0192 (写真) 長年愛用の 「広辞苑」 昭和51年 第二版補訂版
1月21日の新聞やネットに、10年ぶりに改定された「広辞苑」第6版の中に誤りがある、との記事が出ている。
NHKのニュースでも取り上げられ、在原行平の伝説の舞台が芦屋となっているが、正しくは神戸市の須磨だという。
能の「松風」の舞台は現在の「須磨浦公園」のあたりではないかと思うが、大阪転勤時代に3年位この近くに住んでいたから、雰囲気的にもよくわかる。
確かに夙川 ( 芦屋と西宮の境界)あたり は、神戸の須磨浦公園と似て、松の風景もある。
広辞苑の執筆者は松の付く地名の多さにだまされたのかも知れない。(松ヶ丘町、平松町、松園町、松生町、老松町、松原町、松下町・・そのものズバリの松風町もある )
辞書の一項目に誤りがあるからといって、新聞と、NHKの騒ぎ立て様は異常とも思える。
これが新聞記事になり、7時のニュースで取り上げられたのには首をひねらざるを得ない。 ミスはテレビの報道であれば毎日のようにあり、サラッとひと言 「訂正してお詫びします」 で終わりとなる。 新聞などは訂正すらしないのが普通だ。
根底には、マスコミ3媒体の他媒体攻撃にあると思う。
日本語に関して、新聞は新聞独特の堅苦しい日本語表記を国民に押し付けてくるし、NHKはアナウンサーが使う言葉が日本語のスタンダードだという傲慢な態度で電波を日本中に撒き散らす。
出版界での日本語表記は、概ね岩波の「広辞苑」が採用される事が多かったので、今回の誤記についてはNHKも、新聞も、鬼の首を獲った様な気になっているようである。
だから、これが広辞苑(国語辞書の代表)でなく、他の辞書なら、新聞もNHKも問題にはしないはず。
広辞苑は昭和30年が第1版だから、もう半世紀以上経つが、“正しい日本語”のバイブルとして、物書きや各界の知識人から絶大なる信頼を得た。
写真は第2版の補訂版で、ワープロ普及以前はよくお世話になったものだ。 ほぼ10年で改定し今回の第6版となっているが、広辞苑こそ、“ アナログ昭和 ” の大切なしるべだった。