お爺さんの飛び込み乗車

あるバス停を発車して、大きな交差点を突破…　したかったのだが、残念ながら信号が変わってしまい、１５～１６ｍ前進したところで止まった。私は長い赤信号の間、いつものように「あの車は何をやりたいんだぁ～？」「あの人は何処へ行くんだぁ～？」などと想像しながらボ～ッとしていた。

すると、突然！　助手席から「誰か待ってみえるよ」という声が聞こえたので、私は「何だぁ～？　おばさんが携帯電話で会話を始めやがったのかぁ～？」と思ったのだが、すぐに「ひょっとして、扉の外に乗客がいるのか！？」と思い直してバスの左側を確認したところ、前扉と中扉の間に１人のお爺さんの姿が見えた。

そこで、私が前扉を開けて「すいませぇ～ん」と声を掛けると、一旦は乗車を諦めてバス停の方へ歩き始めていたお爺さんが、クルリと向きを変えてササッとバスに飛び乗っ…　その時！　「ガツン」とステップに躓き、一瞬にしてお爺さんの姿が運賃箱の向こう側に消えてしまったのである。

私は「ゲゲッ！　マジか！」と驚いたが、まだまだ反射神経の良いお爺さんだったようで…　運賃箱の陰で見えなかったけれど、（多分）躓いた足と逆の足を素早く前に出して、（多分）転倒せずに済んだのだった。ひょっとして、こういうのもヒヤリハット映像（１年間で１人１件がノルマと言われていて…　私はまだ０件！）になるのかなぁ～？

それだったら申告すれば良かっ…　ん？　ドライブレコーダー映像を確認したら、運賃箱の陰で転倒したお爺さんが写っているんじゃないかって！？　おいおい…　そりゃヒヤリハットじゃなくて、ただの事故映像じゃないかぁ～！　う～む…　今夜、営業所に忍び込んで、バスのドライブレコーダーを破壊しなければ…（はい、セキュリティに引っ掛かって御用！　その映像が全国に流れるぞぉ～　ハハハ…）