Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 ジョージの涙(ぼくは日本人だ)第10回

2011-06-15 02:42:32 | 日記
ジョージとマキは自分達の母校である、
「呉市立和庄小学校をしばらく眺めていた」
 しばらくしてジョージが口を開いた。
「ここからしばらくいったところに神社があったよのう」
 マキに確かめるように言った。
「うん、高日(たかひ)神社じゃろ」
 マキが言葉を返した。
「うん、それそれ」
 二人の足はどちらからともなく神社に向いていた。
神社にたどり着くと、一人の八十歳を越した女性が必死で神社に拝んでいた。
 この女性は、
「ジョージが毎日無事でアメリカで暮らしていますように」
 と言っている。
この声を聞いてジョージの目から見る見る大粒の涙がこぼれた。
「母さん」
 声を主を見た年老いた女性もジョージを見るなり大粒の涙をこぼしたのである。
「ジョージ」
 この声と共にジョージにしがみついたのである。
親子の四十八年ぶりの再開だった。