Long-term outcome of Q fever endocarditis: a 26-year personal survey
Lancet Infectious diseases
Vol 10 August 2010
Q 熱はCoxiella burnetiiによる人畜共通感染症である。
感染性心内膜炎はQ熱の最も重篤な合併症であり、急性Q熱の1-5%、慢性Q熱の60-80%に合併する。
ある地域では感染性心内膜炎の5%を占め、血液培養陰性の感染性心内膜炎の50%以上を占め、Bartonella属、Brucella属、Tropheryma whipplei, Mycoplasma属, Legionella属より多い。
C.burnetiiは細胞内グラム陰性桿菌、単球、マクロファージで増殖する。
C.burnetiiはphase vriationを呈することも特徴である。
Phase I抗原は感染性が強くsingle bacteriumでも感染性があるのに対して、Phase II抗原は感染性がない。
急性Q熱はPhase II抗原に対する反応で、慢性Q熱はPhase I抗原に対する反応である。
Phase I 抗原が800以上では慢性感染を示唆。感度98%、特異度100%
細胞内寄生菌のため1960、1970年代には2/3が死亡
推奨治療はdoxycycline+hydroxychloroquine18ヶ月 から3年だが、理想的な治療期間はない。
(長期間の治療を必要とする。)
方法
French National Referral Centre for Q feverで1983年5月-2006年6月にフォローされた症例。
感染性心内膜炎の診断:Duke criteria(phase I antigen 800以上 又は血液培養陽性を含む)
経胸壁超音波が陰性であれば経食道超音波
PCR陽性(血液、体液、弁)もMajor criteriaとした。
全例doxycycline 100mg 2錠+ofloxacin, rifampicin,又はco-trimoxazole
1999年からは全例doxycycline+hydroxychloroquine
Phase I IgGが800以下まで減少した事を血清学的治癒
Follow
最初の6ヶ月は1ヵ月毎 1年は3ヵ月毎 2-3年は6ヶ月毎 その後は1年毎
再燃は少なくても2つのサンプルでPhase IgG800倍以下が確認された後、2つ以上のサンプルで800以上となった場合。
104名(1983年5月-2006年6月)
平均フォロー期間は100ヶ月(37-310ヶ月)1名は3年以内のため除外
平均年齢53歳 性別差無し
6名は無症状
2名でphase I IgG titerが800倍以下であったが、疣贅+血清PCR陽性であり診断
血液、血清PCRは33%(23/70)で陽性。血液培養は14%(10/74)で陽性
2名でStreptococcus mitis, Streptococcus gallolyticusのco-infection
発熱:77% 体重減少50% 弁破壊48% 感冒症状47% 心不全46% 脾腫22% 神経学的合併症18%
塞栓現症18% 肺、胸膜病変17%、肝腫大12% 消化管器症状7% 非弁性心臓病変5% 足の動脈塞栓3%
腎病変3% 無症状6%
弁:僧帽弁 59% 大動脈弁53% 三尖弁5% 肺動脈弁9% 複数弁17%
超音波:弁不全の発見、増悪 75% 疣贅28% 弁の肥厚14% 石灰化7% 膿瘍7% 硬化の発見、増悪 3% paraprosthetic leakage 3%, prosthetic avulsion 3%, 心嚢液貯留3%, valvular minimal alteration 2%、mitral cordae tendinae rupture 2%, 大きな僧帽弁穿孔1%、人工弁の存在を除き異常なし 4%
抗菌薬は1999年以前はquinolonesやrifampicinが一般的にdoxycyclineと併用して用いられたが、2000年以降は全てdoxycyclinとhydroxychloroquineで治療。3名では血清学的に無効であったためtelithromycinを加えた。1名で紅斑のためdoxycyclineを中止。3名で重症の紅斑、視野欠損のためhydroxychloroquineを中止
3年死亡率は7%。5年で12%。10年で27%。心内膜炎関連死亡は3年で4%。5年で10%。10年で19%。
60%で血清学的治癒。平均血清学的治癒期間は41か月(6-175か月)。36%では3年で治癒。46%は5年で治癒。69%は10年で治癒。6%で5年以内に血清学的に再燃。
Q熱心内膜炎の死亡率は1970年代の60%から1990年代には5%に低下。
1年間でPhase I抗原に対するIgG, IgAが1/4以下に減少した株では予後がよい
最近まで血清学的治癒はPhase I抗原に対するIgGが800以下とされていたが、IgGが高値でも1/4以下に減少しPhase II IgM抗体が完全に陰性であれば予後がよい。
