第63回全日本吹奏楽コンクール全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)の高校の部が1日、名古屋国際会議場名古屋市)で開かれ、関西支部代表として後半の部に出場した淀川工科は金賞に輝いた。前半の部の明浄学院と大阪桐蔭はともに銀賞だった。

 淀川工科は37回目(特別演奏含む)の出場。自由曲は、大栗裕作曲「大阪俗謡による幻想曲」を演奏した。何者かが迫り来る不安な曲想から、大阪を象徴するおはやしが入り乱れ、チャンチキが鳴り響くにぎやかなお祭り騒ぎへ。迫力あるサウンドで聴かせた。

 この曲は、同校がコンクールでよく披露する「十八番」。10年前からは2年に一度、演奏している。「やればやるほど味の出る奥の深い作品だから」と指揮の丸谷明夫さん(70)。

 ログイン前の続き今年はこの曲、と最初から決まっているわけではない。部員たちが、他の候補曲も検討してきめる。部長の吉岡泉純さん(3年)は「やはりあこがれがあった。でも、今の自分たちには難しくて、必死でした。やってきたことは出せたと思います」と話していた。

 明浄学院は自由曲に長生淳作曲の「トリトン・エムファシス」を選んだ。冒頭では平穏な学生生活を表現し、心の葛藤を経て、社会に飛び出していくという三つの場面から構成された難曲だ。メンバーは体をリズムに合わせて揺らしながら、最初の場面はゆったりと静かなハーモニーで、最後の場面は社会人への出発の意欲を壮大なメロディーでホールに響かせた。

 この日は出場校のなかで一番最初の演奏だった。部員たちは午前2時に起床し、コンディションを整えたという。部長の住屋菜々穂さん(3年)は「朝一番で楽器が鳴るか不安だったけど、100%の力を出せたと思う。支えてくれる人への感謝の気持ちを込めて吹いた」。指揮の小野川昭博音楽監督(53)は「良い感じでした。皆楽しんで演奏できていた。ほっとしています」と話した。

 大阪桐蔭は自由曲にプッチーニのオペラ「蝶々夫人」を選曲。悲劇の筋立てを追うよりヒロインのいちずな思いを描くことに重きを置き、アリア「ある晴れた日に」などおなじみの旋律を各パートが歌うように奏でた。DVDで研究を重ねたほか、新国立劇場の鑑賞教室に部員全員で参加し、物語の背景を学んだという。

 部長の伊関茉穂さん(3年)は「できることはすべてやった」と満足げ。指揮台でジャンプするほどの熱演をみせた顧問の梅田隆司教諭(63)は「長い物語を8分にまとめるのは大変だったが、精いっぱい演奏できた」と話した。