簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

事業所単位の期間制限の起算日は?

2018年10月12日 | 事業所単位の期間制限
今回は「事業所単位の期間制限の起算日」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



この「事業所単位の期間制限」は、いつから起算するかと言うと、



平成27年9月30日以降、その事業所(雇用保険の適用事業所)で

「新たに派遣開始した日」または「派遣契約を更新した日」

のうち「一番最初の日」となります。




よく勘違いされるのは、平成27年10月1日以降と思われている方が

おられますが、あくまでも派遣法は平成27年9月30日に改正された

ので、平成27年9月30日以降となります。



また、これもよく勘違いされるのですが、平成27年9月30日時点で

派遣期間の途中であった場合、起算日は、平成27年9月30日だと思われて

いる方も多いのですが、あくまでも、「平成27年9月30日以降、

新たに派遣を開始した日または派遣契約を更新した日のうち、

一番最初の日」となります。



派遣契約を平成27年9月30日より前に行うか、後に行うかによっても

起算日は変わってきます。




派遣契約を締結した日が平成27年9月30日より前の日(つまり、9月29日以前)

の場合は、派遣法が改正される前の法律(旧法)が適用され、

平成27年9月30日より後の日(つまり、9月30日以降)の場合は、

派遣法が改正された後の法律(新法)が適用されます。



具体例を挙げると



具体例 (1)

  ・ 派遣契約は平成27年ごろから契約していた

  ・ 派遣期間は3ヶ月更新

  ・ 契約期間の更新は、以下の通りである

     平成27年10月1日~平成27年12月31日(契約締結日:平成27年9月15日

     平成28年1月1日~平成28年3月31日(契約締結日:平成27年12月15日)

  この場合、事業所単位の期間制限の起算日は、平成28年1月1日となり、

  事業所単位の抵触日は平成31年1月1日となる。

  ※ 理由:契約締結日が平成27年9月15日であるから、この契約分は旧法が適用され、

        平成27年12月15日契約分から新法が適用される



具体例 (2)

  ・ 派遣契約は平成27年ごろから契約していた

  ・ 派遣期間は3ヶ月更新

  ・ 契約期間の更新は、以下の通りである

     平成27年10月1日~平成27年12月31日(契約締結日:平成27年9月30日

     平成28年1月1日~平成28年3月31日(契約締結日:平成27年12月28日)

  この場合、事業所単位の期間制限の起算日は、平成27年10月1日となり、

  事業所単位の抵触日は平成30年10月1日となる

  ※ 理由:契約締結日が平成27年9月30日であるから、この契約分から新法が

        適用されるため







http://haken-higashitani.com/




(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf



期間制限のクーリング期間

2018年10月12日 | 事業所単位の期間制限
今回は「期間制限のクーリング期間」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



この「事業所単位の期間制限」「個人単位の期間制限」の両方に、

いわゆる「クーリング期間」の考え方が設けられています




事業所単位の期間制限におけるクーリング期間は、その派遣先の

事業所(雇用保険の適用事業所)に、「有期雇用派遣労働者」を1人も

受け入れていない期間が「3ヶ月+1日以上」空いた場合は、

事業所単位の期間制限は一旦リセットされます。




「無期雇用派遣労働者」や「60歳以上の有期雇用派遣労働者」は、

期間制限の適用を受けないので、その派遣先の事業所に何人いようが、

関係なく、あくまでも「有期雇用派遣労働者」がその派遣先の事業所に

1人もいない状態が「3ヶ月+1日以上」続いた場合は、クーリング期間が

適用され、一旦、その派遣先の事業所単位の期間制限はリセットされます。



気を付けていただきたいのは、「事業所」とは、「雇用保険の適用事業所」を

指すので、例えば、全国に支店がある法人でも雇用保険の適用事業所番号が

1つしかない法人(各支店は雇用保険の非該当承認を受けている場合)は、

法人全体が1つの事業所となるので、法人全体で、1人も「有期雇用派遣労働者」

を受け入れていない状態が「3ヶ月+1日以上」空かないといけないことに

なります。




つまり、その派遣労働者を受け入れている支店だけが「3ヶ月+1日以上」

空けても、クーリング期間は適用されません。



ちなみに、先ほどから「3ヶ月+1日以上」という言い方をしていますが、

3ヶ月しか空いていいない場合は、クーリング期間は適用されません。



個人単位の期間制限におけるクーリング期間は、その派遣先の

事業所の組織単位(課や部など)に同じ派遣労働者を「3ヶ月+1日以上」

受け入れていない場合は個人単位の期間制限は一旦リセットされます。




個人単位の期間制限の場合も、「無期雇用派遣労働者」や

「60歳以上の有期雇用派遣労働者」は、期間制限の適用を受けないので、

それらの派遣労働者については、期間制限自体が発生しないので、

期間制限を気にせず派遣することができます。



ただし、労働者派遣事業関係業務取扱要領には、



派遣先は、派遣先の事業所等における業務について派遣元事業主から

3年間を超える期間継続して派遣を受けようとする場合において、

派遣可能期間の延長に係る手続を回避することを目的とし て、

当該労働者派遣の終了後3箇月が経過した後に、再度当該派遣労働者

の役務の提供を受けることは、趣旨に反するものであること。



と記載されており、派遣期間の延長を回避するため等を理由として

派遣労働者をわざと、3年未満しか受け入れ無いようにする行為

(クーリング期間を設けて再び同じ派遣労働者を派遣するような場合等)

は、脱法行為として指導の対象となる可能性があるので、

お気を付け下さい





http://haken-higashitani.com/






(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf

期間制限の例外

2018年10月11日 | 事業所単位の期間制限
今回は「期間制限の例外」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



これは、派遣就業というものがそもそも「一時的・臨時的な働き方」という

前提で儲けられた制度であり、長期間、派遣就業させることを認めてしまうと

直接雇用の労働者が派遣労働者にとってかわられる恐れがあることと、



派遣労働者側にとっても、派遣先の都合で派遣就業できなくなる恐れもあり

安定した働き方ではないという観点から、長期間の派遣を制限するために

上記の期間制限が設けられました。



ただし、以下の場合は「事業所単位の期間制限」及び「個人単位の期間制限」

の両方の適用が除外されます。



 ① 派遣労働者が無期雇用労働者の場合

 ② 派遣労働者が60歳以上の者である場合

 ③ 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合

 ④ 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下

    かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合

 ⑤ 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務

    に派遣労働者を派遣する場合




①の「派遣労働者が無期雇用労働者の場合」は文字通り、無期雇用の

派遣労働者を派遣先に派遣する場合は、3年という縛りは一切なく、

いつまででも派遣することが出来ます。



②の「派遣労働者が60歳以上の者である場合」とは、有期雇用派遣労働者で

その派遣労働者の年齢が60歳以上であれば、いつまででも派遣することが

出来ます(60歳以上の無期雇用派遣労働者の場合も当然、いつまででも

派遣することができます)。



③の「終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合」とは、

事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に

完了することが予定されているもの(「有期プロジェクト業務」)に派遣する場合は

その有期プロジェクトが終了するまで(そのプロジェクトが3年以上の期間を要する

場合であっても)、派遣し続けることができます。



この「有期プロジェクト業務への派遣」は、あくまでも、事業の開始、転換、拡大、

縮小または廃止のための有期プロジェクト業務に限られる
ので、例えば、

建設事業の有期プロジェクト業務や、IT関係のソフトウェアの開発等の有期プロジェクト

業務は該当しません




「有期プロジェクト業務」の例を挙げるとすれば、会社を縮小するためにプロジェクトチーム

を起ち上げた場合などで、かなり限定されると言えます。



④の「日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ

10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合」も、その業務自体が

通常の労働日数の半分以下かつ10日以下の業務に限られます




例えば、事務の業務で平日3日はパートさんが来てくれるから2日だけ派遣

社員を使いたいという場合などは、その業務自体は毎日行われるものなので

日数限定業務には該当しません




数限定業務の例としては、例えば書店の棚卸業務や土日のみ行われる

住宅展示場のコンパニオンの業務等です。




⑤の「産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に

派遣労働者を派遣する場合」は、文字通り育児休業等で休む社員の方の

代替要員として派遣する場合は期間制限を受けないことになります。








http://haken-higashitani.com/







(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf

事業所単位の期間制限とは?

2018年10月11日 | 事業所単位の期間制限
今日は「事業所単位の期間制限」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・「事業所単位の期間制限」

  ・「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」とは、『平成27年労働者派遣法改正法の概要』

によると、



「派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、

 3年が限度となります。」と記載されています。



つまり、「派遣先の”事業所”ごとに派遣できる期間は3年まで」と定めら

れたということです。



では、「事業所」とは何かというと、これも『平成27年労働者派遣法改正法

の概要』によると、



「事業所とは、

  ・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること

  ・経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること

  ・施設として一定期間継続するものであること

 などの観点から、実態に即して判断されます。

 ※雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一です。



と記載されています。



ぶっちゃけて言うと、「事業所とは雇用保険の適用事業所」を指します。



例えば、東谷社会保険労務士(株)が「大阪本社」と「兵庫支社」の2つで構成

されていた場合、基本的には、それぞれが雇用保険の適用事業所となります。



そうなると、派遣法上もそれぞれが1つの事業所と考えます。



で、「事業所単位の期間制限」とは、



「大阪本社で平成27年9月30日以降、大阪本社内のどこかの部署に

 初めて派遣労働者を受け入れる契約を開始した日から3年までしか

 大阪本社では派遣労働者を受け入れることはできない」



ということです。



例えば、大阪本社で平成27年9月30日以降、

 ・営業課  平成27年10月1日から派遣開始とする新たな契約

        (派遣会社:A派遣会社)

 ・庶務課  平成27年9月30日から派遣開始とする新たな契約

        (派遣会社:B派遣会社)

 ・経営企画課 平成27年10月21日から派遣契約を更新

        (派遣会社:C派遣会社)

とした場合、



大阪本社の事業所単位の期間制限の起算日は

庶務課の平成27年9月30日となります。

(良く勘違いされるのは、派遣法の改正は平成27年10月1日と

 思われている方が多いのですが、派遣法の施行は

 平成27年9月30日ですので、平成27年9月30日から

 派遣開始分も改正された派遣法が適用されます。)



で、大阪本社の抵触日(派遣労働者を受け入れてはいけない日)

は、平成30年9月30日となります。



事業所単位の期間制限で気を付けなければいけないことは、

 1.受け入れる部署は問わない

 2.派遣会社を問わない

ということですので、平成30年9月30日以降は大阪本社では

部署を問わず、派遣会社を問わず、派遣労働者を受け入れる

ことは出来なくなります。





http://haken-higashitani.com/



(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf