記事タイトルにリンクを張っておくので、興味のある方はチェックしてみるとよい。中島孝志氏は、企業戦略等を数式化して、算術的に表現する記事を多く書いており、比較的分かりやすく面白い。
今回は、日清食品の「ご当地商品の地域浸透に関する企業戦略」を数式表現し、とらえている。
例えば、その広報戦略について、「全国的に観ると…『全国紙>地方紙』」、しかし、「でも地域で見たら…『地方紙>全国紙』」との見方をしているとのことである。
つまり、後方戦略の面でも、全国土地法の双方の視点に立ち、広報戦略の組み立てがなされているということである。
また、商品自体の質の面からも、例えば、関東と関西で「味の基礎となるダシのとり方を違える等、きめの細かい対応と行なっている」とのことである。
日清食品は食品企業ではあるものの、このような、「企業戦略の組み立て」という面では、参考にすべき「ものの見方・考え方」があるように思われる。。。
記事を引用しておく。
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記事引用(一部引用)
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…(前半部略)…
こうした全国CMと並行して日清食品は、ご当地商品を次々に開発して、その地域の消費者をがっちり押さえています。お笑い芸人の陣内智則とタレントのなるみが司会を務める、よみうりテレビの朝の番組「なるトモ!」。日清食品はこの番組とタイアップ、1月21日から「大阪篇・焼肉風味ラーメン」と「京都篇・ベジタフルらーめん」を近畿地区限定で発売しています。
「大阪篇」は実際に焼肉店を経営しているお笑い芸人たむらけんじを中心に、焼肉風味ラーメンを鶏ガラ、豚骨の旨みが効いたコクのあるしょうゆスープが特徴です。一方、「京都篇」はこれまた吉本興業のお笑い芸人サバンナの2人を中心に開発した、赤、白味噌がベースでかぼちゃなどの植物系素材を多く使った野菜の甘さが特徴のラーメンです。
サバンナは「エンタの神様(日本テレビ系)」でエンディングになるとギター片手に「自由だぁ~!」と叫ぶ、あの犬井ヒロシがかたわれです。犬井はキャラクターの1つで、サバンナは高橋茂雄(=犬井)と八木真澄とのコンビです。
…(中略)…
ところで、日清食品はこれらの商品を通じて地域の若年層を取り込む・・・という戦略のようです。人気タレントや番組に乗っかった「コバンザメ商法」ともいえますが、タレントや番組側も露出が高まる相乗効果を狙えます。
日清食品とは正反対の戦略を続ける業界で思い当たるのは、読売、朝日といった全国紙です。
全国紙は最大手の読売新聞が発行部数1000万部、他紙も数百万部を誇っています。でも強いのは基本的に首都圏です。北海道は北海道新聞、福岡・北九州は西日本新聞、名古屋は中日新聞、東北は河北新報というように、ブロック紙と地元紙が圧倒的に強いのです。
全国紙も地方版を設けてフォローしていますが、地方紙の訃報やお祝い、地元の細かいニュースまでカバーしている状況と比較すると、日清食品の地域密着戦略とは彼我の差がありますね。
日清食品は全国向けの大々的なテレビCMを軸にした宣伝活動と並行して、ご当地商品で地元の需要をがっちり押さえています。たとえば、人気タレント・番組と組んだ商品以外にも、「やきそばできました」(北海道)「どん兵衛 芋煮うどん」(東北)なども展開しています。
…(中略)…
日清食品の地域限定戦略というと、チキンラーメンやカップ麺も東と西でスープの味を変えていることは広く知られています。商品をよく見ると、EとかWと書いてあります。これは東西のことで、例えば「どん兵衛」でいうと、E(=東日本)はかつおぶしベース、W(=西日本)は昆布だしベースと変えています。日清食品がその地域の伝統的な味覚をいかに大事にしているかがわかります。
日清食品がそこまでこだわるのは、日清食品のライバルは日清食品だからです。「カップヌードルのライバルはカップヌードル」とも言い換えらます。
ご当地商品を販売面から見ると、常に新規性に富んだ商品開発を続けていく、ということに尽きます。いつ行っても同じ商品しか棚にない、という印象を顧客に持たれてしまうと致命的です。常に新しい商品を追加投入していく。
詰め替え用の「リフィル」もその延長線上にあります。何か新しいことをやり続けている、ということがブランド価値を高めることにつながるのです。
そういえば日清食品の地域重視戦略は、米大統領予備選にも似ていますね。
全国で勝つことも大事ですが、地方の代議員をまずは押さえないといけません。
2000年のフロリダ予備選で勝利した共和党ブッシュが、結局民主党のアル・ゴアを破って大統領になった騒動は、ポストブッシュを選ぶ予備選が各州で進んでいる現在でも記憶に新しいですね。
地方を押さえて初めて全国一になれる。日清食品の戦略には、業界を問わず学ぶべき点が多いですね。
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Written by Tatsuro Satoh on 12th Feb., 2008