吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期の大阪 四十五

2006年10月08日 06時43分12秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期の大阪  四十五

 金谷点柱(こんたにてんちゅう)
 田舎のばあちゃんから今日も木箱が届いた。
 …おんちゃんまた箱とどいたんや、トンカチや!きっとうまいもんやでェ!…
 …なんや毎日ごちそうがとどいて!おおきに!…
 おんちゃんはすぐ運びだして、トントンキィーキイ…と箱を開け釘はまっすぐのばしてくれた。ぼくとウメちゃんの大事な遊びどうぐやった。
 なかからでてきたのはカキでもイモでもない白と黄色と赤いモチやった。
 ぼくはモチはオゴウグやと思っていた。
 家のすぐうえに新田神社があってぼくの家はももで祭りをする役目がだいだいあるとばあちゃんから聞いている。
 さむらいのかっこうした大人たちが弓でおおきな的に矢をうつのである。
 まんなかにあたると太鼓がどどーん!どどーんと鳴った。
 するとかみしもすがたのおんちゃんたちが四角い餅をくばり始める。
 このモチはオゴウグと言ってもち米がつぶになってる不思議な餅や。
 母ちゃんはホシガキとおなじようにチョンチュウおんちゃんに箱のモチの半分をわけた。 チョンチュおんちやんは目になみだを浮かべて…おおきに!おおきに!と頭をさげた。 …ちょうせんの餅つきは蒸したもち米を麻ふくろにつめて女がりょうはしをもってひらたい石にたたいてつくんや、キネとうすよりようつけるでェ!もちはチァルや…
 …ふーんチャルかぁ、もちに思えんわ、けったいやな!…
 …このあかい餅はスゥスゥチァルや、ちょうせんでよう食べた!…
 …うれはコウリャン餅よ、コウリャンはスウスウかい!…母ちゃんはスウを口とんがらして言った。