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ARDSに対するうつ伏せ寝

2009-11-24 | 呼吸器・集中治療
Prone positioning in patients with moderate and severe acute respiratory distress syndrome
A randomized controlled trial
Paolo Taccone, MD et al

・この研究以前においてARDSに対するうつ伏せによる呼吸法管理は様々な研究において効果が指摘されていた。 
・一方で質の高い研究や有意差を伴った研究成果は乏しく今回、臨床研究 

方法 
・ARDSを仰向けとうつ伏せで、Radomized及びprospectiveに評価。 
・イタリア23、スペイン2の集中治療施設 
・適応:ARDS (PaO2/FIO2 200mmHg以下)、PEEP 5-10cmH2Oにコントロール 
・Moderate群:PaO2/FIO2 100mmHg以上200mmHg以下
・Severe 群:PaO2/FIO2 100mmHg以下
・除外基準:16歳以下、ARDS発症後72時間以上経過、臓器移植後、うつ臥せ禁忌(頭蓋内高血圧症、脊椎、骨盤骨折)

手段 
・1日最低20時間以上うつ伏せ寝。(呼吸不全が改善するまで)又は28日間経過するまで。
・仰向け寝群ではうつ伏せ寝を生命の危険のある低酸素血症時(FiO2 1.00でPaO2 が55mmHg以下でPEEPが15cm H20以上の時のみ使用 
・TV 最大8ml/kg (理想体重)、気道内圧を30cmH20以下、PaO2 70-90mmHg  呼吸数Phを7.30-7.45になるように維持)
・Primary outcome: 28日時点での死亡 
・Secondary outcome: ICU退室時、6か月での死亡率、SOFAスコア(28日時点)、呼吸器離脱の日数 

結果 
・2004年2月-2008年6月に344人がRandomized
・192名はmoderate hypoxemia 150名がsevere hypoxemia

・169人がうつ伏せ、175人が仰向け 
・169人中134人がランダム、35名はランダムを受けていない。(重度の低酸素血症群 13名、広範囲の顔面浮腫7名、血液浄化療法の機能不全3名、エラー1名、その他11名)
・175名中174名がランダム、1名はエラー。174名中20名はレスキュー手段としてうつ伏せ寝の処置を受けた。

死亡率
・ICU退室時、28日後、6ヶ月後で両者間で差は無し。Severe hypoxemiaにおいて有意差はないが、うつ伏せ群で10%死亡率改善(0.83:0.63-1.10 p=0.28)
・その他、SOFAスコアや人工呼吸器離脱日数で差は無し 

合併症:うつ伏せ寝群で合併症は有意差をもって多い(鎮静剤の増量、麻痺、血行動態不良、装置の外れ)
159/168 94.6% vs 133/174 76.4% p<0.001 <br>

コメント 
・今回の研究で死亡率改善効果は認められなかった。

制限 
・重症度をPEEP5-10cmH2Oでの動脈血酸素化で分類し、PEEP10cmH2O以上群では10cmH20に下げ評価。実際に低PaO2群では、アーチファクトの可能性があるだけでなく、PaCO2の高値、分時換気量の増加、臨床的重症度が高く、より高い死亡率がある。 
・72時間の登録に疑問(早期介入程、予後改善効果がある) 
・システム化された登録基準ではなく、除外基準である。 
・数が少ない。

ARDS全例では行う必要がないことは改めて確かめられたが重度の低酸素血症例に対しては追加の検証が必要である。

A trial of Darbepoetin Alfa in Type 2 Diabetes and Chronic Kidney Disease
Marc A. Preffer M.D., Ph. D et al
NEJM
内容は省略

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