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米国企業の「環境経営志向」 =米アウトドアブランド・パタゴニアの取り組み=

2007-06-19 08:17:15 | 地球環境

 日経WEB SITEの「日経ECOLOMY -環境+経済+私‐」のコラムコーナーに、米アウトドア・ブランド、パタゴニア日本支社・環境担当の篠健司(しの けんじ)氏がコラムを投稿している。
 タイトルが「社員をサーフィンに行かせよう」で、タイトルに興味を引かれ、読むことになった。

 米企業というと、「環境経営」とは程遠いイメージである。米国、及び、米企業も、ここに来て急速に環境重視に転換しているように見える。
 そうした中にあって、米アウトドアブランドのパタゴニアは創業以来、環境経営の「老舗」として知られ、企業の存在自体を「環境を守るための実験」とする独自経営で注目されているとのこと。
 篠健司氏は、そのパタゴニア日本支社の環境プログラム全般を担当し、アウトドア業界の自然環境保護基金の理事も務めているとのこと。
地球環境と企業経営―環境経営をリードする経済人たち

東洋経済新報社

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 二つのポイントで、面白い記事であった。
 一点は、「社員管理のあり方」、もう一点は、「企業としての具体的な環境貢献活動」である。

 パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードが、その経営理念を15年の歳月をかけてまとめた著書の日本語版が発売され、そのタイトルが、「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社)であるとのこと。
 もともとの英文原典のタイトルは、"Let My People Go Surfing"を訳したものであるとのことで、まさに直訳であると思われる。

 その中で、「社員のあり方」として、ポイント的に次のようなことが取り上げられているようである。
(1)責任感:今サーフィンに行っていいかどうかなど、上司にいちいちお伺いを立てなくとも、社員一人一人が責任を持って仕事の進め方の中で判断ができる組織を作る。
(2)効率性:午後にいい波がくるとわかれば、仕事を効率的に進めることを考える。
(3)融通をきかせる:いい波、あるいはいい雪がいつ降っても出かけられるように、日頃から生活や仕事のスタイルをフレキシブルにする。
(4)協調性:周囲がお互いの仕事を知り、信頼し合っていれば、誰かがサーフィンに行ったとしても、病気になっても、あるいは育児休暇で休んだとしても機能する。
(5)真剣なアスリート:パタゴニアはアウトドア製品を開発・製造、販売している会社であり、誰よりも自然やアウトドアスポーツに対する深い経験と知識を持っているアスリートを採用できる。
 つまり、社員一人一人が、きちんとその職責を果たす限りにおいて、自由な行動を認めるというものである。
 この種のマネージメント方式を日本に企業に持ち込むのは、困難な面があると考えられるが、面白い発想であると考える。

 現実問題、イヴォン自身こそ最も会社におらず、自然の中で多くの時間を過ごしているとのこと。これをイヴォンは「MBA」と呼んでいるが、いわゆる経営学修士の意味ではなく、「Management By Absence」の略、つまり、「不在による経営」を意味しているとのこと。
 パタゴニアの使命である「地球を守る」ため、会社の価値観に沿った社員の判断を尊重し、自主性を高める経営を実践しようとする経営哲学であるとのこと。

 パタゴニアは、米マスコミにも注目され、今年の米フォーチュン誌4月2日号で、「The Coolest Companies On The Planet(最もかっこいい企業)」というタイトルの記事で大きく紹介されているようである。
エコロジー経営―日本企業がいま、取りかかりつつあること

日刊工業新聞社

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 もう一点、パタゴニアに関し興味を持ったのは、次の点である。
 つまり、「会社は地球を守る『実験』の道具」であるとのこと。具体的な企業行動として、「毎年売り上げの1%もしくは税引き前利益の10%どちらか大きい額を環境保護団体に寄付し、世界で初めてフリース衣料をペットボトルから再生し、また、企業による環境への取り組みを加速させるための企業同盟組織「1% for The Planet(地球のための1%)」を創設するといったことを実践してきているとのこと。
 こういった具体的な取り組みは、「『言葉よりも行動を』という企業理念」により次々と取り入れられ、通常の感覚では難しいと思われることでも、実際に定着してきているとのこと。
図解 ひとめでわかる環境経営

東洋経済新報社

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 このような環境貢献活動は、企業としたその行動を具体化するためのひとつの手法であると考える。
 このパタゴニアの企業としての行動は、まさに、元全日本サッカーの代表監督岡田武史氏が指摘している、「まず第一歩をスタートすることが重要である」ということにつながっていくのではないかと考える。
 Written by Tatsuro Satoh on 19th June, 2007

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Fe)
2008-02-03 02:11:49
シーシェパード頑張れ
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