ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

DAY41 九州 / 延岡ー宮崎 ハードな使用にUNIQLOは使えない! 『日本列島縦断 自転車の旅 2018』

2018年12月12日 | 自転車の旅 国内

昨夜まで降り続いた雨が上がったのだ。
朝日が眩しいじゃないか。

旅の健康をサポートしてくれたコンビタのマヌカハニーが

今朝、とうとう無くなってしまったぞ。
旅は終盤だ。

五ヶ瀬川は近年の大雨で少し傷ついているように見えたけど、

相変わらず美しい。

ただ、昨年までは見られた川舟は陸揚げされたのだろうか。

どこにも見えなかった。
写真は昨年の今頃だ。

五ヶ瀬川は、例えるならば、
森高千里のヒット曲「渡良瀬橋」がぴったりくる。
渡良瀬橋は栃木県足利市にある。ここは宮崎県北部なので全く関連はないけれど、五ヶ瀬川のそばにいると、自然とあの歌が聞こえてくるような気がする。

さて。
きょうのラウンド
「延岡ー宮崎」90km区間はこれまでにさんざん走ってきた。
昨年も走っているので、区間レポートは
昨年の記事を見てくれ。


チャリ旅の装備だけど、
誰にもそれぞれ一家言あると思う。
僕は本業が冬山山岳ガイドなので、山岳ガイドの服装や持ち物を基本としている。

「パタゴニア」のサポートをいただいているので、パタゴニアのロゴが入ったものがほとんど。

使える。
めっちゃいいよ、パタゴニア。

何がいいって、
パーカーでもレインウェアでもダウンでも、
コインランドリーの洗濯機でガシガシ洗えて、
コインランドリーの乾燥機でゴンゴン回せる。
専用の洗剤はいらないし、
専用のメンテナンス不要。
そんなことでゴアテックスが痛んだりしない。
雨水が染みてきた、汚れたハードシェルは、
洗って乾燥機にかけたら、新品の性能を取り戻すのだ。
ここが、他メーカーと大きく違う。
全然違う。

もちろん、お洒落も見逃せない要素だ。
パタゴニアを着て街を歩いても、三つ星ホテルにチェックインしても、NO問題。
だから町歩き用の服を持っていく必要がない。

だから、

ハードで長期の旅には、
パタゴニア以外は考えられないのだ。

僕は職業柄、アンダーウェアにこだわる。
いつも驚かれるのだけど、僕は冬山山岳ガイドの仕事の際、大抵は3枚着ている。
1.アンダーウェア(下着)
2.中間着(ダウンセーターやフリースなど)
3.ハードシェル(防風防水パーカー)
これで基本的にはプラス10度からマイナス20度まで対応できる。

一応、言っておくぞ。
北海道北部の厳冬期の冬山が仕事場だ。
着膨れる必要なんかない。
アンダーウェアはじめ、うまく選択すれば、
3枚でいいのだ。

この中で、もっとも重要なのが、
直接肌に接するアンダーウェア。
アンダーウェアで調整することが一番大事だと思っている。

これは、チャリ旅でも同じはずなのに、
今回は勝手知ったる「日本列島縦断」なので、
正直、油断した。

よせばいいのに、

UNIQLO

持ってきた。

わー。
やっちまった。

長袖、クールテック?
これは使えた。
汗をかいても、湿り気を速やかに発散させて、身体が冷えなかった。
運動中もサラサラ感で、快適だった。
多少テカテカした素材だけど、着てみたら案外と気にならない。

クールテック。これは合格。
使える。

しかし、問題は、
長袖、ヒートテック!

結論から言うと、使っちゃダメだ。
(使ってるやん!)

山なら最悪の場合、命落とす。
身体を冷やすトンデモ素材だ。

ドライ時の着心地はいい。
でも、
いったん運動し始めたら最後、暑い。
熱がこもり、発散されず、
さらにこの生地は汗を存分に吸う。

汗は生地に保持されたまま、風で冷やされる。
身体は冷えていく。
暑いのに、寒い。
身体はどんどん冷えていくのだ。

これはダメだ。
山なら死ねる。

このヒートテックはたぶん、
タウンユーズを想定している。
肌寒いオフィス、通勤の電車と、外歩きと、オフィスの往復の日常を快適にサポートするものだと思う。

使い方を間違った。

一枚だけ、いつも使っているものを持ってきた。
パタゴニアの、メリノウールのアンダーウェア。
ウールだから天然素材だ。

サラサラで、暑くなってもサラサラ感を失わない。
汗を発散し、速乾。
風で冷やされにくい。
風をブロックしたら、汗に濡れた状態でも保温を失わない。

素晴らしい。
チャリダーのための下着じゃないか。

メリノウールのアンダーウェアは、
パタゴニアにこだわる必要はないと思う。
ハウスメーカーでいいし、
ニュージーランドでは、羊毛家が農場の売店で売っていることもある。それは恐ろしく高品質なうえ、案外と経済的な値札がかかっている。

チャリダーにはメリノウールを強く薦めるぞ。
寒い季節にはぴったりだ。

UNIQLOは、いかん。
いかん、いかん。

きょうも穏やかな国道10号だ。

ストレスは少ない。

日向市の海岸が見える。

冗談だろ?って風景。

日向市の道の駅で、

チャリダーの昼メシ!

軽く柑橘系が、スーッとしみる。

「サザンカ、サザンカ、咲いた道〜
焚き火だ焚き火だ落ち葉焚き〜」♬
そんな童謡あるけど、まさにその季節だな。

山茶花。

ほんまにサザンカ咲いとるやん!
マジだな宮崎県。

道の駅「つの」で、

打ち出の小槌でドツかれてみた。
ここが、延岡ー宮崎区間の中間地点。

宮崎市の手前20kmくらい。

佐土原(市町村合併で現在は宮崎市に統合)の郊外でバイパス化する国道10号は避けて、

左の旧道を行こう。

めっちゃ快適だ。

本日の走行距離、

86km。

しかし、重大なトラブル発生。

15年前の冬山事故の古傷が酷く痛む。
膝はコキコキ軋む音がする。痛みは徐々に増大している。
この古傷との付き合いは長い。
このままでは経験上、次はこうなる。

このまま漕ぎ続けたら膝に「水」が溜まって、また松葉杖だ。水は病院で抜いてもらわなければならない。

んー。

明日は県境を越えて鹿児島県。
険しい峠など、
難所と呼べる場所はもうない。
あるのはコバルトブルーの海とバナナの木と寒椿の赤い花。
北風の援護もあるから楽勝だ。
日南、佐多岬、Uターンして桜島でゴール。

日曜日の夜には鹿児島で大河ドラマ「西郷どん」の最終回を見て号泣する。

月曜日には、その余韻に浸りながら鹿児島空港から北海道に帰る。

錦江湾上空から、西郷先生と桜島に別れを告げる。

そんな、
たまらん計画は、
ここまでは至って順調に来た。

それなのに、

最後の最後に、
困ったことになったぞ。

どうする俺!