吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期の大阪 五十八

2006年10月18日 09時56分13秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期の大阪  五十八

 金谷点柱(こんたにてんちゅう)
 …おんちゃん!ウメちゃんは秀才や!おんちゃんも秀才やろ!ぎょうさんの本みたらわ  かるでェ!そんなおんちゃんがウメちゃんの言うことではっとするんはどうしてなん  や?…
 ぼくはチョンチュウおんちゃんがはっとするんはおどろくことをウメちゃんが言うからやと思った。
 …ウメ吉はときどきわかりもせん昔のことを言うたり、大人も分からんさきの話を予言  するんや!…
 …予言ってなんや?…
 …たとえばこんどの正月は雪がふるとか、まださきの話やけどつげることがある…それ  がその通りになるから恐ろしい子や!…昔、王様がおった頃にそんな神様からさずか  った子がおって都に呼ばれていろいろほうびをもろうた話はのこっとる!…
 …ふーん!そうやったんか!こないだ阿倍野のコオロギとりに行こうとしたら強い夕立  がくるいうて、あまりゆ、ゆ、ゆ、ゆ、言うもんやからぼくはおこったんやでェ!す  るとまもなくザァーザァーとたきみたいな雷と大雨がきたんや!…ウメちゃんはかみ  なり、あめおとこやな!…
 …死んだ母ちゃんの家は代々密陽(ミルヤン)の巫女王(みこおう)の家やったせいや! …
 …みこおうって?…
 …うらないの神様よ!…
 …ぼく、北海道の父ちゃんに会えるかどうか、ウメちゃんにみてもらう!…
 …あの子はいつでもと言うわけにはいかんのや…
 …でもぼくやったらなにを言うてもへいきや!…
 …ほんなら聞いてみぃや!…
 ぼくはさっそくウメちゃんに聞いた。
 ウメちゃんはどもりながらそれにはこたえられないと怒った顔をした。