グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

FTTに関するフランス外務・財務両大臣による共同記事(ル・モンド)

2009-12-12 | 国際連帯税&リーディンググループ国際会議
               アレクサンドル3世橋からグラン・パレを望む(パリ)

ルモンド紙に掲載されたベルナール・クシュネルおよびクリスティーヌ・ラガルド経済・産業・雇用相による共同記事(2009年12月2日)


  開発のための革新的資金調達:着実に受け入れられつつある構想

          国際金融セクターに対する課税のために


近年、既存の公共資金調達を補完する革新的で安定した予測可能な資金調達という構想に対する関心が、フランス国内をはるかに超え国際的に高まっている。これは仏外務省、財務省が4年近くに渡り推進してきた構想である。

フランスは2009年春にこの構想を国際的アジェンダに復活させた。気候変動への適応に対する資金調達や、危機を終わらせるための金融セクターによる貢献に関する議論がなされ始めるかなり前のことである。

今年5月、フランスの2省の主催で59カ国、NGOおよび国際機関の代表がパリで会合した。ここでフランスは、国際連帯税の設立について評価、提案するための特別調査委員会を発足することを推進した。この連帯税は、外国為替取引、さらに広くは有価証券取引に基づく税金である。その目的は、開発に資金調達すること、および(目前に迫っている)2015年には状況を説明するよう国際社会が求められることになるミレニアム開発目標の達成に対し資金調達することである。

それ以来、フランスは絶えずこの構想を擁護してきた。ニューヨークでの国連総会では、全員が我々の提案を歓迎し、その数日後のピッツバーグでは、G20がこれらメカニズムの実現可能性を調査する必要性に同調した。また財務省コミュニティの重要な人物らがフランスの見解への支持を表明した。これは以前なら考えも及ばなかったことである。セントアンドルーズでのG20財務相会議では、英首相が金融危機解決の手段の一つとして国際金融取引への課税について発言した。

この構想は、国際金融システムの規制と開発のための国際連帯という2つの課題を結び付ける焦点となっている。

これらのイニシアティブは、気候変動への資金調達を実現したい人々と、起こり得る失敗のコストを銀行自身に支払わせることにより国際金融システムの信頼性を改善したいと強く願う人々の、両方の関心事に取り組むものである。

ピッツバーグでは、各国首脳がこれらのメカニズムの実現可能性を調査する必要性を断言した。国際通貨基金(IMF)は金融取引に対する国際課税について研究するよう依頼された。考え得る税基盤は様々ある。これらのイニシアティブおよび議論は(共通の決定につなげるためにはこれらは国際的なものでなければならない)、これら手段の構想をさらに探求しようという強い政治的意思の存在を明らかに示している。

国際金融セクターへの課税により、開発への資金調達が可能になる。その時が来れば、集団的決定が下されなければならない。我々は、過度に不安定な通貨市場を規制することを主目的としていたトービン税を提案しているのではないことを明確にしておきたい。我々の目的は、金融取引を妨害することなく開発のための資金調達を実現することである。

1000ユーロに対する5セントの税は痛みを伴うものではないが、途上国には大きな結果をもたらす。それは、このような取るに足らない税が350億ユーロもの税収をもたらすからである。

この資金は、水、食の安全保障、教育、保健という基本的ニーズを満たすために使用されなければならない。10億人が飲料水にアクセスできず、10億人が飢餓に苦しみ、貧困のために子ども達が学校に通えず潜在性を発揮できず、マラリアで毎年100万人が死亡している世の中において、これら基本的ニーズの充足は緊急課題である。この資金はまた、気候変動への適応およびエネルギーへのアクセスのために提供することもできる。

最後に、この税収は、国家予算が銀行制度のリスクにさらされるのを防ぐことにより、2008年秋の金融危機に起因する混乱を正すこともできる。

これらの理由から、革新的資金調達メカニズムは誰の目にも明らかな解決策である。新世紀の主要課題に取り組むためには、革新的資金調達はもはや単なる選択肢ではなく、明らかな解決策となっている。フランスは、今ではその有効性が立証された二つのメカニズムを導入することにより、最初からこの構想を擁護してきた。これらメカニズムとは、2006年に設立された航空券税であり、同税は、主要流行病への対策および、フランスと英国によるイニシアティブである予防接種のための国際金融ファシリティに資金供給している。

フランスは現在も陣頭に立っている。今年10月22日パリにおいて、我々は、南の国々(セネガル)、新興国(ブラジル)、主要な欧州諸国(スペイン、ドイツなど)、主要金融センターを持つ国々(英国および日本)を含む12カ国の外務相、財務相を招集した。この全員がフランスのイニシアティブを支持する声明を採択した。今後、我々は米国と中国をこのイニシアティブに参加するよう説得する必要がある。これによりフランスは再度、国際的な団結および安定を前進させるために議論とイニシアティブを擁護することにより、他国の立場を転換させることに成功することになろう。

原文:http://www.diplomatie.gouv.fr/en/france-priorities_1/development-and-humanitarian-action_2108/innovative-ways-to-fund-development_2109/currency-transaction-tax_7034/joint-article-by-bernard-kouchner-and-christine-lagarde-in-the-monde-newspaper-02.12.09_13434.html

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