グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

2.17「開発のための革新的資金源に関するオスロ会議」報告会

2007-02-16 | 国際連帯税&リーディンググループ国際会議
2.17「開発のための革新的資金源に関するオスロ会議」報告会

~開発のための通貨取引税、航空券連帯税についての国際社会の取り組み~

◆2月オスロ国際会議に行ってきます

 このたび、2007年2月6日、7日ノルウェー政府主催による「開発のための革新的資金源に関するオスロ会議」にグローバル・タックス研究会の事務局を務めているオルタモンドが招待されました。この会議は、昨年2月に開催されたパリ国際会議の2回目のフォローアップの会議です(1回目は昨年7月のブラジリア国際会議)。昨年9月から今年2月までノルウェー政府が「国際連帯税に関するリーディング・グループ」の議長国を務めています。

 招待された政府、国際機関、NGOは、次の通りです(昨年12月時点)。
1)政府代表(55カ国):開発資金のための連帯税に関するリーディング・グループ45カ国(注1)と非リーディング・グループ10カ国(注2)です。後者には、日本政府も招待されていますが、先のパリ会議に参加していなかったノルウェー以外の北欧諸国、G8諸国のカナダ、イタリアも招待されています。漏れている主要国は米国とロシアだけとなりました。
2)国際機関(14組織):国連経済社会局、UNCTAD(国連貿易開発会議)、国際通貨基金(IMF)など(注3)
3)世界のNGO(18カ国26団体):Coordination SUD(France)など(注4)
4)国際的な財団(4団体):クリントン財団など(注5)
5)ノルウェーNGOとシンクタンク(10団体):Attac Norwayなど(注4)

◆オスロ国際会議の概要

 全体テーマは、「航空(券)連帯税と開発のための通貨取引税(CTDL)」です。続いて、6つのラウンドテーブルで討論が行われます。それは、①飛行旅行課税からの税収の共同管理について:気候変動に適合するためのコストへの資金提供という選択、②開発のための通貨取引税について、③事前買取制度(Advanced Market Commitments)について(注6)、④移住者の送金について、⑤タックスヘイブン(租税回避地)と資本逃避について:どのようにその漏れをふさぐか、⑥開発のためのマイクロファイナンスという新しいアプローチについて:公私のパートナーシップ、です。

 2日目には、UNITAID(国際医薬品購入ファシリティー)、IFFIm(予防接種のための国際金融ファシリティー)、世界デジタル連帯基金(Global Digital Solidarity Fund)の実施状況が報告され、それについて討論をします。最後に、リーディング・グループの今後についてのアナウンスがあり、閉幕となります。

 以上のように、今オスロ会議はこれまでパリとブラジリアで討論されてきた内容にプラスして事前買取制度やマイクロファイナンスも話されますが、最大の特徴は「開発のための」という前置きはつくものの「通貨取引税」がテーマになることです。
 確かに、投機的な通貨取引を規制し通貨システムの安定化を図る(つまり、金融危機ひいては経済危機を防ぐ)というトービン税の性格とは違ってきますが、その課税の方法はトービン税と同じで、税率をどうするかの違いだけといっても過言ではありません。つまり、取引規制を目的とすれば税率を高くしなければなりませんが、開発資金だけの目的ということであれば税率を低くしても構わないし、むしろその方が望ましいといえます(注7)。

 今日まで通貨取引税といえば、トービン税の名のもとに各国金融当局や主流エコノミストから嫌悪され、国際会議ではかろうじて端々に討論の素材として出されてきました。しかし、今オスロ会議では通貨取引税がメインのテーマとなり、これをNGOはもとより各国代表や国際機関が一堂に会して討論します。トービン税を研究している人たちにとっては、実は開発資金のための収入源となり、同時に投機的な通貨取引規制も可能というシステムを知っています。それは、2004年にベルギー国会で可決されたトービン=スパーン税です。CTDLからトービン=スパーン税への道はとても近いのです。
 今オスロ会議がその第一歩となれば実に幸いです。

 国際会議の前日には「国際NGO戦略ミーティング」も開催されます。オルタモンドはここで日本での私たちの取り組みなどを報告します。おりしも、先月(12月)タイで投機資金による経済混乱がありました。多分、このミーティングで討論されると思いますが、あらためてトービン=スパーン税が見直されることになると思います。

