グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

「グローバルな社会的対処策」(ミッシェル・バチェレ大統領)

2010-01-25 | 国際連帯税&リーディンググループ国際会議

    A global social response, by President Bachelet


                                 2010-01-05


世界に、非常に課題多き時代がやってきた。一連のさまざまな危機が起きたためである。それらの危機には、国際社会の最大限の関心と努力が払われる必要がある。食料危機の起きた2007年に続いて2008年、私たちは世界的な金融・経済危機に直面した。それは1929年以来もっとも深刻だった。偶然どちらも、別のもっと深刻で大きな危機である気候変動問題に人類は対処しなければならない、という理解の伝播と同時に起きた。

昨年、国際社会では、これらの危機に呼応した運動がかつてないレベルで盛り上がりを見せた。国際経済を再び活性化させること、また地球温暖化についての国際合意に向けた土台をうちたてることを目標に定めた運動である。その内のいくつかは、実際うまくいっている。一連のグローバルな政策をとるべく合意を結んだG-20は、それらの政策の実現により、経済危機に歯止めをかけ、そして経済を回復させることに成功した。

コペンハーゲンのサミットは、世界の関心をあつめた。結論はもっと野心的であってもよかったとはいえ、コペンハーゲンは画期的な出来事だったといえよう。気候変動問題が国際政治の中心課題となったこと、新たな拘束力のある合意締結に向けてのプロセスは継続されなくてはならないことが示されたからだ。

しかし、2009年のすばらしいできごとの上にゆうゆうとあぐらをかいているべき時ではない。

経済危機は沈静化してきたとはいえ、その社会的影響の一部は深刻なもので、今後何年も私たちの共同体の中に留まるだろう。2009年、飢餓に苦しむ人々の数は10億人を超え、また数百万世帯が貧困層に加わった。

国際社会は、経済危機に際して何兆ドルをも金融システム救済につぎこんだが、その素早さをもってすればきっと、同規模の、社会的な対処策を世界規模で実行できるはずだ。そして2015のミレニアム開発目標への深刻な脅威である社会的反転を止めることができるはずだ。

そのことを頭において、国際社会はミレニアム開発目標に到達するための努力を倍増させ、あらたな資金調達方法を模索すべきだ。

これまでに実行されている革新的なメカニズムの数々は重要である。航空券への課税のようなよい発想は、HIV/エイズ、マラリア、肺炎に苦しむ数十万人の子どもたちに対する数億ドル相当の医薬品の配布につながった。ミレニアム財団-その資金は、航空券をオンラインで購入する際に、消費者が善意で拠出する-の設立で、その影響力がもっと強まることが期待できる。

とはいえ、これらの創造的な金融メカニズムは、私たちがミレニアム開発目標に到達するにはまったく程遠いものである。ミレニアム開発目標の実現のための資金の大部分は、途上国の「公的開発援助」計画によってもたらされなければならない。その額は、ミレニアム・サミットで約束されたように、2015年までに途上国各国のGDPの0.7%に届くべきである。だが、それでも不十分であることがわかっている。

そのようなわけで、開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループが率いる国際的な議論と行動は、あまりにも重要であり、緊急である。

したがって、2010年1月28-29日にチリのサンチャゴで行われるリーディング・グループの次回会議には、たいへん意味がある。チリ政府はこれを支持しており、幅広い議論を期待している。数カ国が案を練ったすごい新提案を抱えて、みなさんの到着をお待ちしている予定だ。

国際的な危機という枠組みの中での飢餓と貧困に対する継続的な闘いはつづく。サンチャゴでの会議はその中での重要なイベントになる可能性を秘めている。2010年が、ミレニアム開発目標に到達するための闘いにおける転換点にするためのさらに幅広い国際的な取り組みの一部に、私たちもなりうる時である。

人々の希望をふみにじらないようにしようではないか

Michelle Bachelet
President of the Republic of Chile

原文: http://www.leadinggroup.org

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