タイトルにリンクを張っておくので、他のニュース記事、コラム記事も含めてチェックしてみることをお勧めする。
ノルウェーは、交換留学で長女が1年間暮らした街であり、その意味で記事に興味をひかれた。
記事によると、「米エール大学とコロンビア大学が2008年1月にまとめた環境番付で、ノルウェーはスイス、スウェーデンに次ぐ3位。ちなみに日本は21位だった」とのこと。
また、「狭い国土の割に緑豊かな森林と水資源を抱える点はノルウェーも日本も同じだ。1億2000万人と460万人いう人口面での大きな差はあるものの、日本がノルウェーに学ぶべき環境政策は少なくなさそうだ」として、環境政策面で学ぶべき点が多いとも指摘し、記事が締めくくられている。
ノルゥエーの環境政策の関係する部分を記事から引用しておく。
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記事引用
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(水質が改善したアーケル川) (ガイランゲルフィヨルド) |
ノルウェーの首都オスロの東部を流れるアーケル川。川沿いの木々は芽吹いたばかりの新緑が輝き、水面には水鳥が舞う。
…(中略)…
産業革命以降の環境汚染からこの川を復元したのは、オスロ市が2002年から進めている環境計画「アーバン・エコロジー・プログラム」だ。
その施策を推進する上での重要なキーワードが、ブルーとグリーンの生態系保全。ブルーはフィヨルド、グリーンはそのフィヨルドに流れる込む河川と河川の水質浄化に不可欠な森林をそれぞれ指している。
アーケル川はフィヨルドに流れ込む重要河川の1つで、沿岸部の工場の移転促進や生活排水の浄化などを進め、森林が自然ろ過した川水による自然の力で再生を遂げた。現在では汚染前と同じようにサケが遡上する姿が見られるという。
天然資源や循環エネルギーの有効活用が持続可能な発展には欠かせない――。アーケル川の再生は、オスロ市のみならず、ノルウェー全土が環境先進国である姿を象徴している。
…(中略)…
深い森林と数多くの河川に囲まれたノルウェーでは、国内で消費するエネルギー量のほぼ100%を水力発電でまかなっている。世界有数の北海油田を抱えながらも、石油資源は輸出にまわし、国内エネルギーは水力発電に依存する。水力発電は発電時にCO2を排出しないクリーンエネルギーだからだ。
…(中略)…
○自然享受権
ノルウェーの社会や生活が環境と密接に関わっていることを示す例として、自然享受権がある。自然は誰かの所有物ではなく、みなの共有財産である、という考え方だ。この権利に基づき、森や山を自由に散策したり、花や果実の採取やキャンプも自由にできるという。
自然と寄り添う暮らしぶりは庶民の生活に根ざす。ガイランゲルフィヨルドなどの山間で多く目に着くのが、屋根に盛り土をし草が生えている住居。 … 屋根の上の狭い世界でも、持続可能な循環型社会が存在している。
○炭素税
ノルウェーは国全体の環境保護への意識も高く、1991年に炭素税を導入した。日本ではガソリンとディーゼル用の軽油の価格差は大きいが、ノルウェーではあまり変わらず、いずれも高水準なのが特徴だ。こうした施策によりCO2排出量の65%をカバーしているとされる。
また、2004年と2002年を比べた国民1人あたりのゴミ排出量が6.8%増なのに対し、国民1人あたりのリサイクル量(エネルギー含む、キログラム)は13.7%増と、リサイクル量が排出量の伸びを上回っている。
スーパーの多くでは、缶飲料とPETボトルの回収マシンが設置されていて、あらかじめ販売価格に上乗せされていた缶代とPETボトル代(1~2.5クローネ、1クローネは約20円)がレジで返金される仕組みだ。こうしたシステムが整備され、缶もPETボトルも約90%の高いリサイクル率を維持している。
…(中略)…
○通行税制度
そして、オスロ市発の環境政策がノルウェー全土に拡大する勢いなのが、市中部へのクルマの乗り入れを規制する通行税制度だ。
同市は通行税を1989年に導入。きっかけは市庁舎前の往来が激しい国道を、住民が歩いて生活できる一帯に変えることだった。そのために、トンネルを地下に通し、車はトンネルを通行し、トンネル上を蓋した形の地上をトラムやバスといった公共交通機関を運行させて、人々が歩いて行き来できる町にかえた。
…(中略)…
車両の流入が減ったオスロ市内は、シティバイクが軽快に走り抜ける。シティバイクは駅の売店などで誰でもレンタルでき、決められたステーションでどこでも乗り捨て可能な便利な乗り物だ。
ステーションの壁や自転車の車輪カバーなどに入る広告収入で運営費用を賄っているという。
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Written by Tatsuro Satoh on 29th Apr., 2008