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真に問題なのは…陸前高田薪騒動にみる原子力災害の深刻さ

2011-08-13 11:30:25 | 原子力災害
善かれと思った行いが思わぬ事態を引き起こすことは、ときどき経験するところだが…。

今回の騒動では、感情論に押し流されて、真剣に考えねばならないことが見過ごされがちになっているのは残念なことだ。

ことの発端はやはり大震災後の原子力災害の発生に他ならない。

つまるところ、そこに原発がなければ、こんなことにはならなかったはずだ。

誰が薪を送ったとか、送らせたとかいうことは些細なことだ。
「大文字・五山送り火」の主催者「大文字保存会」の中で、今回の薪の使用に反対した人は悪者にされたが、結果的に賢明だったと言わざるをえない。

枝野官房長官の指示により、気象庁が4月にやっと公表した放射性物質拡散予想では、北海道の一部から九州上空まで日本列島の広い範囲に放射性物質が拡散し、朝鮮半島にまで放射性プルームが及んでいる。
風向きによって、時々刻々変化はあるはずで、日本列島全てが汚染されたと思って間違いはない。

一定期間、屋外にあったもの、植物など、程度の差はあれ、全て汚染の可能性を否定できない。野菜、茶、稲わら、牛肉、馬肉、腐葉土、堆肥、薪、キノコ、ヒラメ…と汚染の連鎖は続く。
人間など自然界にあっっては小さな存在であることを感じずにはいられない。
にも関わらず、身の破滅を招きかねない大それた愚かな行いに奔ってしまったものだ。

屋外に長くあったものに触れたり、使用する場合はしっかり洗浄しなければならない。勿論洗浄水は放射性物質による汚染水として下水に流され、一部は土壌や地下水を汚染し、一部は、日本人だけのものではない海洋を広く汚染することになろう。

汚染したものを焼却することにより大気中に放射性物質が拡散することは外部被爆にとどまらず内部被爆のおそれもあり、できれば薪は焼却しないほうが無難だったといえよう。
もっとも、家族や親しい人を失った三陸の被災者の気持ちは、そんなものには左右されないだろう。苦々しい限りだ。

ネットでは、面白おかしく、東日本対西日本のバトルに仕立てている向きもあるが、日本は狭いのだ。誰一人として福島第一原発事故と無縁の居住者はいない。

誰も悪くないでは済まされない。筆者を含め原子力政策に無関心だった、あるいは電源三法交付金に目が眩んだ大人たちすべてに責任はある。

日本の次世代を担うこどもたちを守るためにも、徹底的な検査を急ぎ、実効性ある対策を講じる必要がある。
そして、直ちに健康被害を受けることのない50歳代以上の人間から、多少の被爆は覚悟で、国内産食材を消費しないと日本の第1次産業従事者は餓死してしまうだろう。

マスコミには国民の知恵を引き出すような報道、解決策を提起するような報道を期待したい。

放射性物質汚染の事実を隠蔽することなく、国内だけではなく国際社会に向け、情報を公表していかねば、日本の国際的地位は地に落ちる。

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