簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

労使協定方式 労使協定の作成方法④  公正な評価により賃金を決定する旨

2021年09月15日 | 労使協定方式


労使協定に定めなければいけない事項については、以下の通りとなります。













前回までは、【派遣労働者の賃金の決定に関する事項】について説明いたしました。







今回は、【公正な評価に基づき賃金額を決定する旨】について説明したいと思いま

す。









【公正な評価に基づき賃金額を決定する旨】

派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に

関する事項を公正に評価され、賃金の改善に反映されるよう、適切な評価方法を定

めることが必要です。









評価の具体的な方法としては様々なものが考えられますが、例えば、

 ・キャリア(スキル)マップを整備し、一定期間ごとに能力評価、派遣就業の

  状況の確認等により、派遣労働者の就業の実態に当てはめて行う

 ・派遣労働者と面談して成果目標を設定し、一定期間後に達成状況について改

  めて面談を行って評価を決める

などの方法が挙げられます。











【記載例 ①】

(賃金の決定に当たっての評価)

 第○条 賃金の決定については、半期ごとに派遣労働者の職務の内容、職務の成果

     、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に基づいて勤務評価を行い、そ

     の結果、派遣労働者の能力の向上が認められ、より高度な業務を行うこと

     ができると認めた場合には、より高度な業務に係る派遣就業の機会を提供

     するよう努める。














【記載例 ②】

(賃金の決定に当たっての評価)

 第○条   賃金の決定については、半期ごとに派遣労働者の職務の内容、職務

     の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に基づいて勤務評価

     を行い、その結果、派遣労働者の能力の向上が認められ、より高度な

     業務を行うことができると認めた場合には、より高度な業務に係る派

     遣就業の機会を提供するよう努める。

      また、上記の勤務評価の結果、より高度な業務に係る派遣就業の機

     会を提供するまでには至らないが、派遣労働者の職務に係る経験の蓄

     積、能力の向上が認められた場合には、基本給・手当額を下記の各号

     棒に増額する。

















【記載例 ③】

(賃金の決定に当たっての評価)

 第○条  賃金の決定については、半期ごとに派遣労働者の職務の内容、職務

     の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に基づいて勤務評価

     を行い、その結果、派遣労働者の能力の向上が認められ、より高度な

     業務を行うことができると認めた場合には、より高度な業務に係る派

     遣就業の機会を提供するよう努める。

      また、上記の勤務評価の結果、より高度な業務に係る派遣就業の機

     会を提供するまでには至らないが、派遣労働者の職務に係る経験の蓄

     積、能力の向上が認められた場合には、基本給額の1~3%の範囲で

     追加の能力手当を支給する。






















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(資料)

 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

  https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf

   厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」

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労使協定方式 労使協定の作成方法③-4 退職手当

2021年09月15日 | 労使協定方式
派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員に支払われている手当の種類や額に

応じて派遣労働者にもその手当や額を支給することになりますが、労使協定方式

では有無を言わせず

 ① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)

 ② 通勤手当

 ③ 退職手当

を支給しなければいけません。





前回は「② 通勤手当」について説明しました。





今回は最後の「③ 退職手当」ついて説明したいと思います。





退職手当の支給方法は3通りあります。

 (1) 退職金制度で支給する場合

 (2) 前払い退職手当として毎月の賃金額に含めて支給する場合

 (3) 中小企業退職金共済制度、確定給付企業年金、確定拠出年金等に

     一般賃金の6%以上の掛金を会社が毎月支払う場合

     (以下「中退共に加入する場合」とします)

(1)~(3)のいずれかの方法を必ず取らなければいけません。





(2)の「前払い退職手当として毎月の賃金額に含めて支給する場合」につ

いては、前々回の「基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」のところで既に

説明しましたので、今回は(1)の「退職金制度で支給する場合」と(3)の

「中退共に加入する場合」について説明したいと思います。





ちなみに、前々回も説明しましたが、「基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」

及び「通勤手当」と合計して比較できるのは(2)の「前払い退職手当として毎月

の賃金額に含めて支給する場合」だけです。

(1)の「退職金制度で支給する場合」と(3)の「中退共に加入する場合」につ

いては、それぞれ個々で職業安定局長通知で定める基準以上になっているかどうかを

確認する必要があります。









(1)「退職金制度で支給する場合」

  派遣労働者に適用する退職金制度を作成して、その退職金制度に基づいて

  退職手当を支払う方法です。

  ポイントとしましては、

   ・ 職業安定局長通知の別表4に示している退職金制度の統計以上の退

     職金制度を作成しなければいけない

   ・ もともと自社に退職金制度がある場合であっても、上記の統計以上

     の退職金制度でなければ、あらためて作成しなければいけない

     (もちろん、今ある退職金制度を改善していただいても結構です)

   ・ もともと自社に退職金制度がない場合は、上記の退職金制度を作成

     し、すくなくとも派遣労働者(正社員である派遣労働者、パートタ

     イマーである派遣労働者、有期雇用労働者である派遣労働者のすべ

     ての派遣労働者が対象)には、その退職金制度を適用しなければな

     らない

  などが挙げられます。





では、退職金制度の作成方法について説明します。





まず、職業安定局長通知の別表4をご覧ください。










別表4には、以下の項目が記載されています。

 ① 退職手当制度がある企業の割合(A~Eは統計の種類を指しています)

   (別表4にはA~Eの記載はないですが、今回は説明の便宜上、A~

    Eと記載しています)

    A 平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)

    B 【退職一時金制度】令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    C 【退職年金制度)令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    D 平成28年民間企業退職給付調査(人事院)

    E 令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)

 ② 退職手当の受給に必要な所要年数

    A 平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)

    B 令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    E 令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)

 ③ 退職手当の支給月数

    A 平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)

    B 令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    E 令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)

    F 2018年9月度退職金・年金に関する実態調査結果

      (日本経済団体連合会)

 ④ 退職手当の支給金額

    A 平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)

    B 令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    E 令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)

    F 2018年9月度退職金・年金に関する実態調査結果

      (日本経済団体連合会)

    D 平成28年民間企業退職給付調査(人事院)

これらの資料を使って退職金制度を作成していきます。





まずは、③の「退職手当の支給月数」又は④の「退職手当の支給金額」に示されて

いる統計のうち、どの統計を使うかを労使で話し合って決めます。





ちなみに、③の「退職手当の支給月数」と④の「退職手当の支給金額」の違いは、

退職金制度を「給与の何か月分で支払う」と規定するか、「退職金額をそのまま

記載する」と規定するかの違いだけなので、どちらを選ばれても結構です。





今回は、③の「退職手当の支給月数」のうちのEの「令和2年中小企業の賃金

・退職金事情(東京都)」の統計を使うということで説明します。





Eの「令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)」を見てみますと、

 ・高校卒(自己都合)+高校卒(会社都合)

 ・高専、短大卒(自己都合)+高専、短大卒(会社都合)

 ・大学卒(自己都合)+大学卒(会社都合)

のそれぞれの退職金について記載されています。













こちらも、そのまま使用していただいても結構ですし、いちいち高卒や大卒で

支給月数を分けるのも後々退職金の計算の際にややこしくなるので、例えば

「高校卒の統計を一律に適用する(派遣労働者の学歴に関係なく適用すると

いう意味)」として、高校卒の統計のみを使用しても結構です。







今回は「高校卒(自己都合)+大学卒(会社都合)」の数値を使うことにし

ます。







次に行うのが、「いつから退職金を支払うのか?」ということを決めます。

これは「② 退職手当の受給に必要な所要年数」のデータから選択します。

②の「退職手当の受給に必要な所要年数」の中のA,B.Eの統計のうち

1つを選択します。

    A 平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)

    B 令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    E 令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)







今回は、Eの「令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都」のデータ

を使用することにします。

(A、B、Eのいずれの統計を選択していただいても結構です)













Eの「令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)」のデータでは、

自己都合、会社都合とも勤続年数が3年から退職手当を支給している会社の

割合が一番高いので、支給年数は「勤続年数3年以上」とします。







最後に、「在職何年でいくらの退職金を支払うのか」ということを決めます。

これも③の「退職手当の支給月数」のうちのEの「令和2年中小企業の賃金

・退職金事情(東京都)」の統計を使って決めていきます。











先程、退職金の支給月数については「高校卒(自己都合)+高校卒(会社都合)」

の支給月数を派遣労働者の学歴に関係なく一律に適用することに決めましたので、

「高校卒(自己都合)+高校卒(会社都合)」の支給月数を使うのですが、そのま

ま当該支給月数を使用していただいても結構ですし、①の「退職手当制度がある企

業の割合」を上記の支給月数に乗じて算出した支給月数を使用しても結構です。







どういうことかというと、職業安定局長通知の数値だと、高校卒の自己都合及び

会社都合の場合の支給月数は、以下の通りとなります。

(先ほど、退職金の支給開始年数は勤続年数が3年以上と決めたので、今回の記載

 も勤続年数3年以上のもののみ記載していきます)。

            高校卒(自己都合)   高校卒(会社都合)

 勤続年数  3年     0.9ヶ月分      1.3ヶ月分

 勤続年数  5年     1.7ヶ月分      2.2ヶ月分

 勤続年数 10年     3.9ヶ月分      4.9ヶ月分

 勤続年数 15年     6.5ヶ月分      8.0ヶ月分

 勤続年数 20年     9.6ヶ月分     11.5ヶ月分

 勤続年数 25年    12.9ヶ月分     14.9ヶ月分

 勤続年数 30年    15.8ヶ月分     18.1ヶ月分

 勤続年数 35年    18.6ヶ月分     20.8ヶ月分

 勤続年数 37年    19.5ヶ月分     21.8ヶ月分

 勤続年数 定年まで               26.2ヶ月分







上記の数値に①の「退職手当制度がある企業の割合」の

    A 平成30年就労条件総合調査(厚生労働省)

    B 【退職一時金制度】令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    C 【退職年金制度)令和元年賃金事情等総合調査(中央労働委員会)

    D 平成28年民間企業退職給付調査(人事院)

    E 令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)

のいずれかの割合を乗じて算出した月数を支給月数としていただいても結

構です。







今回は、Eの「令和2年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)」の退

職手当制度がある企業の割合「65.9%」を乗じて算出した支給月数は

以下の通りとなります。

(上記の月数に65.9%を乗じて、小数点1位未満を切り上げ)

            大学卒(自己都合)   大学卒(会社都合)

 勤続年数  3年     0.6ヶ月分      0.9ヶ月分

 勤続年数  5年     1.2ヶ月分      1.5ヶ月分

 勤続年数 10年     2.6ヶ月分      3.3ヶ月分

 勤続年数 15年     4.3ヶ月分      5.3ヶ月分

 勤続年数 20年     6.4ヶ月分      7.6ヶ月分

 勤続年数 25年     8.5ヶ月分      9.9ヶ月分

 勤続年数 30年    10.5ヶ月分     12.0ヶ月分

 勤続年数 35年    12.3ヶ月分     13.7ヶ月分

 勤続年数 37年    12.9ヶ月分     14.4ヶ月分







上記以上の退職金制度を作成し、それを派遣労働者に適用していただけ

れば結構です。

上記の数値をそのまま使っていただいても結構ですし、下記のように

作り変えていただいても結構です。









以上が「退職金制度で支給する場合」の退職金制度の作成方法となります。











(2)の「前払い退職手当として毎月の賃金額に含めて支給する場合」については、

冒頭で申し上げた通り、前々回のブログで説明していますので、今回は説明を割愛

させていただきます。







(3) 中小企業退職金共済制度、確定給付企業年金、確定拠出年金等に一般賃金

    の6%以上の掛金を会社が毎月支払う場合(「中退共に加入する場合」)

  これは、会社が「中小企業退職金共済制度」、「確定給付企業年金」、「確定

  拠出年金」等に加入して各派遣労働者の掛金として一般賃金の6%以上の掛金

  を会社が支払っていればよいということです。









もし、掛け金が「一般賃金の6%」より少なければ、掛け金を増やしていただく

か、差額を「前払い退職手当」として毎月の賃金額に含めて支給する方法でも構

いません。







「③ 退職手当」の説明については以上となります。







今回で、労使協定の記載事項の1つである「派遣労働者の賃金の決定に関する事項」

の説明については終了となります。









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 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

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労使協定方式 労使協定の作成方法③-3 通勤手当

2021年09月06日 | 労使協定方式




派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員に支払われている手当の種類や額に

応じて派遣労働者にもその手当や額を支給することになりますが、労使協定方式

では有無を言わせず

 ① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)

 ② 通勤手当

 ③ 退職手当

を支給しなければいけません。







前回は「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」について説明しました。







今回は2つめの「② 通勤手当」ついて説明したいと思います。







通勤手当については前回の「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」の

ところで、殆ど説明しましたが、今回もおさらいとして説明します。















【派遣元が派遣労働者の通勤手当を全額支給している場合】

  前回説明した、職業安定局長通知に定める通勤手当の額(71円)は全く気に

  せず、そのまま全額支給してください。

  前回説明した職業安定局長通知の額との比較も必要ありません。




















【派遣元が派遣労働者の通勤手当を全く支給していない場合】

  前回説明した、職業安定局長通知に定める通勤手当の額(71円)との比較が

  必要です。

  しかし、基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)と通勤手当(0円)の合計額

  が、職業安定局長通知に定める一般賃金+通勤手当(71円)の合計額以上で

  あれば問題ありません。




















【派遣元が派遣労働者の通勤手当を一部しか支給していない場合】

  通勤手当の上限額(通勤手当の上限額×12ヶ月÷52週÷週の所定労働時間(40時

  間)で算定)と職業安定局長通知に定める通勤手当の額(71円)との比較が

  必要です。

  しかし、基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)と通勤手当(上限額の時給換

  算額)の合計額が、職業安定局長通知に定める一般賃金+通勤手当(71円)

  の合計額以上であれば問題ありません。




















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 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

  https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf

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労使協定方式 労使協定の作成方法③-2  基本給+手当(通勤手当を除く)

2021年09月02日 | 労使協定方式


前回、労使協定に定めなければいけない項目として「派遣労働者の賃金の

決定方法(概要)」について説明しました。







今回は、その「派遣労働者の賃金」の具体的な記載方法ついて説明したい

と思います。







前回も申し上げた通り、

「派遣労働者の賃金の決定方法」については以下のことを定めなければ

いけません。







【派遣労働者の賃金の決定に関する事項】

 (イ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の

    平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の

    額となるものであること

     → 職業安定局長通知で公表されている派遣労働者専用の職種ごと

       の最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額を派遣

       労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の賃金

       テーブルを記載すること

 (ロ)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他

    の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される

    ものであること

     → 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給

       するような内容のものを記載すること

       (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルでは

        ダメ!)







上記の内容を分かりやすく言い換えると、

 ・職業安定局長通知に示された「賃金額+賞与額+手当額(通勤手当を除く)」

  よりも高い額を派遣労働者に支払うような賃金テーブルを作成すること

  ※ 上記で「職業安定局長通知」と記載していますが、たまに「職業安定局長

    通達」と記載する場合があります。両者は同じものを指しているのでご注意

    ください。

 ・職業安定局長通知で示された「通勤手当額」以上の額の通勤手当を派遣

  労働者に支払うことを労使協定に定めること

 ・職業安定局長通知で示された「退職手当」以上の額の退職手当を派遣労働者

  に支払うことを労使協定に定めること

 ・派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容の

  ものを定めること

  (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルではダメ!)

ということになります。







派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員に支払われている手当の種類や額に

応じて派遣労働者にもその手当や額を支給することになりますが、労使協定方式

では有無を言わせず

 ① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)

 ② 通勤手当

 ③ 退職手当

を支給しなければいけません。





いくら派遣元が「うちは派遣労働者以外の社員にも通勤手当や退職手当を支払っ

ていないのに派遣労働者にだけ支払わなければいけないのはおかしい!」と言っ

ても、上記の①~③の賃金等を支給しなければ労使協定の内容としては不備と

なり、その派遣元では派遣先均等・均衡方式が適用されてしまうことになります。





つまり、労使協定方式では絶対に上記の①~③の賃金等を支払う内容を記載し、

実際に支払っていただく必要があるわけです。





今回は「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」の具体的な記載方法に

ついて説明したいと思います。





今年も8月6日に職業安定局長通知が厚生労働省のホームページで

公開されました。











【職業安定局長通知本文】



(厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用) 全体版」)











【職業安定局長通知 別添1】

 令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算) 













【職業安定局長通知 別添2】

 職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)















【職業安定局長通知 別添3】

 職業安定業務統計による地域指数













【職業安定局長通知 別添4】

 退職手当制度













上記の【職業安定局長通知本文】~【職業安定局長通知 別添4】までが

職業安定局長通知ということになります。









この職業安定局長通知ですが、要するに何を示しているのかというと、

「基本給・賞与・手当、通勤手当、退職手当について派遣労働者専用の最低基準を

 職業安定局長通知として示すからこれ以上の額を派遣労働者に支払うんやで!」

というものです。





ということで、この職業安定局長通知に基づいて今回は、

「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」の具体的な記載方法を説明します。





「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」については、別添1又は別添2に

記載されている職種ごとの時給よりも高い額の時給を派遣労働者に支払うことを

労使協定で定めなければいけません。





ちなみに、別添1の資料は「賃金構造基本統計調査」により算出した賃金表と

なります。賃金構造基本統計調査とは、e-Statによると「主要産業に雇用

される労働者の賃金の実態を明らかにする統計調査です。賃金構造基本統計調査

によって得られる賃金の実態は、国や地方公共団体だけでなく民間企業や研究

機関でも広く利用されています。賃金構造基本統計調査では、雇用形態(正社員

・正職員、正社員・正職員以外)、就業形態(一般労働者、短時間労働者)、

職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数など、労働者の属性別の賃金の結果

を、産業、企業規模別などで提供しています。」となっています。

具体的には、10人以上の常用労働者を雇用する事業所を対象とし、都道府県、

産業及び事業所規模別に一定の方法で抽出した事業所に対して集計した賃金の

データとなっており、月の給与額、時間外手当、賞与も含まれています。





別添2の資料は「職業安定業務統計」により算出した賃金表となります。

算出方法は、基準値(0年)は、令和2年度にハローワークで受理した無期

かつフルタイムの求人に係る求人賃金(月給)の下限額の平均を、一定の計算

方法(月額×12÷52÷40)で時給換算し賃金構造基本統計調査から計算した

賞与指数(0年)を乗じて作成しており、各年の金額は、基準値(0年)に賃金

構造基本統計調査から計算した能力・経験調整指数を乗じて作成しています。





賃金構造基本統計調査(別添1)は、職業安定業務統計(別添2)に比べ職種が

かなり少なくなっています。





どちらの統計を使うかは労使で話し合って決めていただいて結構です。

ただし、職種によって統計を使い分ける場合は、労使協定に使い分ける理由を

明記しなければいけないので、ご注意ください。

例えば、プログラマーの職種については賃金構造基本統計調査の数値を使い、

システムエンジニアの職種では職業安定業務統計を使っている場合については、

なぜ使い分けているのかを労使協定に記載しなければいけません。




では、どのように労使協定に定めるかというと、一人一人の派遣労働者の賃金が

別添1又は別添2に記載されている時給よりも高いかどうかではなく、別添1や

別添2に記載されている時給よりも高い時給となっている派遣労働者専用(別に

派遣労働者以外の労働者にも適用していただいても結構です)の賃金テーブルを

作成し、それを各派遣労働者に適用する形となります。





最終的には、以下のような賃金テーブルを労使協定に記載していただくこととな

ります(別表1及び別表2部分)



※ 厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編)」









では、この賃金テーブルをどのように作るのかというと、まずは、自社の

派遣労働者の賃金額の現状を調査することから始めます。



※ 厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編)」









まずは、上記の図表4-12「個人別賃金一覧表」の左部分

(「派遣労働者の社内職種と賃金」)に自社の派遣労働者の賃金額

を記載していきます。









この図表4-12は、厚生労働省のホームページにエクセルの書式が

用意されているので、そちらをご利用ください。















労使協定の賃金テーブルは職種ごとに作成するので、「派遣労働者の

社内職種と賃金」の欄を記載していく場合も職種ごとに記載すると

いいでしょう。









記載項目は左から以下の内容となります。

 ・番号:社員番号等。特になければ空白のままで結構です。

 ・社内職種:今回はプログラマーに絞って記載するので「プログラマー」と

       記載してください。

 ・経験年数/等級等:その派遣労働者の経験年数や既に社内に賃金テーブルが

           ある場合は、その賃金等級(「2号棒6等級」等)を

           記載してください。

 ・地域:その派遣労働者が派遣されている派遣先の事業所の所在地の県を記載

     するか、または派遣先の事業所の所在地を管轄とするハローワークの

     所轄を記載してください(職業安定局長通知 別添3を参照)。

     例えば、派遣先の事業所の所在地が「大阪府大阪市北区」であれば、

     「大阪府」と記載するか「2702 梅田計」と記載してください。

     ちなみに、地域指数は「各県の地域指数」を使うか「派遣先の事業所

     を管轄するハローワークの地域指数」を使うかは労使で話し合って

     決めていただければ結構です。

     ただし、職種によって地域指数を使い分ける場合、例えば、派遣先は

     「大阪府大阪市北区」と同じであるにもかかわらず、プログラマー

     の職種では「大阪府の地域指数」を使用し、システムエンジニアの

     職種では「2702 梅田計」というように地域指数を職種ごとに

     使い分ける場合は、労使協定に使い分ける理由を明記しなければいけ

     ないのでご注意ください。

 ・基本給:その派遣労働者の基本給を時給換算した額を記載してください。

       時給換算の方法は、

        ・基本給 × 12ヶ月 ÷ 52週 ÷ 週の所定労働時間

       会社の就業規則で月の所定労働時間が決まっている場合は、

        ・基本給 ÷ 月の所定労働時間

       という方法で算定してください。

 ・手当:通勤手当、退職手当、固定残業代、時間外手当(時間外、休日、深夜)

     以外の手当を時給換算した額を記載してください。時給換算の方法は

     基本給と同じです。

     手当が全くない場合(基本給しか支給していない場合)は「0円」と

     記載してください。

 ・賞与:その派遣労働者の年間の賞与額(昨年度分)を時給換算した額を記載

     してください。時給換算の方法は基本給と同じです。

     賞与を支給していない場合は「0円」と記載してください。

 ・小計:上記の「基本給」「手当」「賞与」の時給換算した額を合計した金額

     を記載してください。

 ・通勤手当:その派遣労働者の通勤手当を会社が全額支給している場合は

       「71円」と記載してください。

       その派遣労働者の通勤手当を会社が全額支給していない場合(つまり

       派遣労働者が通勤手当を少しでも自己負担している場合)は、会社が

       設定している通勤手当の上限額(例えば、「上限3万円まで」)を

       基本給と同じ方法で時給換算し、その額が「71円以上」の場合は

       「71円」と記載してください。

       「71円」未満の場合はその額を記載してください。

       ※ 令和3年度の通勤手当の額は「74円」でしたが、令和4年度

         は「71円」に引き下げられました。

         ちなみに、令和2年度は72円でした。

 ・退職金:既に派遣労働者に退職金制度がある場合は、「退職金制度」と文字で

      記載してください。

      退職金を毎月の賃金に含めている場合(いわゆる「退職金前払い制度

      」)を採用している場合は、その者の月々の退職金として支給してい

      る金額を基本給と同じ方法で時給換算した額を記載してください。

      中小企業退職金共済制度や確定拠出年金または確定給付企業年金等に

      加入している場合は「中小企業退職金共済制度」「確定拠出年金」

      「確定給付企業年金」と記載してください。

 ・計:先ほどの小計と通勤手当、退職金を合計した金額を記載してください。





        

