いいか…
その人はそう言った。
わたしは、ただ頷いた。
それがどういう意味か…なんかどうでも良かった。
わたしは、その時投げやりで、
この場から立ち去りたい気持ちでいっぱいだったのだ。
風が気持ちよかった。
ただそれだけで良かった。
星が夜空に散りばめられていて
道はどこまでも続いている気がした。
意識は朦朧としていて
景色さえも現実か夢か解らなかった。
夢だったのかもしれない。
やがて、空が白み始めた…
暗闇が少しずつ明るくなってゆく…
景色とは裏腹に悲しみが押し寄せてきて
感情が高ぶってきているのを感じた。
決して振り向かない背中を見ながら
その景色が歪み始めるのを
ありのままに受け入れた。
風が気持ちよかった。
すべてが洗い流された。
その時、水平線からまるで血のような
塊が現れる…
二人で同じ塊をただぼんやりと見つめた。
いいか…
わたしは、また頷いた。
意味などどうでも良かった。
風が気持ちよかった。
ただ、それだけで良かった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます