鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第三十一話

2019-01-19 23:19:07 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第三十一話


ユリーシャはイスカンダルへと去って行った。



「提督。イスカンダルのバックアップが得られなくとも、もう後戻りは出来ないかと……。」
エリーサはそうディッツに告げた。

顎の下に軽く握った拳をあてがい、瞳を閉じるガル・ディッツ提督は、「うむ。」とだけ返事を返した。
「コツ。コツ。」とブーツの踵(かかと)と床に打ち付ける音色を響かせ、1人の将校がガルの背後に近づく。

響く音色にガルは、ゆっくりと閉じた瞳を開き、後ろを振り返った。

「提督。」ガル・ディッツ提督が振り返ると同時にダス・ルーゲンス中将の右腕的存在とされるメーデュース大佐が声を掛けた。
※ガミラス軍・辺境警備第38任務部隊ダス・ルーゲンス座乗艦:装甲突入型ゼルクード:ケルベロスの護衛艦艦長。

「……。メーデュース大佐。」
大佐が此処に現れた事で、どんな状況かは察しが着いた。

「沈んだのだな。」

「戦況は益々、悪くなるばかりだな。」
「此方もイスカンダルの援護はこれ以上は、望めん状況となった。」
「だが、この惑星(ほし)の開拓は続け、出来る限り完成を急ぐ。」
「大佐には、防衛任務に当たって欲しい。」

「了解であります。」

「うむ。」
「艦内ではあるが、食事をしながらこれからについて少し、話でもしないかね?」

ガルと着任したばかりのメーデュースは、上級士官用ビッフェバーへ足を運んだ。


◆◆◆◆




「古代はクラウスを止めようとしているようだ。」
私は決めた。
ミルだけを仕留めると。

私は通風口から降りようとしたその時、古代が通り過ぎたその後を追うように森雪の姿が視界に飛び込んだ。
私は森雪が通過したと同時に、通風口から降り、森雪に付かず離れず跡を付けた。

森雪は何の躊躇いもなく、ブリッジの扉を開けた。
中に居る三人が一斉に開いた扉に視線を送った。

「タンッ!タンッ!」
と乾いた音と硝煙が纏(まと)わり付く。

銃声が二発、私の耳に飛び込んで来る。
私は無意識にブリッジへ走りだし、中へ飛び込んだ。

飛び込むと同時に私の視界には、膝から崩れるように床に倒れる森雪、その森雪を庇うように腰を下ろし銃を構える古代。
脇腹を押さえ片膝を付くアベルトと、脚から血を流すクラウス。
そして、口から血を流し、仰向けに倒れるミル。
ミルの手にはしっかりと銃が握られている。
まだ、逝き絶えてはいないようだ。
最後の力を振り絞り、銃を射とうしている。
私は何の躊躇いもなくミルの首を跳ねた。



血しぶきに驚く古代が告げて来る。

「そこまで……そこまでしなくとも奴は死にかけていた。」

「自爆されなくて良かっただろ?」私は目を細め、横目で古代を見ながら、そう言い放った。

「………。」
古代は返す言葉を失っていた。

私はアベルトのそばに歩み寄る。
私を見上げるアベルト・デスラー。

「地球から、ヤマトからそして、クラウスから手を引け!」
私はアベルトの首に刃先を当てた。
アベルトは口角を上げるだけで何も語らない。
同時に、古代のインカムに飛び込むヤマト艦内は鎮圧したと。
私はアベルトの首から巫女の剣=諸刃の剣(つるぎ)を退いた。
古代は森雪を、私はクラウスを抱え、デウスーラーのブリッジをあとにしようと歩き出した。

「ランハルト…。今度、出会った時は……躊躇うな。」
アベルトはそう告げるとデウスーラーの起爆スイッチを押した。
機関区の辺りから爆発音が響いて来る。

「古代!急いだ方がいい!」

「それから、桂木いや、サーベラー。済まないが止血を手伝ってくれないか。」
私の肩に腕を回すクラウスが云った。

私は巫女の鎧=諸刃の鎧の一部を身体から剥がし、クラウスの左太腿、銃に射たれた場所にあてがった。
液体記憶合金がクラウスの傷口を覆う。

「ありがとう。」と告げられた。

彼、クラウスからこの言葉を聞くとは、おもっていなかった。

「その鎧も剣(つるぎ)もゼムリア特有の物なのか?」

「そうよ。」

「ゴレムを起動させれば、サーベラー。君も消えてしまうのでは?」

「そうね。所詮、私も造られし者。」
「でもね。ゴレムは新たな生命を宿した者は除外するの。」
「"人間"として産まれて来る者とそれを育む者は、抹消しないのよ。」
「たとえそれが神話に出てくるような魔物の姿をした人間でもね。」

「………。」
「……それで、あの時、山本玲に助けられ、自ら独房に入った時に俺に声を掛けたのか?」

「うふふ。どうかしらね。」

クラウスは、それ以上何も語る事なく再び、私の肩に腕を回した。

「とにかく急ごう。直にデスラーの艦隊が戻って来る。」

私たちはヤマトに帰投、森雪を抱えた古代は、待機している医療班と、そのまま医療室へと向かった。
私とクラウスも傷を癒す為、医療班から応急用のボックスを一つ、譲って貰い空いている独房へ向かった。





「手当てしてあげるから服、脱ぎなさいよ。」
「大丈夫よ。殺さないから。」

渋るクラウスは止血用に被せた液体記憶合金を外そうと、力任せに外した。
ズボンが敗れ蒼い肌がさらけ出る。
幸い弾は貫通している。
私は応急用ボックスから消毒液を取り出し、傷口の回りから乾いた血液を拭き取り、傷口を消毒した。
クラウスは眉を潜め、歯を食い縛る。
薬剤を塗り、柔らかい布をその上からあてがい止血、包帯を巻いた。
痛み止めと化膿止めを飲ませ、腰の下に枕をあてがい応急を終わらせた。

「あとはDr.佐渡に看て貰えば完璧ね。」

三時間後、森雪の緊急手術は終わった。
報告では一応、油断は出来ないが成功との事であった。
私はクラウスを連れ、医療室へ向かった。


第三十二話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。

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