では、具体例を挙げて説明しましょう。

 田中さん(派遣労働者)の賃金額

   基本給:20万円

   通勤手当:3万円(会社が全額負担)

   家族手当:2万円

   住宅手当:2万円

   賞与:昨年1年間の賞与額60万円

   退職金:前払い退職手当も退職金制度もなし

 上記賃金額を時給に換算

   基本給:20万円×12ヶ月÷52週÷週の所定労働時間(40時間)

       =1,153.846・・・ → 1,153円

       → 基本給の欄に「1,153円」と記載

   通勤手当:3万円(会社が全額負担)

        3万円×12ヶ月÷52週÷週の所定労働時間(40時間)

        =173.076・・・ → 173円

        → 71円より高いので71円

        → 通勤手当の欄に「71円」と記載

   家族手当:2万円、住宅手当:2万円

        (2万円+2万円)×12ヶ月÷52週÷週の所定労働

         時間(40時間)

        =230.769・・・ → 230円

        → 手当の欄に「230円」と記載

   賞与:昨年1年間の賞与額60万円

      60万円÷52週÷週の所定労働時間(40時間)

      =288.461・・・ → 288円

      → 賞与の欄に「288円」と記載

   退職金:前払い退職手当も退職金制度及び中小企業退職金共済制

       度もなし

       → 退職金の欄に「0円」と記載







上記の金額を記載した個人別賃金一覧表がこちらです。











次に、上記の図表4-12「個人別賃金一覧表」の右部分

(「一般労働者の職種と賃金」)に職業安定局長通知の賃金額等

を記載していきます。



記載項目は左から以下の内容となります。

 ・通知職種:職業安定局長通知の別添1の「賃金構造基本統計調査」か別添2

       の「職業安定業務統計」の職種から一番近いものを選んでくだ

       さい。

 ・統計:通知職種を別添1の「賃金構造基本統計調査」か別添2の

     「職業安定業務統計」のいずれの数値を用いたかを記載してください。

 ・能力・経験調整指数:別添1及び別添2の「基準値。基準値に能力・経験調整

            指数を乗じた値」に記載されている年数「0年、1年、

            2年、3年、5年、10年、20年」のいずれに該当す

            るかを記載してください。

            ちなみにこの「能力・経験調整指数」の年数ですが、

            これはその派遣労働者の経験年数を意味しているわけで

            はなく、その派遣労働者の能力値を意味しています。

            したがって、その派遣労働者がその業務に10年間従事

            していたからと言って、10年と記載する必要はなく、

            その派遣労働者の仕事内容や能力値に見合った年数を記載

            してください。

            例えばその業務に10年間従事している派遣労働者であっ

            てもやっている仕事内容や能力値がその業界の平均値で

            換算すると3年目に相当するような仕事内容や能力値で

            あれば「3年」と記載してください。

 ・地域:その派遣労働者が派遣されている派遣先の事業所の所在地の県を記載

     するか、または派遣先の事業所の所在地を管轄とするハローワークの

     所轄を記載してください(職業安定局長通知 別添3を参照)。

     例えば、派遣先の事業所の所在地が「大阪府大阪市北区」であれば、

     「大阪府」と記載するか「2702 梅田計」と記載してください。

     ちなみに、地域指数は「各県の地域指数」を使うか「派遣先の事業所

     を管轄するハローワークの地域指数」を使うかは労使で話し合って

     決めていただければ結構です。

     ただし、職種によって地域指数を使い分ける場合、例えば、派遣先は

     「大阪府大阪市北区」と同じであるにもかかわらず、プログラマー

     の職種では「大阪府の地域指数」を使用し、システムエンジニアの

     職種では「2702 梅田計」というように地域指数を職種ごとに

     使い分ける場合は、労使協定に使い分ける理由を明記しなければいけ

     ないのでご注意ください。

 ・基本給・賞与等:上記で選んだ「通知職種」「統計」「能力・経験調整指数」

          及び「地域」を踏まえた時給額を記載してください。

          例えば、

           通知職種:ソフトウェア開発技術者

           統計:職業安定業務統計(別添2)

           能力・経験調整指数:3年

           地域:大阪府(地域指数:108.2)