Lancet Infectious diseases
Vol 10 August 2010
Q 熱はCoxiella burnetiiによる人畜共通感染症である。
感染性心内膜炎はQ熱の最も重篤な合併症であり、急性Q熱の1-5%、慢性Q熱の60-80%に合併する。
ある地域では感染性心内膜炎の5%を占め、血液培養陰性の感染性心内膜炎の50%以上を占め、Bartonella属、Brucella属、Tropheryma whipplei, Mycoplasma属, Legionella属より多い。
C.burnetiiは細胞内グラム陰性桿菌、単球、マクロファージで増殖する。
C.burnetiiはphase vriationを呈することも特徴である。
Phase I抗原は感染性が強くsingle bacteriumでも感染性があるのに対して、Phase II抗原は感染性がない。
急性Q熱はPhase II抗原に対する反応で、慢性Q熱はPhase I抗原に対する反応である。
Phase I 抗原が800以上では慢性感染を示唆。感度98%、特異度100%
細胞内寄生菌のため1960、1970年代には2/3が死亡
推奨治療はdoxycycline+hydroxychloroquine18ヶ月 から3年だが、理想的な治療期間はない。
(長期間の治療を必要とする。)
方法
French National Referral Centre for Q feverで1983年5月-2006年6月にフォローされた症例。
感染性心内膜炎の診断:Duke criteria(phase I antigen 800以上 又は血液培養陽性を含む)
経胸壁超音波が陰性であれば経食道超音波
PCR陽性(血液、体液、弁)もMajor criteriaとした。
全例doxycycline 100mg 2錠+ofloxacin, rifampicin,又はco-trimoxazole
1999年からは全例doxycycline+hydroxychloroquine
Phase I IgGが800以下まで減少した事を血清学的治癒
Follow
最初の6ヶ月は1ヵ月毎 1年は3ヵ月毎 2-3年は6ヶ月毎 その後は1年毎
再燃は少なくても2つのサンプルでPhase IgG800倍以下が確認された後、2つ以上のサンプルで800以上となった場合。
104名(1983年5月-2006年6月)
平均フォロー期間は100ヶ月(37-310ヶ月)1名は3年以内のため除外
平均年齢53歳 性別差無し
6名は無症状
2名でphase I IgG titerが800倍以下であったが、疣贅+血清PCR陽性であり診断
血液、血清PCRは33%(23/70)で陽性。血液培養は14%(10/74)で陽性
2名でStreptococcus mitis, Streptococcus gallolyticusのco-infection
発熱:77% 体重減少50% 弁破壊48% 感冒症状47% 心不全46% 脾腫22% 神経学的合併症18%
塞栓現症18% 肺、胸膜病変17%、肝腫大12% 消化管器症状7% 非弁性心臓病変5% 足の動脈塞栓3%
腎病変3% 無症状6%
弁:僧帽弁 59% 大動脈弁53% 三尖弁5% 肺動脈弁9% 複数弁17%
超音波:弁不全の発見、増悪 75% 疣贅28% 弁の肥厚14% 石灰化7% 膿瘍7% 硬化の発見、増悪 3% paraprosthetic leakage 3%, prosthetic avulsion 3%, 心嚢液貯留3%, valvular minimal alteration 2%、mitral cordae tendinae rupture 2%, 大きな僧帽弁穿孔1%、人工弁の存在を除き異常なし 4%
抗菌薬は1999年以前はquinolonesやrifampicinが一般的にdoxycyclineと併用して用いられたが、2000年以降は全てdoxycyclinとhydroxychloroquineで治療。3名では血清学的に無効であったためtelithromycinを加えた。1名で紅斑のためdoxycyclineを中止。3名で重症の紅斑、視野欠損のためhydroxychloroquineを中止
3年死亡率は7%。5年で12%。10年で27%。心内膜炎関連死亡は3年で4%。5年で10%。10年で19%。
60%で血清学的治癒。平均血清学的治癒期間は41か月(6-175か月)。36%では3年で治癒。46%は5年で治癒。69%は10年で治癒。6%で5年以内に血清学的に再燃。
Q熱心内膜炎の死亡率は1970年代の60%から1990年代には5%に低下。
1年間でPhase I抗原に対するIgG, IgAが1/4以下に減少した株では予後がよい
最近まで血清学的治癒はPhase I抗原に対するIgGが800以下とされていたが、IgGが高値でも1/4以下に減少しPhase II IgM抗体が完全に陰性であれば予後がよい。
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