 オルタモンドはこれらの会議に3人で参加してきます。2月17日の報告会でお会いしましょう。

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2.17「開発のための革新的資金源に関するオスロ会議」報告会
~開発のための通貨取引税、航空券連帯税についての国際社会の取り組み~
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■日時:2月17日(土)午後2時~4時
■会場:キャンパスイノベーションセンター5階501
   (JR田町駅芝浦口の階段降りてすぐ右。高校のグラウンド隣)
    http://www.isl.or.jp/campusinnovation.html
■共催:オルタモンド、千葉大学地球福祉研究センター
■資料代:500円          
■申し込み:氏名、肩書き(あれば)と2.17報告会参加希望と書き、「お問い合わせ」で記されているメーるアドレスから申し込みください。
または、FAX:03-3834-2406から。

※写真は、昨年2月のパリ国際会議のもようです。          

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注1:開発資金のための連帯税に関するリーディング・グループ45カ国
アルジェリア、オーストリア、バングラデシュ、ベルギー、ベナン、ブルンジ、ブラジル、カンボジア、カメルーン、カーボヴェルデ、チリ、コンゴ、コートジボワール、キプロス、ジブチ、エチオピア、フランス、グアテマラ、ガボン、ドイツ、ギニアビサウ、ギニア、ハイチ、インド、ヨルダン、レバノン、ルクセンブルグ、マダガスカル、マリ、モーリタニア、モーリシャス、メキシコ、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ニカラグア、ニジェール、ノルウェー、スペイン、南アフリカ、英国、韓国、ウルグアイ、ナイジェリア、サウジアラビア
注2:非リーディング・グループ10カ国
カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、イタリア、日本、ニュージーランド、ポーランド、スウェーデン、オランダ
注3:国際機関(14組織)
アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州委員会、欧州中央銀行、GAVI(ワクチン予防接種世界同盟)、IFFIm(予防接種のための国際基金)理事会、IMF、米州開発銀行、OECD開発センター、OECD開発協力局理事会、国連経済社会局、UNCTAD、UNITAID事務局、世界銀行
注4:世界のNGO(18カ国26団体)
AGEZ(Austria)、CNCD(Belgium)、CIDSE(Belgium)、ABONG(Brazil)、ANSS(Burundi)、The North-South Institute(Canada)、CCCI(Canada)、 Accion(Chile)、KEPA(Finland)、Citizens’ Global Platform(Finland)、Coordination SUD(France)、ATTAC(France)、CCFD(France)、WEED(Germany)、
VENRO(Germany)、VANI(India)、ACTION AID(Italy)、CRBM/Mani Tese(Italy)、Altermonde(Japan)、Cercle de cooperation des ONG(Luxemburg)、ALSC(Marocco)、SANGOCO(South Africa)CONGDE(Spain)、Stamp Out Poverty(United Kingdom)、Tax Justice Network Africa(United Kingdom)、Tax Justice Network(USA)
(以下、ノルウェーのNGO等)
Attac Norway、Forum for Environment and Development (ForUM)、Norwegian Church Aid (NCA)、The Future in Our Hands (FiVH)、Transparency International Norway
注5:国際的な財団
Clinton Foundation(USA)、Bill and Melinda Gates Foundation(USA)、Friedrich Ebert Foundation(USA)、The Ford Foundation(USA)
注6:事前買取制度Advanced Market Commitments(AMC)
途上国で必要とされるワクチンは、先進国で開発されるインセンティブが少ない。AMCでは、政府やその他の金融機関(= 援助資金供与者)がワクチン製造業者に対して、世界市場で他の医療製品が生み出す収益に見合った価格をそのワクチンに対して支払うことを約束する。援助資金供与者は、特定数までこの価格でそのワクチンを購入し、その後ワクチン製造業者は、援助対象国に対して途上国の国民が購入できる低価格でそのワクチンを販売する義務を負うというもの。
注7:開発資金を目的した通貨取引税の税率
オスロ会議の全体会やラウンドテーブルで報告されるのは、税率0.005%(100分の1%の半分)という超低率の通貨取引税であると思われる。これでも全世界で導入されれば単純計算で(1日あたり2兆ドルの通貨取引と250日の営業日で)年間250億ドルの税収となる。


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