宝物。

ひとり言など

Sonatine…

2015-07-02 22:32:52 | ボッタルガ

いいか…

 

その人はそう言った。

わたしは、ただ頷いた。

それがどういう意味か…なんかどうでも良かった。

 

わたしは、その時投げやりで、

この場から立ち去りたい気持ちでいっぱいだったのだ。

 

風が気持ちよかった。

ただそれだけで良かった。

 

星が夜空に散りばめられていて

道はどこまでも続いている気がした。

意識は朦朧としていて

景色さえも現実か夢か解らなかった。

 

夢だったのかもしれない。

 

やがて、空が白み始めた…

暗闇が少しずつ明るくなってゆく…

 

景色とは裏腹に悲しみが押し寄せてきて

感情が高ぶってきているのを感じた。

 

決して振り向かない背中を見ながら

その景色が歪み始めるのを

ありのままに受け入れた。

 

風が気持ちよかった。

すべてが洗い流された。

 

その時、水平線からまるで血のような

塊が現れる…

二人で同じ塊をただぼんやりと見つめた。

 

いいか…

 

わたしは、また頷いた。

意味などどうでも良かった。

 

風が気持ちよかった。

ただ、それだけで良かった。

 


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