日鉄のUSスティール買収問題について、石破総理は「言うべきことは言う」と米国側に日本の立場を主張すると発言した。
ネット上やTVメディア上でも、結構多くの人が対米姿勢について「卑屈になるな」という態度を示し、日鉄の提訴を支持している。
日鉄とUSスティールは、「買収計画を阻止するために」違法行為で共謀したとして、全米鉄鋼労働組合のデイヴィッド・マコール会長と、米競合クリーヴランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)をペンシルヴェニア州で訴えた。
USスティールの拠点のペンシルヴェニア州だからUSスティール寄りの判決が期待できるのだろうか。
バイデン大統領とCFIUS=対米外国投資委員会 、イエレン同委員長まで提訴したことに日本のネット民の中に快哉を叫ぶ者がいるが、喜ぶのは裁判に勝ってからにした方がよい。
しかも、米大統領がトランプ氏に替われば、事態は日鉄にとって良い方向に変わるとみる向きもあるが、ナイーブすぎる。
この買収の成功のために、日本はどのくらい巨額のBig Dealに応じねばならないのだろう。
在日米軍基地維持のための費用全部だろうか。
トランプ氏が安倍氏と親しかったというのはまったく次元の異なる話だ。
今、トランプ氏が安倍昭恵氏を厚遇する大きな理由は、故人を称え、友情に厚い男というイメージを作り上げるのに役立つからだ。
政府は買収成功に向けた次の戦略が出来ているのだろうか、そしてそれで勝ち目が見込めるのだろうか。
戦略なしに「言うべきことを言う」というのであれば、それは「虚勢を張る」姿にしか見えない。