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『 陸に上った軍艦 』

2007年08月21日 | 映画感想(ドキュメンタリー)
新藤兼人監督 95歳  日本映画界最高齢
「 どうしても言っておきたいことがある 」 でしたっけ・・?
ごくごく普通の 地味なチラシに書かれた この言葉に圧倒されました。


若い頃に 邦画を観なかった私は
残念ながら 彼の監督作品は
『 ふくろう 』 と 『 三文役者 』 しか観ていません。
脚本を書かれたものでは
深作欣次監督の 『 おもちゃ 』 のみ。
原爆をテーマにした 映画を何本も撮っておられることは知っていましたが
機会もなく 未見で
乙羽信子さんが 奥様。 というイメージのほうが強くありました。


のっけ・・32歳で 召集令状が来たときに
すぐ
” これで シナリオが書けなくなる ” と思った・・ と語られます。
戦場へ駆り出されるかもしれない恐怖よりも先に
そちらを思った・・・ということに ちょっと ビックリ
そしてすぐに
天職に就かれた 幸せなお方なんだな・・ と思いました。


「陸(おか)にあがった軍艦」 という言葉は
軍の方で使用していた言葉だったんですね。

ドラマ部分と 語りの部分で構成されるこの映画で
新藤監督は 
あまりにも淡々と話されます。
イヤだったことは もっと顔をしかめ 話すものではないか?
・・・と思っていた私は
またまた びっくり。
でも 体験された方だからこそ 
感情を交えがたいのかもしれません。
また 事実を事実としてだけ語り 
後は 観客にゆだねる・・ というお気持ちもあったのかもしれません。



軍隊での話は
小学校4年のときに 担任の先生からも
少しは 聞いていました。
その時は
子供だったし 平和な世界で のほほ~んですから
なにやら 「規律」が すごいらしい・・と思っただけ。
けれど
今回 この映画で 
   たとえば
   雑巾がけの仕方・・・動く方向 リズムが決まっていて そのとおりやらなければいけない・・・
というのを観て
強く強く 怒りを感じました。 
   いったい全体
   その動きを 完璧にしなければいけない意味があるのか????
 「 規律 」のための 「 規律 」 としかいえない押し付け!!!!

その 不条理さ 馬鹿馬鹿しさは 押し付けている上官個人のものではなく
組織の掟そのものの 不条理さなのでしょう・・・


本当に いろいろなことが 語られていますが
何より 一番心に残ったのは 
一番怖く思ったのは 
あの棒( すみません 名前を失念! )の 事でした。

わけもわからず
棒で 何度も殴られ 痛みに耐えねばならない・・・
「 理由なく 」 暴力に甘んじ もちろん手向かうことも出来ず
ただひたすら 痛みをこらえる・・・
そうして だんだんと「 考える 」 ことを ストップしてしまうのだ・・
というくだり。

     ああ・・そうなのだ こうして 軍は 人間の心をマヒさせ
     考えることを やめさせ
     生きている 心を持った 「 人間 」 を
     心のない 「 兵器 」 とさせていくのだ・・・・



淡々と語られる 新藤監督 95歳
だいたい 90を超えた時点で ちょっと 老いてくる方が 多いみたいです。

天性の仕事を得られた 監督には
これからも まだまだ 語りつづけ 書き( 描き ) つづけて頂きたいです。



  2007.08.16  「陸に上がった軍艦」  シネマスコーレにて  ★★★★






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2 コメント

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Unknown (Bianca)
2007-09-20 19:32:23
TB&コメント有難うございます。
小学校の時のお話、よほど強い印象だったのですね。
女性にはとくにつらいですね、こういうこと。だって、自分がならまだしも、恋人や夫や息子や兄弟が
曝される暴力って、もっと応えるのでは。。。
返信する
こちらこそ ()
2007-09-21 21:10:44
Biancaさん
こちらこそTB&コメントありがとうござました。
>女性には・・・
そっか・・私はそこまで想像していませんでした。
夫や恋人はともかく
子供のことを考えると 本当に身の毛がたちます。

ちなみに私は 人から
「子供のときをよく覚えている。すご~~い」とよく言われます。苦笑
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