吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

韓国旅の風景四十四

2006年06月03日 14時19分39秒 | Weblog
韓国旅の風景 四十四

 親切な駅員
 水原はかって李王国時代、南の要衝地であった。今も残る高麗は勿論、新羅や百濟時代の城壁が残っている。歴史的に由緒深い都市であり、三.一独立運動の時、水原の教会に詰め込まれた運動容疑者逹は日本人の放火によって多数の死者がでた所だ。       オリンピックの前年には地下鉄もソウルから延長して水原に達した。六十キロはある。 それまでの高速利用での水原の民俗村までは一時間十分は要した。
 オリンピック開催の年、私はこの線に初めて乗った。ソウルで百ウオンを払っただけで乗越の形で水原駅に到着、そのまま精算所を探してうろついていると、制帽かぶった駅員がなにやら慌てふためいて、私のもとへやってきた。
 一目で日本人観光客と見分ける才能はすべての韓国人は持っている。
 …社長さん!キップをおみせくたさい!…
 …はいっ!こくろうさんてす!とぅじょ…
 支払った乗越料は四百ウオン、約五十円、しかも電車はあたらしく快適だし、ソウル近郊のほかは殆ど地上を走ってくれる。
 私は韓国人のちょっとしたしぐさや心使いに日本人と違った面を発見する。
 ホームでうろつく私をいち早く見つけて精一杯の知ってる日本語で対応するやさしさに感動した。
 ソウル近く、銅雀(トンジャク)駅で友人が先に降りてください!と言ったので私は自動改札を通って階段をおりようとした時、上の窓口から私を指差してなにか呼び掛ける声が聞こえた。私の年が信用できぬのも無理はない。つまり六十才以上の老人は地下鉄は無料となっている。私はいつだれが見ても年より十才以上も若くみられるのだ。童顔を引きずって七十年、髪は黒髪でふさふさだ。
 七十才!私は韓国語で大きく返事して片手をふった途端、駅員はなんともいえない笑顔でまねして片手をふった。その日、ホテルに戻るまで一日が楽しかった。