グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

貧困問題に取り組む通貨取引専門会社の試み

2007-05-29 | トービン税/通貨取引税/金融取引税
英紙「ガーディアン」は、通貨取引専門会社のINTLが5月21日より1週間自社の取引に課税するという史上初の通貨取引税の試みを伝えている。


           貧困問題に取り組むための通貨税


ラリー・エリオット(Larry Elliott)
2007年5月21日(月)
ガーディアン紙

ロンドンでは今日、一社が自社での取引に1週間課税するという、外貨取引への課税としては初めての試みがスタートする。米国人経済学者であるジェームス・トービン(James Tobin)が「投機の車輪に砂を入れる(投機を妨げる)」ための提案を行って以来、何年間も同提案実現のキャンペーンが行われてきたが、通貨取引専門会社のINTL(*訳者注)は同スキームを実験的に実施すると述べた。

INTLは自社での取引に0.005%を課税する。1週間の期間中に5000ポンド~10,000ポンドの税収となると予想されており、この税収は開発のための義援金となる。

1970年代初めにトービン氏が課税案を提議して以来、反対勢力は、外国為替市場における取引の監視が難しいと考えられていること、また混乱を引き起こす投機と闘うのに十分な税率の課税を導入すれば市場参加者はより規制の少ないオフショアに逃げてしまう恐れがあることに議論の焦点を当ててきた。

しかし同税を推進する活動家らは、電子市場が完全に確立されたことによって全ての取引を監視できるようになったと考えている。彼らはまた、通貨取引税の妥当性を確保するには、同税を低い税率に抑えること、またその税収を貧困問題に取り組むために使用することが最も適切な方法だと考えている。

Stamp Out Povertyのコーディネーターであるデービッド・ヒルマン(David Hillman)は次のように述べた。「同案の成功の鍵はその単純さにある。通貨取引はほぼ完全に電子化されている。このため世界で最も貧しい国々の貧困緩和を支援するために、通貨取引からほんの少しの額をすくい取ることは容易に実施できる。INTLのスキームは、これが有効な実現できる案であることを富裕国の政府に対して証明するのに大きな役割を果たす」。

INTLのディレクターであるフィリップ・スミス(Philip Smith)は、次のように述べた。「私たちは、利益への影響を最小限に抑えつつ貧しい国の人々の生活に有益な貢献をすることができる。私たちが取引を行えば行うほど、途上国に提供できる利益が増える。もし私たちが通貨取引を通して援助資金を生むこの新しい方法の実現に向けた梯子(はしご)の一段目を担う役割を果たせたならば、私たちの企業は非常に誇りある企業となることができる。」
(翻訳;オルタモンド翻訳チーム)

原文:http://business.guardian.co.uk/story/0,,2084202,00.html

*INTL:「International Assets Holding Corporation (INTL) は、選び抜かれた国際市場に専門化した独立の株式公開された金融サービス企業です。INTLはその資本と専門知識を活かし、国際金融商品の市場生成と取引を通し、卸売の国境を越えた金融フローの促進に努めています」(ウェッブサイトより)。http://www.intlassets.com/default.aspx

またINTLは20年にわたりとくに国際援助・開発・慈善組織を対象に外国通貨取引を活発に行ってきたGlobal Currenciesと合併し、INTL Global Currenciesが誕生し、包括的な外国為替・資金運用能力が可能となり、「当社の顧客には275以上の援助、開発に取り組む大規模な組織、NGO、慈善団体に加え、これらの国々において事業を行う大規模な多国籍組織や銀行が含まれます」とも述べている。http://www.intlassets.com/fx.aspx

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