つづき
パクパクムシャムシャ倉庫の中には
パオーンの食べる音だけが響きます。
ユーカリの葉っぱは嫌いなパオーンですが、
お腹が減ってどうでも良くなっていました。
野球でもできそうな倉庫の中一杯の食糧を、
パオーンは30分で食べてしまいました。
ハッシィ「どっひー無くなっちゃた。」
パオーン「エネルギー充填でーす。ゲップ」
ハッシィ「ともかく急ごう!」
要塞の真ん中にそびえ立つ高い司令塔の中に、
コアラ面相はいました。
コアラ面相「まあ手違いもあったが、大方うまくいったな。」
その時けたたましい警報が鳴りました。
ジリリリリージリリリリーウーウー。
コアラ面相「何ごとだぁ。」
「何者かが基地に侵入、
何者かが基地に侵入、
警戒態勢をとれ。」
コンピューターの声が響きます。
サングラスのコアラがコアラ面相に走り寄って来ました。
サングラス「何者かが食糧庫に侵入、
我々の二ヶ月分の食糧が消えました。」
コアラ面相「200人分の食糧が無くなっただと?」
サングラス「はい、きれいさっぱり。」
コアラ面相「早く犯人を探し出せー。」
サングラス「急いでかかります。」
コアラ面相「しかし食糧が無いと、ここを離れるかまてよー。
おい補給船に連絡をとれ。」
直ぐにコアラ面相の部下が、
近くに来ている補給船に連絡しました。
部下「ボス補給船に繋がりました。」
コアラ面相「緊急事態だぁ、今どのあたりに居る?」
補給船「今基地まで一時間の所です。」
コアラ面相「食糧は積んでるか?」
補給船「もちろんパンパンに積んでます。」
コアラ面相「よかったこれで当分基地は離れずにすむ。」
すると補給船の無線から悲鳴が聞こえました。
補給船「なんだあれはー、うっひゃー巨大カエルだぁ。」
コアラ面相「また巨大ヒキガエルかぁー。」
補給船「うっわぁー次々に食糧が飲み込まれて行きます。
あっ船員も飲み込まれて行きます。」
コアラ面相「直ぐに攻撃ヘリを出せ。」
部下「わかりました。」
パラパラパラパラ
攻撃用ヘリコプターが三機飛びたって行きました。
その頃ハッシィとパオーンは地下の部屋に隠れていました。
パオーン「先生聞きたい事があったんですが?」
ハッシィ「なんだね。」
パオーン「あの巨大なカエルのロボットは何ですか?」
ハッシィ「ああーこれがリモコンだけど、レンタルロボットだよ。」
パオーン「レンタルって?お金がいるんですか。」
ハッシィ「まあねでも銀行から盗まれた
金塊やダイヤモンドを取り返して賞金を貰えば、
その報酬に比べたら少ないレンタル料金だよ。」
パオーン「ともかく、銀行から盗まれた物を探しましょう。」
ハッシィとパオーンは厳重な金庫みたいな扉の前にいました。
つづく
つづき
サングラス「凄い怪力の象だぞ。」
ハッシィコアラ「ダジャレですか?」
サングラス「ちがーう暴れ出したら事だ、
今のうちに外に放り出せ。」
ハッシィコアラ「ヘーイわかりました。」
ハッシィは持っていたリュックから素早くコアラの着ぐるみを出すと、
パオーンに着せて近くにあった美術品をヘリコプターから落としました。
ハッシィはサングラスのコアラの所に行くと言いました。
ハッシィコアラ「象は放り出しました。」
サングラス「わかった部署にもどれ。」
ハッシィコアラとパオーンコアラがヒソヒソ話しています。
パオーン「先生予定通りですね。」
ハッシィ「今のところね。」
パオーン「秘密のアジトはいったい何処でしょう。」
ハッシィ「遠くはないだろう、
ちゃんと無線と発信器は持って来てくれたかい?」
パオーンはぺっちゃんこの袋を出しました。
