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不倫相手は米国のスパイ? 秦剛外相失踪事件の真相は中国の外交路線を大きく反米に振り戻す権力闘争だ2023.07.26石 平

2023-07-26 07:21:50 | 連絡
 

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前篇「中国・秦剛外相が突如消えて1ヵ月、外交部が説明なしの異常事態、原因と噂される『不倫』の相手とは」で追ったように、中国の外交部門に明らかな問題が発生している。不倫は実は単なる理由。深層で起きているのは、世界をも揺るがす外交路線闘争だ。
〇不倫事件の裏にある暗闘
以上のような状況証拠から、既婚者の秦剛は上傅さんと不倫関係にあって私生児も産ませたことはどうやら真実であるようで、噂の信憑性はかなり高いとは思われる。
問題は、この不倫問題は果たして、今回の秦剛失踪事件の本当の理由であるかどうかである。 
今年57歳の秦剛は習近平政権の2期目で駐米大使という重量級大使に起用され、昨年10月の党大会では駐米大使の身で中央委員会委員に抜擢された。
そして昨年末には外相に任命されて、今年3月の全人代で国務委員にも昇進した。
このような異例な昇進からも分かるように、彼は習近平主席からの信頼が厚く、政権3期目の習近平外交のキーマンだとみなされる。
このような人物が単なる下半身のスキャンダルで習主席に見捨てられることは考えにくいし、この一件で中国外務省に突き放されて「不要」とされるようなこともあまり考えられない。4週間にわたる彼の「失踪」にはもっと深い原因があるはずである。
ここに出てくるのは、いわば外交路線の対立とも絡んだ中国外交部門内部の「権力闘争説」であって、王毅vs秦剛という構図の権力闘争が展開されている、という話であって、その結果、秦外相は今、習主席の信頼を失いかけて失脚するかもしれない憂き目にあっている、ということである。
〇王毅vs秦剛
秦外相の前任である王毅は2013年3月から22年末までの約10年間外相を務めて外務省の中でかなり大きな勢力を培ってきたが、昨年年末、外相の任期中に、若手で「一匹狼」である秦剛によって取って代わられた。
以前から「不仲説」の噂がある2人は、これで対立関係になったという。
両者の対立をさらに深めたのは習主席の作り上げた「外交の二重指揮系統」である。
外交の責任者であるはずの秦剛外相の上に、政治局員・外交統括トップの王毅を置くと、両者間の主導権争いは手柄競争が生じてくるのは必至のことである。
そして両者間の権力闘争を増幅させたのは外交路線の対立である。
王毅はどちらかといえば対欧米強硬派で「親露派」でもある。
実際、ロシアとの関係に関する「無禁区・無制限」との言葉を初めて言い出して異常な親露ぶりを見せたのは王毅であって、米国の高官と会談する際にいつも過激な言葉を使って対米批判を展開するのも王毅である。
 それに対して秦剛は、駐米大使という経歴もあって、習政権の対米改善の切り札として外相に起用された経緯もあるから、どちらかといえば対米改善派であろう。今年6月、ブリンケン米国務長官が北京を訪問した際、秦外相は彼と7時間半にわたって異例の長会談を行い、米中改善への実務協議をかなり真剣に進めた。
 その一方、対米改善外交の視点から秦外相は、王毅外相時代から中国外交のお家芸となっている「戦狼外交」から一定の距離を置き、外相就任後まもなく、「戦狼外交」のシンポールである趙立堅副報道局長(当時)を閑職へと左遷した。
そしてこの一件は、趙立堅を抜擢した王毅前外相の不興を買い、両者間の対立深まりの理由の一つともなった。
〇不倫相手は米国のスパイ」!?
このような対立の深まりを背景にして、今回に起きた「秦剛失踪事件」と実は、王毅一派が例の不倫問題を武器に「秦剛引き下ろし」を始めたのではないかとの観測は一部から出ており、かなりの説得力があると思われる。
この話のキーマンの1人は現在の駐米大使の謝鋒である。
今年59歳の謝鋒は、外務省では秦剛より2年上先輩でありながら結局、秦剛の方が一足先に外相になり、自分が今その部下になっているから秦剛のことを快く思わない。
そして今年1月に謝鋒は新しい駐米大使として赴任してから、大使館員情報から秦剛と例の美人キャスターとの不倫の一件を把握したらしい。
そこで謝鋒は、「秦剛の不倫相手の傅さんは実は二重スパイであって、米国の諜報機関のために仕事ししているのではないか」との「情報」を付け加えたうえで、「秦剛不倫」の詳しい情報を王毅に送り、そして王毅は習主席にその概要を報告した。
習主席は王毅のこともかなり信頼しおり、「秦剛が二重スパイ疑惑との女性と不倫関係」の情報を看過することもできず、秦剛の忠誠度に対して疑念を持つことになった。
そこで習主席からは、「秦剛の仕事を一旦停止させた上で取り調べを受けさせる」との指示が下され、秦剛は今、この指示の通り、謹慎して取り調べを受けている最中であるという。
〇中国外交の方針を左右する事件の行く末
それでは今後となるかに関しては、2通りの展開が考えられる。
①一つ目の展開としては、取り調べの結果、秦剛の問題は単なる不倫であって、相手の傅さんは米国に使われる二重スパイでないことが判明された場合、習主席の指示により秦剛が元通りに仕事復帰し、引き続き外相の職を遂行していくこともありうる。
しかしそうなった場合、秦剛と王毅一派との亀裂はもはや修復不可能になって、外務省内で熾烈な権力闘争は今まで以上に激しく展開されることとなろう。
➁しかしもう一つの展開となる可能性もある。取り調べの結果、傅さんは確かに二重スパイだと判明された場合、あるいは本当にスパイかどうかは判明できない場合、しかも秦剛に対する習主席の疑念がやはり払拭されない場合、秦剛が外相の職から解任されて事実上失脚することもありうる。
しかしその際、秦剛を抜擢した習主席のメンツと権威に傷つける恐れもあるから、秦剛が健康上の理由で外相退任との形をとる可能性は大。
そしてその際、勢力を取り戻した王毅一派の下では、中国外交はより一層「親露反米路線」へと傾斜していく可能性も十分にあり、秦剛によって冷飯を食わされている趙立堅は報道官に復帰してさらに昇進するかもしれない。
「秦剛失踪事件」はどのような結末を迎えるのか、今後はおおいに注目していきたいと思う。


 


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