          の派遣労働者であれば、

            時給1,728円×108.2=1,869.696

            → 1,870円(小数点未満は切り上げ)

          となります。

          ちなみに、この1,870円には、「基本給」「賞与」

          「通勤手当、退職手当、時間外労働手当、休日労働手当、

          深夜労働手当以外の全ての手当」が含まれています。

 ・通勤手当:「71円」と記載してください。

       この「71円」はすごく簡単に言うと、通勤手当の全国平均額

       から算定した数値となります。

 ・退職金:退職金については、労使協定方式を取る場合は必ず派遣労働者に

      支払わなければいけないのですが、支払い方は次の3つの方法から

      労使で話し合って決めていただくことになります。

       ① 退職手当制度を設ける場合(職業安定局長通知の別添4に

         示されている退職手当の統計以上の退職手当制度を設ける

         場合に限る)

       ② 退職手当分を毎月の賃金に手当として支給する場合

         (前払い退職金)

       ③ 一定の掛け金を会社が支払って中小企業退職金共済等(ほか

         に、確定給付企業年金、確定拠出年金等がある)に加入する

         場合       

      図表4-12「個人別賃金一覧表」には②の「退職手当分を毎月の

      賃金に手当として支給する場合(前払い退職金として支給する場合)

      のみ、右部分に金額を記載し、①の「退職手当制度を設ける場合」

      や③の「一定の掛け金を会社が支払って中小企業退職金共済制度等

      にする場合」は個人別賃金一覧表には「退職金制度」又は「中小企

      業退職金共済」等と記載します。

      (退職手当については後日、改めて説明いたします)







上記の金額を記載した個人別賃金一覧表がこちらです。







上記の場合は、左(派遣労働者の社内職種と賃金)の合計額(1,742円)が

右(一般労働者の職種と賃金)の合計額(1,941円)よりも下回っているの

で、この労働者については賃金の改善が必要となります。







このように、プログラマーの職種に就いている他の派遣労働者についても同じ

ように記載し、自社の現在のプログラマー業務に従事する派遣労働者の賃金の

分布を確認します。







賃金分布が確認できたら、次は、それを元に派遣労働者専用の職種ごと地域ごと

の賃金テーブルを作成していきます。

(派遣労働者専用と言いましたが、別に派遣労働者以外の方にも当該賃金テーブ

 ルを適用していただいて結構です。社内の格差を解消するためにはその方が良

 いでしょう)









賃金テーブルの作成の仕方については基本的に自由に作成していただいて結構で

す。ただし、冒頭でも述べましたが、以下のことは必ず守ってください。



 ・職業安定局長通知に示された「賃金額+賞与額+手当額(通勤手当を除く)」

  よりも高い額を派遣労働者に支払うような賃金テーブルを作成すること



 ・職業安定局長通知で示された「通勤手当額」よりも高い額の通勤手当を派遣

  労働者に支払うことを労使協定に定めること

  これは、「賃金額+通勤手当の合計額」が職業安定局長通知で示された

  「賃金額+通勤手当の合計額」よりも上回っていれば結構です。



 ・職業安定局長通知で示された「退職手当」よりも高い額の退職手当を派遣労働者

  に支払うことを労使協定に定めること

  「前払い退職金」として毎月の賃金額に退職金部分を含めて支給する場合は、

  「賃金額+通勤手当+前払い退職金の合計額」が職業安定局長通知で示された

  「賃金額+通勤手当+前払い退職金(一般賃金の6%で算定した額)の合計額」

  よりも上回っていれば結構です。

  「前払い退職金」以外の方法(「退職手当制度を設ける場合」及び「一定の

  掛け金を会社が支払って中小企業退職金共済等(ほかに、確定給付企業年金、

  確定拠出年金等がある)に加入する場合」)については、

  「賃金額+通勤手当+前払い退職金」には含めず、退職金部分だけ別途以下の

  比較が必要となります。

   ・退職手当制度の場合

     派遣労働者の退職金制度 > 職業安定局長通知の別添4の退職金制度

     (上記の「>」は「以上」という意味です)

   ・中小企業退職金共済制度の場合

     各派遣労働者の中小企業退職金共済制度の掛け金額 >

                            一般賃金 × 6%

     (上記の「>」は「以上」という意味です)


 ・派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容の

  ものを定めること

  (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルではダメ!)



上記のことを踏まえて賃金テーブルを作成します。









賃金テーブルの記載例 ①

 要件

  ・職種:ソフトウェア開発技術者

  ・賃金等級:3等級に区分

  ・賞与:支給(直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された賞与額

         の平均額を記載)

  ・通勤手当:全額会社負担(実費支給)

  ・退職金:退職金制度を採用

  ・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所















賃金テーブルの記載例 ②

 要件

  ・職種:ソフトウェア開発技術者

  ・賃金等級:3等級に区分

  ・賞与:支給なし

  ・通勤手当:上限あり(上限1万円)

  ・退職金:中小企業退職金共済制度(6%以上の掛金)を採用

  ・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所













賃金テーブルの記載例 ③

 要件

  ・職種:ソフトウェア開発技術者

  ・賃金等級:3等級に区分

  ・賞与:支給なし

  ・通勤手当:上限あり(上限2万円)

  ・退職金:前払い退職手当を毎月の賃金として支給

  ・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所















賃金テーブルの記載例 ④

 要件

  ・職種:ソフトウェア開発技術者及び倉庫作業員

  ・賃金等級:3等級に区分

  ・賞与:支給なし

  ・通勤手当:上限あり(上限2万円)

  ・退職金:前払い退職手当を毎月の賃金として支給

  ・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所



























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本書は、3年間、大阪労働局の需給調整事業部(派遣法の指導監督を行っている部署)で需給調整事業専門相談員として派遣会社や派遣先の企業、社労士や弁護士の方からの相談業務を担当していた筆者が、労働者派遣法のことが全く分からない方や派遣業務が未経験の方でも簡単に派遣関係書類(今回説明させていただいた労使協定や個別契約書等)が作成できるよう、記載例も掲載しわかりやすく解説させていただいています。



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派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!



本書は専門書のため、ジュンク堂書店、紀伊国屋書店等の大型書店にてお買い求めいただけます!







(資料)

 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

  https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf

   厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」

    https://www.mhlw.go.jp/content/000817350.pdf

労使協定方式 労使協定の作成方法③-1  派遣労働者の賃金の決定方法

2021年08月31日 | 労使協定方式


労使協定方式における労使協定の締結事項は、以下の通りです。












前回、労使協定に定めなければいけない項目として

「労使協定の対象となる派遣労働者の範囲」

について説明しました。







今回は、「派遣労働者の賃金の決定方法」ついて説明したいと思います。







今回の内容が労使協定に定める事項の中で一番重要な部分となります。







「派遣労働者の賃金の決定方法」については以下のことを定めなければ

いけません。









【派遣労働者の賃金の決定に関する事項】



 (イ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の

    平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の

    額となるものであること

     → 職業安定局長通知で公表されている派遣労働者専用の職種ごと

       の最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額を派遣

       労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の賃金

       テーブルを記載すること

       ※ ちなみに、上記では「職業安定局長通知」と記載していま

         すが、たまに「職業安定局長通達」と記載する場合があ

         ります。これらは同じものとしてご理解ください



 (ロ)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他

    の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される

    ものであること

     → 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給

       するような内容のものを記載すること

       (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルでは

        ダメ!)







上記の内容を分かりやすく言い換えると、

 ・職業安定局長通知に示された「賃金額+賞与額+手当額(通勤手当を除く)」

  以上の額を派遣労働者に支払うような賃金テーブルを作成すること

 ・職業安定局長通知で示された「通勤手当額」以上の額の通勤手当を派遣労働者に

  支払うことを労使協定に定めること

 ・職業安定局長通知で示された「退職手当」以上の額の退職手当を派遣労働者に支

  払うことを労使協定に定めること

 ・派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容の

  ものを定めること

  (どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルではダメ!)

ということになります。







派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員に支払われている手当の種類や額に

応じて派遣労働者にもその手当や額を支給することになりますが、労使協定方式

では有無を言わせず

 ① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)

 ② 通勤手当

 ③ 退職手当

を支給しなければいけません。







いくら派遣元が「うちは派遣労働者以外の社員にも通勤手当や退職手当を支払っ

ていないのに派遣労働者にだけ支払わなければいけないのはおかしい!」と言っ

ても、上記の①~③の賃金等を支給しなければ労使協定の内容としては不備と

なり、その派遣元では派遣先均等・均衡方式が適用されてしまうことになります。







つまり、労使協定方式では絶対に上記の①~③の賃金等を支払う内容を記載し、

実際に支払っていただく必要があるわけです。







では、上記の①~③の賃金等をどのように労使協定に定めたらいいのか?という

ことになりますが、ここからが非常にややこしい内容となるので、実際の記載内

容については次回以降、複数回に渡り説明していきたいと思います。















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本書をご購入いただいた方につきましては、すぐに使える2020年4月の派遣法改正後の各種派遣関係書類(ワード形式)を税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。



また、令和3年8月6日に公表された「令和4年度から適用される労使協定の記載例」及び令和3年1月と4月に行われた派遣法改正に対応した派遣関係書類(ワード形式)も税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。



派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!



本書は専門書のため、ジュンク堂書店、紀伊国屋書店等の大型書店にてお買い求めいただけます!







(資料)

 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf

 厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」

  https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf

   厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」

    https://www.mhlw.go.jp/content/000817350.pdf