パオーン「もちろんですよ。」
ハッシィはぺっちゃんこの袋を受け取ると中を見ました。
ハッシィ「うっひゃー最新型の薄型無線かと思ったら、
限りなくセンベイみたいに潰れてるよ。」
パオーン「暴れた時にやっちゃいました。」
ハッシィ「まあしょうがない、
秘密のアジトに着いたらどうにかしよう。」
ハッシィはヒキガエルロボットのリモコンをポチリと押しました。
美術館の広場にいたヒキガエルロボットの目がピカーンと光りました。
ハッシィ達の後を追うようにヒキガエルロボットが、
ビョーンビョーンと跳んで行きました。
パラパラパラパラ
8機のヘリコプターが夜空を飛んで行きます。
サングラス「ボスそろそろですぜ。」
コアラ面相「わかった。」
コアラ面相はパソコンのスイッチを押しました。
すると海辺の別荘から2キロ沖合に
ブクブクブクと泡が上がって来ました。
そして海の中から巨大な要塞がセリ上がって来ました。
ヘリコプターの中のパオーンが言いました。
パオーン「先生ハッシィ探偵事務所とえらい違いですね。」
ハッシィ「いつかは立派な事務所を持つよ。」
パオーン「自動食器乾燥器と綺麗なお皿ですか。」
ハッシィ「立派な喫茶店じゃなくてー」
パオーン「レストランですか?」
ハッシィ「飲食業じゃなくて、探偵事務所だよ。」
パオーン「頼みます。」
ヘリコプターは海の中の要塞に次々に着陸して行きます。
ハッシィ達も要塞に上陸しました。
パオーン「凄い基地ですね。」
ハッシィ「さあ連絡手段を考えよう。」
ハッシィとパオーンは他のコアラから離れて
倉庫の中に入って行きました。
倉庫の中には食糧が入っていました。
ほとんどユーカリの葉っぱです。
パオーン「うっわぁ食べがいがありそうだ、
先生朝から何も食べてないのでお腹が減りました。」
ハッシィ「食事してる暇なんかぁ。」
もはやハッシィの声はパオーンには聞こえませんでした。
パクパクパク、
ユーカリの葉っぱを食べて行きます。
つづく
つづき
コアラ面相はウッヒャヒャと笑うと、
持っていたリモコンのスイッチをポチリと押しました。
すると広場の隅に置いてあった、
ホットドッグの屋台がグイーンと動き出しました。
ガチャーンガシンガチャーンと音がすると、
巨大カマキリロボットに変身して美術館の壁を壊し始めました。
警備の警官が拳銃で
ドギューンドギューンと撃ちますがびくともしません。
美術館の中ではコアラ面相の部下が
館内の警備員をしばりあげていました。
何せ100人以上の部下です。
モニター室のハッシイも捕まってしまいました。
ハッシイ「くそう捕まってしまった、僕の役目は終わったな。」
ボンッと煙りが出ると、
ハッシイはポンキチに変わって縄をほどいて走って行きました。
その頃本当のハッシイは、
コアラ面相の部下に変装して美術館の中にいました。
美術館の中では黄金の像に化けたパオーンが暴れています。
コアラ「凄い力だぁ、皆でかかれー。」
パオーンはコアラを次々に投げ飛ばし、
美術品を破壊して行きます。
コアラ「美術館を守ってるのか、壊してるのかわからないぞ。」
それでもコアラ達は次々に飛び掛かり、
ついにパオーンを捕まえました。
コアラに変装したハッシイが小さな声で言いました。
ハッシイ「全て計画通りだ、美術品は昨日のうちに全て偽物にしたし。
あとは秘密のアジトに潜入するだけだぁ。」
コアラのハッシイは窓まで行くと、
持っていたリモコンのスイッチをポチリと押しました。
すると ゲコゲコゲーと凄い鳴き声が聞こえ、
