吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

韓国旅の風景七十八

2006年06月23日 12時55分42秒 | Weblog
韓国旅の風景 七十八                             

 韓国の食べ物 その四
 ソウルから南へ車で約一時間も走ると利川の窯場地帯にはいる。李朝朝鮮王朝の昔からやきものの盛んな所である。
 いまでこそ窯主は作家となっているが、雑器の窯があたりに五十数ケ所もあった。
 作家というのは七五年に始まった伝承工芸展(国展)に出品する工芸家などを言う。  雑器として大皿、梅瓶、碗、壺などの調度品をつくる窯場も多く、それぞれ青磁、白磁、染付け、三島、辰砂など得意なものを焼成している。
 知人の青磁作家B氏の窯場も利川の新屯面水下里にある。広大な窯場の展示館の裏側に今も藁葺き屋根にロープを這わせた農家があり、蔡老夫婦が窯場の賄いをやっていた。
 五人の息子と娘逹は皆ソウルで働いている。
 窯場へは色々な人がおとずれてくるがなかには日本で有名な代議士などの政治家もやってくる時もあった。
 その都度田舎のこととて周囲にレストランのような気のきいた食堂はなく食事は蔡さんが用意する。
 急ぎの用事で私が午前四時にソウルを出発する時は、事前にB氏が電話しておく。   朝靄のゆっくり流れる窯場は車がなければ李朝の昔風景と変わらぬ落ち着きがあった。 朝。膳の上にならんだ小皿には、小魚の飴煮、切り干し大根の煮物、干し海苔、キムチ、カクテギ、焼き太刀魚、ワカメの味噌汁、明太子となかなか豪華である。
 蔡夫婦も同じ物を食べていると言う。
 昼。酒が全く飲めないB氏は機転をきかせて蔡さんが仕込んだマッコリルを頼んでくれた。すこし酸味があったがアルコール度数もあって結構行ける。
 小皿に並んだのは、イカと大根の煮物、トウガラシムルム(青唐辛子に粉をまぶして揚げたもの)肉饅頭入りの汁、ホウレン草のナムル、焼きサバ、プルコギなどこれもその種類は多い。
 御飯は麦入り飯だが結構これにコチュジャンをまぶして食べると食欲もでる。

韓国旅の風景 七十七

2006年06月23日 08時09分27秒 | Weblog
韓国旅の風景 七十七                             

 韓国の食べ物 その二
 市場には食べ物屋は数えきれないほどあるが、新世界百貨店(シンセーゲペッファジョン)裏通りから東への通路に並ぶ食堂街が一番であろう。冷麺専門、焼き肉専門、蔘鶏湯、ビビンバ屋など並んでいる。
 市場内の通りは九時頃には人込みで道のまんなかにはリヤカーや並べ板の上に衣類や靴類が山積みされる。時折、市場警備員の巡回はあるがいたちごっこが繰り広げられる。向こう気の強い韓国の女は時々警備員と激しいやりとりというより喧嘩を始める。
 売り子にしてみれば遠い所からリヤカーをひいて二、三時間もかけてやっと確保した場所をそうやすやすと取り払われては適わない道理だ。
 どの店も売り子のしゃべりは流暢である。
 一日に何十万人もの客が目の前に群がる場所は市場が一番である。 
 南大門周辺のプルコギ屋は数えきれないが、いつも行く市場の韓一食堂のブルコギの味は超一流である。
 たつぷりと染み込ませた下味の肉をジンギスカン鍋に上からどさっと投げ入れる。
 それにだしをとる沢蟹の醤油漬けが鍋のまわりに並べられる。
 大皿にはキムチの株を持ったアガシが突っ立ったままチョキンチョキンと鋏で切るとぼたぼたと皿におちてくる。空になるとすぐやってきて、チョッキンチョッキンと始まる。 食べ放題に近いくらいの量と麦酒大瓶二本で一万二千ウオン(当時の円で約三千円)もしない。
 観光ガイドに連れられて行く店はプルコギだけで一人五千円はとられ、味は南大門よりおちるのは仕方がない。