ウェザーコック風見鶏(VOICE FROM KOBE)

風の向くまま、気の向くままに……

世界に羽ばたく「源氏物語」

2008-01-04 07:59:00 | 文化・学術
 日本経済新聞の元旦の文化教養特集記事のテーマは、「源氏物語千年紀」である。
 高樹のぶ子氏と小島ゆかり氏の対談記事を中心に、瀬戸内寂聴氏、水原紫苑氏等の話も取り上げられ、もうひとつ、「翻訳・研究世界で進化」とのテーマで取り上げられている。

 今年、2008年は「源氏物語千年紀」である。
 このブログでも、6月13日に「千年の時を刻んで」、8月29日「サイデンステッカー氏死去」、10月21日「源氏1000年対談<高樹のぶ子氏と水原紫苑氏>」、10月25日「ロイヤル・タイラー教授の『源氏物語』感」、11月17日「源氏物語の多様な魅力を堪能」と取り上げてきている。
 それぞれの記事タイトルにリンクを張っておいたので、興味のある方はチェックしてみるとよい。

 特集記事で、興味を引かれたのは、「翻訳・研究世界で進化」ということで、豪州、チェコ、トルコ等の国々で、研究が進化し、あるいは、翻訳が活発になっているという点である。
 昨年フランス語版が完成し、昨年秋口に出版される予定であることが、昨年6月に報じられていたが、フランス以外の国々においても翻訳・研究が進んでいるとのことである。

 記事の中に、ロイヤル・タイラー教授の「源氏物語は、光源氏と兄の朱雀院との皇位継承問題が全文を貫き、源氏の行動を支配している。フィクションを超えた現実味のある話だ。今後は、さらに研究したことも本にまとめたい」とのコメントが取り上げられている。
 また、チェコ語訳を今年完結させようとしているチェコ人カレル・フィアラ福井県立大学教授は、「源氏物語は他の古典文学と違って、イデオロギーや社会のしがらみなどに縛られない自由な心の動きが主題…その光源氏ら登場人物の心の動きを見つめると、共感できる部分が多い。一千年の昔から人間の心は変わらないと実感している」とコメントしているとのこと。
 同じ記事の中で、国文学研究資料館館長の伊井春樹氏の「国内の研究は細部にこだわりがちだが、海外の研究はベーシックな問題点を提起していることが多い。両者がうまくかみ合えば、源氏物語研究はさらに飛躍する」と期待するコメントをしていると紹介されている。
 
 いずれにしても、「千年の時を超えて『源氏物語』が世界に羽ばたこうとしている」ように感じられ、嬉しいことであると感じる。。。
 Written by Tatsuro Satoh on 4th Jan., 2007 

最新の画像もっと見る