしているということ。

腹という字の別漢字「肚」は人体を表す肉月の偏に、「土」と書きます。昔の人も同じ事を考えていたのだろうと思います。

スピリチュアル性を感じる前文も良かった。抜粋ですが・・



 被災地の環境の健康具合を調べて回り、昔の人の環境の造作の名残を見ていく中で、土地の豊かさを保ちながら、持続的に環境の営みを安定させようとしてきた、かつての素晴らしい知慧と造作にいつも驚かされてきました。見えない世界の存在をおそれ敬い、いのちの環境に対する傲慢な向き合い方を常に自省する姿勢があったことに、しばしば心を打たれます。

 かつては人間が理論的に実証で示せないものを、信仰や感性、本能的な感覚と歩調を合わせて、ごく当たり前に補ってきたことがわかります。

 いつしか私たちは、こうしたいのちの本能から体感的に把握される知慧を「非科学的」と称して蓋をしてしまい、不都合なもの、計量や実証で因果関係を示せないものに対して目をふさいできたように思います。

 その結果として、歯止めのかからぬ災害の広域化、次々と現れては深刻化する感染症、そして出口の見えない環境や気候の非常事態、私たちは解決の糸口すら見えないたくさんの問題を先送りにして積み上げてしまったのかもしれません。


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また、イラストや写真がたくさんあるので、具体的なイメージがしやすく説明もわかりやすくなっていた。
例えば、「森と海は水脈でつながる」の項。





矢印の濃いブルーは水の流れ、薄いブルーは空気の流れ


水脈と空気が行き来する健康な土中では、雨を吸い込んで地面の下を流れた地下水が海につながり、海底からミネラル豊かな湧き水が出てくる。湧水場では海藻が育って魚のすみかとなり漁場を育む。





海藻類が繁茂する海底湧水場





ところが、崖上の森林を伐採し、建物を建て、地面を固めてしまうと・・・
雨水は土中にしみこまず、土が乾き、表面だけをなぞって崖から流れていくため、崖崩れが起こる。






湧水もなくなり、その崖下の生態系は破壊される。






崩れて乾いた土と、植物の根がむき出しになった崖 




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リアルな自然は天の業とも思える行き届いたシステムで、人の想像の外側にまで広がっています。
机上の内側だけ、理論だけでは乗り越えられないものがある。

大型機械で一律に土地に線を引き、コンクリートで固めることで、土中環境の水脈と空気の流れを止め、それが全体の環境破壊や災害につながってしまうこと。
そして忘れ去れていた昔ながらの工法・技術が実は自然の理にかなっていたこと。
森林の中でマザーツリーとも言うべき巨木が、遠くの木々にまで養分を分け与えていたこと。
など知らなかったこともたくさんあって驚きました。

また、著者の高田さんは学者のようですが、そうではなく、造園家としてNPO法人を立ち上げ啓蒙活動と環境再生にも携わっている、それが素晴らしいと思いました。
著者がリアルナウシカと言われるのも納得の一冊でした。



OGPイメージ

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 感染症も環境の産物であり、恒常性の乱れや揺り戻しであると考える。人間ふくむすべての生き物は、菌類微生物ウイルスの無限の代謝連鎖と、その神業のような代謝連鎖系統の組み換えによって、いのちを維持している。

 こうした神秘的な自然の営みについては、自然を観る際、人が本来持ち合わせている、純粋なセンスオブワンダー(自然の不思議さに気づく心)によって気付かされるものであり、体感を伴わない知識の集積だけで得られるものではない。

 自然は無限のシステムであって、それゆえに今の分析実証の集積をどれほど積み重ねても永遠に到達できないのが、自然の仕組みである。有限は無限にはなりえず、AIがいくら発達しようが所詮は有限の計算能力でしかない。



上記は、リンク先の文頭を一部抜粋したものですが、最初からうなづきすぎて、むち打ちになりそうだっ!
こういう人が表舞台に出てきて、ちゃんと評価される時代にならなければならないと強く思います。

経済至上主義の価値が全世界を覆い、儲かるなら何をしてもいい、みたいな時代がずっと続いていました。
COVID-19の流行も、希少な野性動物を伝統薬膳と言ってカネに飽かして食べる、そういう人間のおごりと自然に対する姿勢、自然への無知が、きっかけになったものでしょう。

環境問題、気候変動。あらゆるところで限界が近づいている今。私たちが、迎えている意識の二極分化も、暴走する人類の価値を修正するために起こるべくして起こったとしか思えないものです。



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4 コメント

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まるっきり同感です (けんすけ)
2020-08-27 15:15:33
私が思っていたことが実証されたようで頷き過ぎました
新しい生活様式とはこれを基本的な考えとしてコロナだけでなく
人類のこれからの生活様式を見たような気がします
教えて頂いて有難うございました
返信する
けんすけさんへ (金木犀)
2020-08-27 19:06:54
こちらこそコメントありがとうございました。
私もコメント欄で教えていただいて、高田宏臣さんの存在を知り、
思わず、本を取り寄せてしまいました。
土木関係は詳しくありませんが、小さな庭の植物を育てながら、やはり土の大事さを実感しています。
けんすけさんも、うなずきすぎて、むち打ちにお気をつけくださいね。
コロナは、いろんな人たちに、いろんな気づきを教えてくれますね。
返信する
Unknown (ローズクォーツ)
2020-09-25 14:48:29
この本は、頭ではえぇーっ、そーなのかあ
と感心しつつ、少し半信半疑でも
気持ちの深いところでは
わかっている、知っている
と肯く自分がいます。

御嶽山 再生プロジェクト
の勉強会を覗いたりしてますが、近い所から
動き出さないと、と思います。
でも小田原も千葉も定員締め切り。
あまりな力仕事は遠回しにするしかなく。。。

高田さんは最近、土葬風葬研究会も
立ち上げられました。
お墓用に山を平らに切り、コンクリートで覆う。
それは、メガソーラーと同じような、環境破壊の一端です。

目を逸らさず、始まりの声を自分自身から
発する時代だと思います。
返信する
ローズクォーツさんへ (金木犀)
2020-09-25 22:33:45
良い御本を紹介くださって本当にありがとうございました。
すべてのトラブルは、現代社会の進み方が途中から何かがずれてしまった、
っていうことなのかと思ったりします。

>土葬風葬研究会

「○○家の墓」という石のお墓を作りだしたのは、明治の「家」「家長制度」という概念ができてからだということです。
それまでは土葬だったりするのですからね。
ブータンのように仏教の教えから魂が輪廻転生するという考えが根付いていれば、お墓で眠っているわけないですから(笑)
自然破壊の霊園の開発も不要ですよね。

>目を逸らさず、始まりの声を自分自身から
発する時代だと思います。

そうですね。
知識として知ることも大事ですが、それをもって、
自分になにができるのか、何をするのかということが一番大事なんだと思います。
現実を見れば、無力感に襲われますが、それでも
私も自分にできることは、やってくというスタンスでいます。
落ち葉で堆肥を作ったり、農薬や除草剤を使わないとか、
偉そうに言っても実はありふれていることしかできないのですが・・。
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