あれほどダンマリを決め込んでいたOld Mediaも今や連日、フジ中居問題一色である。
最近では中居氏はすっかり影が薄くなってしまった。
これまでの”たのしくなければテレビじゃない”フジテレビの歴史は、最近、動画サイトに流出した1989年の入社案内「できればフジテレビで働きたい」というビデオを見ればよくわかる。
この昭和のビデオの中で、面接官はタバコを吹かし、著名な女子アナたちが魅力的な笑みを振りまいている。
フジテレビに限ったことではないだろうが、この業界は政治家や上流家庭の子女たちが多いらしいし、出身校も偏っている。
自然と身内意識も強くなるだろう。
先日の記者会見では、遠藤副会長、港社長らは一流企業、メディア企業のトップとは思えない人権意識、リテラシーの低さ、ボキャブラリーの貧困さを露呈した。
ノーベル文学賞候補の息子と言われるのはつらいだろうが…。
一つあげるならば、被害者女性アナウンサーとされるX子さんについては、”彼女”を連発、れっきとした一流企業であれば、公式の場では”当該女性社員”と表現するはずだ。
このような軽佻浮薄な社風は旧日本軍慰安所設置に携わった鹿内信隆氏から日枝氏に至るまで連綿と培われてきたものなのだろう。
前置きが長くなった。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門で、性被害を告発した伊藤詩織氏監督の『Black Box Diaries』がノミネートされている。
山崎エマ氏監督の『Making of a Japanese』(邦題『小学校ーそれは小さな社会』)もノミネートされている。
『小学校ーそれは小さな社会』の20分程度の短縮版を見た。
どこかきゅっと心を締め付けられる良質のドキュメンタリーであった。
一方、『Black Box Diaries』は日本で公開されていない。
種々の圧力があり、公開できないのだろう。
一万人近いアカデミー賞選考委員がどの作品を選ぶかは分からない。
米国内でいえば、この業界は圧倒的に民主党支持者が多いだろうから、伊藤氏の『Black Box Diaries』が受賞するかもしれない。
BBCで大きく取り上げられた故ジャニー喜多川氏によるSexual assault(性犯罪)、そのジャニー事務所で育てられた中居正弘氏による性加害、見て見ぬふりをするどころか性加害をサポートするような風潮を助長してきたフジテレビエンタメを筆頭とする爛れた業界のありようが看過されてよいはずがない。
性犯罪を軽視し、被害者に冷たい日本社会は、朝鮮人慰安婦の問題と連動し、再び国際的に批判の俎上に載せられるだろう。
忘れてはならない。
朝鮮半島出身者の女性より圧倒的多数の日本人女性が、慰安婦あるいは慰安婦同様にみなされ働かされてきた歴史が今も続いていることを。