ファイティングトップ

スクラッチ木造帆船製作日記と映画、スタトレなどあれこれです。

ブラック・ダリア

2007年05月18日 | 映画
 LAコンフィデンシャルの原作者エルロイの原作です。LAコンフィデンシャルを含めいわゆる彼のLA三部作の第一作にあたる作品の映画化で、監督はデ・パルマ。1960に第一作を撮ってから、ほぼ、コンスタントに1~2年に一本撮っていたのが、ファム・ファタールから4年あいているので、気合いが入っているのかなと思ってみました。
 原作はかなり長くて、相当複雑なプロットなんですが、頑張ってまとめたって感じでした。日本で評判が悪い理由の一つに、ブラック・ダリア事件の映画だと思ってみてたら、なかなかそっちに話がゆかないのが挙げられてますが、まあ、原作もそうなので、それで責めるのは可哀そうでしょう。
 LAコンフィデンシャルに比べて、確かにすっきりしないまとまり具合に見えますが、ストーリーによる部分も大きいと思います。あの話をよくこれだけまとめたなというのが、正直な感想でした。それに二人の警官の名前がブライチャートとブランチャードって、かなり紛らわしい^^;流石に、映画では、愛称で呼ぶことの方が多かったのでそれほど混乱しませんが、原作読む時は、これがかなり鬱陶しかった記憶があります。

 ベースになった現実の事件は、迷宮入りですが、最近では、ジョン・フォード監督の親友で、天才外科医、LAの公職についていたシュールレアリストが行った犯行という説が有力なようです。邦訳もハヤカワから出ているので事件自体に興味のある方はどうぞ。

 映画の方は、原作ほどミスター・ファイア(アーロン・エッカート)のキャラが立っていなくて、その分、非常に似た関係にあるLAコンフィデンシャルに比べると魅力は落ちます。
 それにヒラリー・スワンク演じるマデリンが、これまた、葛藤があまり表現されておらず、おそらく原作を読まずに見ると、良くわかんないキャラになっているのではないでしょうか。

 一方で、原作では、ほとんど登場しない生前のブラック・ダリア(ミア・カーシュナー)は、オーディション・フィルムという形で、かなりキャラが立っていて、事件の残虐さが強調されていました。この人は、24で殺し屋やってた人だったと思います。芝居もかなりいけてました。

 デ・パルマのファンが期待する映像的な部分は、金もかかっていていいセットですし、撮影も、なかなかいい雰囲気が出ていました。

 でも、やはり映画のコアは脚本なので、その部分は苦しい感じです。決して悪い出来ではないのですが、キャラが全般的にかなり薄くなっているのは否めません。同じくかなり長い原作をうまくまとめたLAコンフィデンシャルと比較されるでしょうから、それも不利でしょう。

 この映画の見方として薦められるのは、見方としては邪道かもしれませんが、原作を読んでから見ることだと思います。
 本来この長さの原作だと、映画ではなくHBOあたりの大作ミニ・シリーズでやってくれるのが一番いいかも知れません。

ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組

東宝

このアイテムの詳細を見る

最新の画像もっと見る