グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

1月28‐29日リーディング・グループ第7回総会開催(チリ)

2010-01-20 | 国際連帯税&リーディンググループ国際会議
<アジェンデ大統領がクーデターに抗して最後まで戦った(1973年)ことで有名なモネダ宮殿:チリ観光局のHPより>

【解説】今回のリーディング・グループ総会のプログラムと総会の位置ならびに意義について解説します。

●プログラム内容(詳細は下記programme参照)


今回は、議論の進め方として、順を追ってワーキングセッションを行うというシンプルなやり方です(2,3のセッションを同時進行させるというのではなく)。以下の8つのセッションがあります。

①UNITAIDとミレニアム基金(前者は、国際医薬品購入機関のことで、航空券連帯税と一緒に議論されると思われる)
②(移住者の)送金問題と革新的資金メカニズムとのリンク
③まっとうな金融と経済発展:銀行の秘密主義と資本逃避タスクフォースからのレポート
④国際金融取引と開発:金融取引タスクフォースからのレポート
⑤貧困と飢餓(母親と子どもの栄養)
⑥気候変動と開発のための革新的資金調達
⑦(国連)ドーハ資金会議の進捗状況(特にSDRと景気循環相殺メカニズム)
⑧今後について

これらのワーキングセッションのあと、サンチャゴ宣言についての議論を行い、議長(チリ政府)まとめが出されて、総会は終了します。

●サンチャゴ総会と「金融取引タスクフォース」報告


これらのセッションで注目されるのは、第4セッションの『金融取引タスクフォース』(*1)による「国際金融取引と開発」のレポートです。昨年10月下旬にタスクフォースが立ち上がってから、まだ3カ月弱しか経たないことになりますので、そうそう確定的なものは提示されないと思いますが、さまざまな論点等が明らかになると思います。レポートの内容は国際専門家グループ(*2)によって作成されることになります。

レポートは以下の2つの理由により非常に重要になってきます。

1)このレポートを皮切りに、3月頃の暫定レポート、4~5月頃の最終レポートと続き、実行可能な1、2の選択肢につき6月閣僚級のタスクフォースで確定されることになりますので、非常に大事な議論の出発点となること、からです。

2)IMFによる「金融システム安定化のための金融セクター自らの貢献にどのような選択肢があるかの研究」の報告が4月のG20財務相・中央銀行総裁会議に出されることになっていますが、この報告にも相当の影響を及ぼすと思われること、からです。

後者の報告とは、昨年9月のピッツバーグG20金融サミットでのG20首脳によるIMFへの指示、いわゆる首脳声明第16パラグラフの内容です(*3)。そしてなぜタスクフォースの作業がIMF報告に影響してくるのかですが、それは次のことから推測できます。①フランスと英国ならびにEUは、IMFに対し「金融取引に対する国際課税について研究すべき」との意向を持っており(*4)、また②「金融取引タスクフォース」には欧州の主要国が関与しているからです。

●サンチャゴ総会の内容は日本政府の政治課題にも波及


日本政府もこのタスクフォースの有力な一員であり、当然サンチャゴ総会に参加しますので、日本の取り組みの到達点を報告するとともに、しっかりとサンチャゴ総会の内容を受け止めてくれるものと思います。昨年、政府税制調査会で「国際連帯税の検討」が議題に上り(首相と外務省からの要請)、結果として「早急に検討する」というところまできました。今年はこのことを具体化し、実施に向けての諸準備に入ってもらうことです。サンチャゴ総会では、政府やNGO、研究者の立場から、そのための有用かつ実践的なグローバルレベルでの情報を入手することができるでしょう。

(*1):「開発資金のための国際金融取引タスクフォース」
http://blog.goo.ne.jp/global-tax/e/2ed7960e6976ef2f78d764b80fcc3023(日本語)

(*2):「国際専門家グループ」(9人で構成)
http://www.leadinggroup.org/article475.html(英語)

(*3):「首脳声明第16パラグラフ」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/g20/0909_seimei_ka.html
「16.我々は、IMFに対して、金融セクターが銀行システムの修復のための政府の介入に関係するいかなる負担に対し公平かつ実質的な貢献をどのようになし得るかについての各国がとってきた又はとることを検討している一連の選択肢に関し、我々の次回会合のために、報告書を準備するよう指示する」

(*4):「金融取引に対する国際課税について研究すべき」
  【ガーディアン 2009年11月23日】
  ブラウン首相、財界指導者らにトービン税を受け入れるよう要請
  http://blog.goo.ne.jp/global-tax/e/c5ba031d79d2df6cb196d2cca2dc6d01(日本語)
  【ロイター通信 2009年 11月 11日】
  金融取引税、銀行が社会的責任果たすための選択肢の一つ=英首相
  http://jp.reuters.com/article/financialCrisis/idJPJAPAN-12395020091111(日本語)
  【ルモンド 2009年12月2日】
  国際金融セクターに対する課税のために
  http://blog.goo.ne.jp/global-tax/e/7c7a5bee692e1181c4936cbd98b3cbae(日本語)
  【ロイター通信 2009年 12月 12日】
  EU首脳、世界規模の金融取引課税の検討をIMFに要請
  http://jp.reuters.com/article/marketEyeNews/idJPnJT854461420091211(日本語)


Programme of the Seventh plenary session of the Leading Group, Santiago


This programme is preliminary. More details will be updated shortly.

Place: Edificio José Miguel Carrera, Ministry of Foreign Affairs, Chile

Thursday, January 28, 2010


09:00 – Inauguration: Statement by the President of the Republic of Chile, H.E. Michelle Bachelet

09:45 – Adoption of the Agenda: Account by the Permanent Secretariat of the Leading group

10:00 – First working session:

Unitaid: progress achieved

United and the Millenium Foundation: Voluntary Contributions Open discussion

IFFIm

AMC

11:15 – Coffee break

11:30 – Second working session

Remittances and the link to innovative financing for development Open discussion

13:00 – Lunch

15:00 – Third working sesssion

Financial Integrity and Economic development: report by task force Bank secrecy and tax evasion: progress made Open discussion

16:30 – Coffee break

17:00 – Fourth working session International financial transactions and development : report of the task force Open discussion

18:30 – Fifth working session Hunger and poverty: nutrition mother and child Open discussion

20:00 – Cocktail offered by Mr Mariano Fernandez, Minister of Foreign Affairs, Chile

Friday, January 29, 2010


09:00 – Sixth working session Climate change and Copenhagen Climate Change and Innovative financing for development

10:15 – Seventh working session Other progress toward Monterrey Consensus/Doha and innovative financing for development, particularly SDR:s and counter-cyclical mechanisms

11:30 – Coffee break

11:45 – Eight working session: Looking ahead

12:30 – Debate on Declaration of Santiago

13:00 – Conclusions by the Presidency

13:15 – Closing of the Meeting

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