神戸市営地下鉄の車両、どうやって地下に?
2015年9月21日14時45分
神戸市営地下鉄の海岸線の電車の車両は、どうやってあの深い地下まで運び込まれたのでしょうか。同線には地上部分がありませんし……。(神戸市垂水区 無職男性、86歳)
地上で製造した地下鉄車両を、地下の線路へどうやって入れるか。搬入用のトンネルがどこかに隠されているのではないかと、子ども時代にわくわくした人は多いのでは?
でも、現実はそんなにロマンチックではありません。東京メトロによると、地上にある車両基地からほとんどの路線に車両を送り込めるそうです。路線が違っても、路線同士をつなぐ連絡線が近接する駅間にあるためです。半蔵門線などは相互に乗り入れている東急線の地上基地から入れるとか。大阪市営地下鉄もほぼ同様だそうです。
神戸市営地下鉄海岸線も、地上に車両基地を持つ同西神・山手線と三宮か新長田駅付近で連絡線がつくられていて、そこから入れるのだろうと思っていました。しかし、市交通局の高橋宏和担当課長は「海岸線は西神・山手線とは全くつながっていません」。え、ではどこから入れるんですか? 「そこからです」
課長が指さす事務所の窓の外には、神戸市兵庫区の御崎公園が広がっていました。一面芝生の公園で、散歩に来ている人たちがちらほら。「この公園の地下には巨大な地下車両基地があって、車両は公園に隣接している建物内から地下基地につり下げて入れているんです」
課長とともに向かった地下車両基地はワンダーランドでした。地上にある搬入棟は、体育館のような建物で、深夜にトレーラーに積んで運ばれてきた車両1両がまるまる入ります。天井にクレーンがあり、これで車両をつり下げて、床に細長く開いている穴から、地下約12メートルにある線路に1両ずつ下ろします。先に台車を、その上に車両を下ろして固定します。
線路上で4両1編成に連結して、奥に続く車両基地へ。基地の大きさは長さ400メートル、幅100メートル。無数の蛍光灯に照らし出された巨大なコンクリート構造物で、留置線や検車場、洗車場など18本の線路が整然と並んでいました。「アクション映画のロケなどにも利用していただいています」と高橋課長。
基地内には、定期点検ができる整備工場もありました。車両の下に検査員が潜って点検したり、車輪をきれいに削る工作機械があったり、クーラーやモーターを圧縮空気で掃除したり。これだけの施設があれば地上に戻す必要もないのではと聞くと、「大規模な改修工事は地上の工場でなければ難しいですね」。
ただ、搬入口から車両を入れたのは、2001年の開業当時を除けば、12年末から13年年始にかけて1編成を改修工事に出した時だけとか。高橋課長は「ふだんはレールや大型機材の出し入れにも使っています。大切な地上との接点です」と話してくれました
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