ウェザーコック風見鶏(VOICE FROM KOBE)

風の向くまま、気の向くままに……

正確・迅速・正直こそ原点

2007-10-31 07:54:07 | 企業戦略
 日本経済新聞10月29日付「経営の視点」の欄で、取り上げられている記事のタイトルである。
 記事自体は、サブタイトル「食品、安心軽視のとがめ」が示しているように、「赤福餅事件」、「白い恋人事件」等々、食品関連企業の事件で、「製造年月日や消費期限、賞味期限を改ざんし、製造・販売停止に追い込まれた」点に言及している。

 

 こうした事件に関連して、食品メーカーの幹部の中に、「改ざんがいけないのは確かだが、そんなに厳しく指弾されることでしょうか」と語っている人がいるとのこと。このような点は、不二家事件の際にも聞かれたとのこと。
 これでいいのだろうかと感じる。
 生命保険や、損害保険会社が「保険金不払い問題で指弾され、約款、販売商品の見直しも含めて、金融庁から指導を受ける状況」になっている。
 これなども、「約束したことを守る」という原点が揺らいだための処置である。
 「改ざんはいけないが…食中毒等に至っていないから…情状酌量でいいのではないか」との短絡的な考え方は誤りである。

 

 賞味期限であったり、消費期限の表示は、「売る側と買う側の約束事」であり、その約束事が企業側の論理により破られているわけで、その意味で厳しく指弾されて然るべきである。
 記事は、「うそをつくこと自体が消費者をないがしろにする危険な会社と見られ、ひとたび改ざんの事実が明るみに出れば企業の屋台骨を揺るがす事態に発展する」としている。
 当然の報いではないか。。。
 
 例えば金融商品につき、「うそをついて損をさせた」ということであれば、それは詐欺罪等の適用を受ける可能性がある。「説明責任が十分に果たされていない」として、追求されることもある。
 「食中毒事件に至っていないから…」などという、業者弁護がまかり通るはずがないのは当然のことである。
 製造物責任法は、製造業者に「無過失責任」を課している。
 既に取り上げた、食品会社幹部の発言は、「甘すぎる認識」といわざるを得ない。逆にいうと、その幹部の所属する食品会社でも同じことをやっていないかと疑いたくなる。

 この記事で、もう一点、私が注目したのは、「正確・迅速・正直こそ原点」ということであり、これは単に食品系企業にとどまる課題ではない。
 トヨタであれ、サービス系企業であれ、すべての業態に当てはまる「商売の原点」ではないかと考える。
 「正確な情報」を消費者に開示し、「何か事態の発生に際し迅速に対応」、しかも、「正直に対応し、誤りがあれば謝り、襟を正す」必要があるのだろうと考える。
 「食中毒事件に発展していないから情状酌量があってもいいのではないか」などという論理を、食品製造業者側がどこかでもっているため、ここまで、食品企業の種々の事件が横行している、あるいは、蔓延している、と考えるべきではないか。。。
 Written by Tatsuro Satoh on 31st Oct., 2007  

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