Seiji Ninomiya (二宮正治)

Let me tell "JAPAN NOW"

二宮正治の短編小説 ジョージの涙(ぼくは日本人だ)第6回 

2011-06-11 02:44:12 | 日記
 広島県呉市に48年ぶりに帰ってきたジョージだった。小学校の後輩の街の音楽家モンティーミヨシとの再会を果たしたのを皮切りに、かつての仲間と次々に再会を果たしたのである。
「岡田君」
 同級生達はみなジョージの事をこう呼んだ。
その昔彼は、
「おれの事をジョージと呼ぶな」
 と言っていたからである。
「アメリカでは長い年月何をやっとったんかいのう」
 この同級生の問いに、
「日本語教師をしとったんよ」
 と広島弁いや呉弁で答えた。(広島市と呉市は隣同士だが微妙に喋る言葉が違う)
「あんたあ、生徒に呉弁を教えたんじゃあるまいのう」
 この同級生の問いかけに、
「おーほうかもしれん」
 とジョージが笑って呉弁で答えた。
「生徒がたまらんでえ」
 みんな大爆笑である。