ズシーンと広場に巨大ヒキガエルロボットが跳んで来ました。
そして美術館の壁を壊していたカマキリロボットを
長い舌でパクリと食べてしまいました。
コアラ「うっひゃーヒキガエルだぁー撃てー。」
雨のような拳銃の弾がヒキガエルに当たりましたが、
ゲコゲコゲーと鳴くと長い舌で次々にパクパク
コアラを飲み込んで行くだけです。
サングラスのコアラが赤い眼鏡のコアラ面相に言いました。
サングラス「駄目です部下の半分がカエルに飲み込まれました。」
コアラ面相「きっとハッシイとか言うオトボケ探偵だな、早くヘリコプターを呼
べ。」
サングラス「はい、わかりました。」
次々に大型のヘリコプターが飛んで来ました。
コアラ面相「ヒキガエルに例のミサイルだぁ。」
サングラス「はい唐辛子ミサイル発射。」
ヒュードゴーン唐辛子ミサイルがヒキガエルロボットに当たり、
辺り一面真っ赤になりました。
コアラ面相「今だぁー、ヒキガエルに捕まった部下を助けて、
美術品ごと離脱だぁ。」
ウワァーと声がすると、
ガスマスクをしたコアラがヒキガエルから仲間を助けて
ヘリコプターに乗り込みます。
それを美術館の窓からポンキチが見ていました。
ポンキチ「先生頼みますよ。」
まんまとヘリコプターに乗り込んだハッシイは、
いきなりサングラスのコアラに呼びつけられました。
サングラス「なんで、こんな象まで連れてきたんだぁ。」
ハッシイコアラ「いや縛ってあったもんですから。」
つづく
つづき
モニターを見ていたハッシィが言いました。
ハッシィ「妙に白熊の子供ばかりだ、
もしかしたらコアラ面相の部下かもしれない。」
警部「まさか部下が白熊に変装してるとでも?」
ハッシィ「だって百人位が白熊だなんて、
ここはブタブタタウンなんだからブタが一番多いはず。」
警部「えっーブタブタタウンはブタが多いから、
ブタブタタウンだったのかー。」
ハッシィ「へっじゃ今までどう思ってたんですか?」
警部「たんにブタブタと言う響きがいいからとか、思ってたのにー」
ハッシィ「ブタブタタウンの起源は、
白ブタファミリーと黒ブタファミリーが
トウモロコシ畑を開拓した時から始まるんだよ。」
警部「よく知ってますね。」
ハッシィ「それより白熊を調べなくちゃ。」
警部「トウモロコシ畑は順調だったんですか?」
ハッシィ「いや初めは失敗の連続で、そこに救世主が現れます。」
警部「ほほう救世主って、またブタさんですね?
ブタブタタウンだし。」
ハッシィ「それはカッパです。」
警部「なんで?ブタブタタウンなのに。」
ハッシィ「その頃なかなか雨が降らなくて、
畑の作物はどんどん枯れて行きました。
そのカッパが池に住む様になってから雨に困る事が無くなりました。」
警部「救世主と言うより守り神みたいですな。」
ハッシィ「それより白熊を調べましょう。」
警部「やはりそのカッパは、オッカイさんのお爺さんか何かですか?」
ハッシィ「今のオッカイさんです。」
警部「どっひゃー何百年生きてるんだろう。」
ハッシィ「さあカッパの寿命はわかりません。
それより白熊をー、あっわかった貴様コアラ面相だな。
上手くヒグマ警部に化けたつもりだな?」
警部「何を言いだすんですか?」
ヒグマ警部の顔がくもります。
ハッシィ「妙に白熊から話しをそらすのは、自分の部下だからだ。
それによく考えたらヒグマ警部は今ゴミ収集をしている時間だよ。」
警部「くっそうバレたかー。」
ヒグマ警部の顔の下から赤い眼鏡をしたコアラが現れました。
ハッシィ「でたなコアラ面相、とりゃー」
ハッシィの得意の回し蹴りがコアラ面相を襲います。
サッと避けて、コアラ面相は窓から飛び降りました。
飛び降りながらコアラ面相は大声で言いました。
コアラ面相「ハッシィ貴様の計画はお見通しだぁ。」
そしてコアラ面相は一階に着地しました。
ハッシィは窓から顔を出して言いました。
ハッシィ「何だとどういう事だぁ。」
コアラ面相「黄金の象の像なんてあるものか、
そんな物があればとっくに頂いているさ。」
ハッシィ「じゃ何で現れたぁ。」
コアラ面相「この美術館の物を全部頂いて行くまでだ。
黄金の象の像はいらんがね。」
コアラ面相の部下が、
白熊の着ぐるみを脱ぐと辺り一面コアラダラケになりました。
つづく
つづき
ブタブタタウンの朝刊の一面に記事が載りました。
『インドの秘宝黄金の象の像ついに美術館にて一般公開、
土曜日だけの特別公開!』
金色の象さんの写真がデカデカと写っています。
朝の海風に当たりながら、
テラスでゆったりとした椅子に座って新聞を見ているコアラがいました。
コアラ「ほほうやはり罠っぽいな。
しかし私の計画に狂いはない。」
サングラスをしたコアラがやって来て言いました。
サングラス「ボス皆配置は完了しました。」
コアラ「じゃ明日の土曜日に世間をあっと言わせてやろう。
うっひゃひゃひゃ。」
そのころハッシィ探偵事務所は
朝のモーニングの時間で戦争の様になっていました。
ハッシィ「一番テーブルモーニング二つ、
ホットコーヒーとレモンティー。」
パオーン「サンドイッチあがりました。」
ポンキチ「三番お勘定お願いします。」
パタパタと喫茶店の仕事を終わらせると
もう10時をまわっています。
三人はホットミルクを飲みながら明日の相談です。
パオーン「僕が黄金の像になって待ち伏せですね。」
ポンキチ「本当にそんな作戦でいいんですか?」
ハッシィ「まあ作戦はこれからだよ。」
パオーン「あっ明日のランチは何にしよう?」
ハッシィ「明日の土曜日は臨時休業だよ。
怪盗コアラ面相と勝負になるからね。」
ポンキチ「本当ですか久々に寝坊ができる。」
ハッシィ「朝から準備だよ。」
ポンキチ「ウッヒャー」
ハッシィ「それと本当の作戦はだね。」
ゴニョゴニョと作戦の相談が続きます。
土曜日は朝から雨が降っていました。
ホットドックの屋台を引いた、
パンダが広場を横切っていきます。
すると ブタの警官が近づいて行きました。
警官「君ー今日は広場で店を出しちゃいかん。」
パンダ「何でですか?
ホットドックを売らないと商売になりません。」
警官「知らないのか?
今日はインドの黄金の象の像が公開される日で警備にじゃまだからだ。」
パンダ「いつも広場で商売してるんでさぁ、
そこをなんとか。」
警官「駄目な物は駄目だ、それに今日一日だけなんだから。」
警官は冷静に言いました。
パンダ「じゃだんな明日まで広場の隅に屋台を停めさせてくれませんか?
歳のせいか屋台が重くって。」
パンダはフーフーと肩で息をしています。
警官「邪魔にならない所だぞ、
警部に見つかったら私が怒られる。」
パンダ「有難うございます、
年寄りに優しいおまわりさんだぁ。」
パンダは広場の隅に屋台を置くとニヤリとして帰って行きました。
パンダの中にはコアラが入っていました。
コアラA「こちらA班準備完了しました。」
その時ハッシイは美術館の警備室でモニターを見ていました。
横にはヒグマ警部もいます。
ハッシィ「いよいよですね。」
警部「今日で怪盗コアラ面相も終わりですな。」
ハッシィ「それにしても一般入場者が小さな白熊ばっかりですね。」
つづく