昭和初期 大阪から小樽 二 ビー玉の謎 二
…これはしおからというて、父さんの故郷の富山名物やがァ!見ためはくろいが味はて んかいちやがナ!…
父は飴玉のはいるような大瓶の真っ黒くてみみずがぎょうさんつまったようなものをだした。
母も初めてじゃという。
小皿にとってチョンチュウおんちゃんとウメちゃんとぼくと別々においた。
…わしも子供の頃ようたべたョ!海にちかいので!…とチョンチュウおんちゃんが口にいれるなりつぶやいた。
…失礼やが朝鮮で中学校へ行かれたときいちょりますが…
父はかたわらに置いた一升瓶から酒をチョンチュウおんちゃんの白い茶碗に注いで聞いた。
…これはこれはおおきに!酒はドブロクしかやっとらんので腹がびっくりしてます、遠 慮せんといただきます!…中学校は釜山中学やったが卒業してから面役場へ勤めまし た…
チョンチュおんちゃんはにこにこして飲み干して言った。
…これもうまい北海道名物やで…
父が透き通った茶色い棒をふくろからとりだして見せた。
でてくるもるはみたこともないものばかりや!。
…これはサケトバ言うて鮭の干物やでェ!頬がおちるほどうまいもんやて!…
父は皆の前に二本づつ茶色い棒を置いた。
ウルメをやいたような匂いがしたので少し口に入れた。
歯でかむと父がいったように魚のおいしい味が口中に広がった。
…わしはみたこともない!…
チョンチュウおんちゃんも口にいれた。
…よしまつ先生のおかげで口がまがるほどのご馳走や!…
チョンチュウおんちやんは顔を赤くして礼を言った。
ウメちゃんのだい好物の真っ赤な大きいリンゴがおぜんの上に山盛りに置かれた。
…これは最近出来た余市二号や!甘さはさいこうやでェ!…
父がにこにこしてひとつの皮をむき始めると香ばしい匂いがしてきた。
前におくってもらったリンゴよりずっと香りがつよいリンゴだ。
ウメちゃんは嬉しそうににこっとした。
…これはしおからというて、父さんの故郷の富山名物やがァ!見ためはくろいが味はて んかいちやがナ!…
父は飴玉のはいるような大瓶の真っ黒くてみみずがぎょうさんつまったようなものをだした。
母も初めてじゃという。
小皿にとってチョンチュウおんちゃんとウメちゃんとぼくと別々においた。
…わしも子供の頃ようたべたョ!海にちかいので!…とチョンチュウおんちゃんが口にいれるなりつぶやいた。
…失礼やが朝鮮で中学校へ行かれたときいちょりますが…
父はかたわらに置いた一升瓶から酒をチョンチュウおんちゃんの白い茶碗に注いで聞いた。
…これはこれはおおきに!酒はドブロクしかやっとらんので腹がびっくりしてます、遠 慮せんといただきます!…中学校は釜山中学やったが卒業してから面役場へ勤めまし た…
チョンチュおんちゃんはにこにこして飲み干して言った。
…これもうまい北海道名物やで…
父が透き通った茶色い棒をふくろからとりだして見せた。
でてくるもるはみたこともないものばかりや!。
…これはサケトバ言うて鮭の干物やでェ!頬がおちるほどうまいもんやて!…
父は皆の前に二本づつ茶色い棒を置いた。
ウルメをやいたような匂いがしたので少し口に入れた。
歯でかむと父がいったように魚のおいしい味が口中に広がった。
…わしはみたこともない!…
チョンチュウおんちゃんも口にいれた。
…よしまつ先生のおかげで口がまがるほどのご馳走や!…
チョンチュウおんちやんは顔を赤くして礼を言った。
ウメちゃんのだい好物の真っ赤な大きいリンゴがおぜんの上に山盛りに置かれた。
…これは最近出来た余市二号や!甘さはさいこうやでェ!…
父がにこにこしてひとつの皮をむき始めると香ばしい匂いがしてきた。
前におくってもらったリンゴよりずっと香りがつよいリンゴだ。
ウメちゃんは嬉しそうににこっとした。