昨年11月に金沢を訪れた際、輪島塗の箱を探したのだが、丁度良いものが見つからず、諦めたところだった。
輪島まで行けば、きっと見つかったに違いない。
能登半島地震で、ほぼすべての輪島塗職人が地震津波被害を受け、復興は困難を伴うというニュースに心を痛めた。
東日本大震災の被災県住民は、このたびの津波被害が他人事とは思えないはずである。
ここで少し、岩手県内で国と協働し行われている漆づくりと漆塗り技術保護事業について案内したい。
岩手県県北地方は、国内の漆の75%を算出するわが国最大の漆産地であり、浄法寺漆の名で知られている。
ただ、国産漆は国内で使用されている漆の5%にすぎないという。
国指定文化財建造物の修復には国産漆を使用しないと劣化が著しく、浄法寺漆の使用が欠かせないのだという。
加えて、近年、後継者不足に悩む漆産業であり、生産量の維持・増産は難しくなる一方である。
そこで、岩手県二戸(にのへ)市は「漆の郷推進課」を設置し、ユネスコ無形文化遺産の登録を受け、漆と浄法寺塗の保護に乗り出したところである。
岩手県二戸市、八幡平市は文化庁や林野庁と協働し、ウルシの植栽、国有林野を活用した漆の林づくり、漆掻きの技術、漆塗り技術の保存に係る助成を行い、漆産業全体の保護推進に努めているところである。
余談であるが、故瀬戸内寂聴師が住職を務めた天台寺はこの二戸市浄法寺にある。
輪島塗関係者には、全国の漆塗産業が協力することになるだろう。
すでに国・地方自治体・民間が協働する岩手県の「漆の郷」において、日本の漆「JAPAN」の保護推進に向けて、輪島塗復興の足掛かりを模索してみてはいかがなものであろうか、と個人的に考えた次第である。
【国産漆の産地・主な漆器の産地】
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