Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 ジョージの涙(ぼくは日本人だ)第4回 

2011-06-09 04:17:48 | 日記
 平成23年6月、街の音楽家モンティーミヨシは生まれ故郷の広島県呉市の街角でコンサートを開いていた。路上ライブである。
 そこには熱心に聴いている外国人の姿があった。モンティーミヨシのハーモニカを聴いて涙をこぼしている。その涙はモンティーが、
「上を向いて歩こう」
 を演奏し歌を唄った時に最高潮に達した。演奏終了後モンティーは熱心に聴いてくれるこの外国人に声をかけた。
「ユー・ラブ・スキヤキソング(上を向いて歩こうの事、アメリカではこの歌はこう言われた)」
 このモンティーの問いかけにこの涙を流している外国人は日本語で、
「ボウヤのハーモニカは最高です」
 と答えるのだった。
モンティーミヨシが小学生の頃、ボウヤと呼ばれていたのを知っている。
「上級生に違いない、ひょとして岡田ジョージさん」
 モンティーはこの外国人に声をかけた。
「岡田ジョージさんですか」
 このモンティーミヨシの問いかけに外国人は、
「そうです」
 と答えた。
「ボウヤは私がアメリカに旅立つ時、ハーモニカで上を向いて歩こうを呉駅で演奏してくれました。忘れはしません」
 48年ぶりの再会だった。