最近の出来事

ニュースや新しいテクノロジー、サイエンスについて感じること。

地方の医療崩壊と保険制度

2011-05-01 20:44:12 | 日記

地方病院における時間外労働は常軌を逸している。
ある地域の中核病院では医師の残業時間が月100時間から200時間が当たり前。
ひどい月には240時間に達しそうな勢いだという。
単純に30日で割っても一日あたり8時間。
過労死の基準である月80時間がずいぶん短時間に見える。

その状態で日業常務をこなせるだろうか?
十分休息をとった人と慢性的過労の人とでは差があって当然だろう。
かといって夜間救急を閉鎖するわけにもいかない。
まさに、地方の医師不足は一線を越えた。

この問題は広く知られているように、国の政策によって引き起こされた。
弊害はあったが、古き良き医局全盛時代が懐かしい。
医局の派遣医師によって地方の外科や脳外科医療が支えられていたからだ。
また、労働に応じた報酬制度を考えなければ「見えざる手」によって小児科医や産科医がどんどん消去されるのは必然だ。

もちろん、腕の良い医師が病院に赤字をもたらし、合併症を多く引き起こす医師の方が病院の利益を押し上げる現在の保険システムにも再考の余地がある。
どんなに研鑽しても、新卒と同じ報酬しか受け取れない点数制度も矛盾を抱えている。
いわゆる社会主義医療制度であるが、内因的限界と矛盾によって崩壊寸前だ。

例えば、国民皆保険で保護が厚いため常に高価な最良の治療を求める。
当然のようだが、現実的には医療費の増大という深刻な課題をもたらした。
国際的に見ると、日本の医薬品の選択は特異的だ。
多くの国で重症患者にしか用いない薬が予防的に投与されたりする。
抗生物質の場合、これが本当に必要な際に耐性菌問題で難渋する一因でもある。

それに対して民間保険の場合、過剰投薬を避けるいろいろな制度を設けている。
そう言った努力が社会主義の中では失われていく。
ソ連の崩壊に象徴されるように社会主義の致命的欠陥がここにある。
日本の医療のその2の舞になる恐れがある。

日本の医療制度改革はこれ以上先延ばしできない。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。