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Loa Loa 感染症での単剤DiethylcarbamazineもしくはIvermectin治療後の反応

2017-08-03 | 微生物:ウイルス その他
Posttreatment Reactions After Single-Dose Diethylcarbamazine or Ivermectin in Subjects With Loa loa Infection
Jesica A. Herrick et al Clinical Infectious Diseases 2017;64(8):1017–25

・場所はカメルーン(Akonolinga)で最も流行地域(28%)で、健常人でLoa Loa microfilariae(20-2000 mf/ml)がある人に対して、単剤DiethylcarbamazineもしくはIvermectin単剤投与を行い、治療反応性を評価。
・6名ずつ、計12名(2名ずつMansonella perstansに感染)に対して投与した結果、全員で何らかの症状が出現し、頭痛(8名)、掻痒感(7名)が最も多かった。重篤な副作用はなく、DEC群で8時間、IVM群で24時間での出現が多かった。
・いずれの群でも寄生虫数の減少が認められたが、DEC群で顕著であった。Mansonella perstansの減少は認められなかった。好酸球はDEC群において、24時間で一過性に減少、IVM群で一過性に上昇した後に、DEC群では5日目、IVM群では9日目にピークをむかえ上昇した。

写真引用元:https://search.yahoo.co.jp/image/search?p=loa+loa&aq=-1&ai=IVwG6bHnSKmEmpY3QvRNFA&ts=1506&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa#mode%3Ddetail%26index%3D2%26st%3D0

Loiasis :
・ロアロアによる感染
・中部~西アフリカで流行しており、Chrysops(アブの一種)をvectorとする。
・幼虫→成虫になり軟部組織に数ヶ月に渡り潜む。
・血中へのmicrofilariaeを引き起こすが、多くは無症状で、主な症状としてはCalabar swelling (血管浮腫様症状で顔・四肢)で数日から数週間。もしくは眼の結膜に迷入する。
・好酸球の上昇が認められるため、症状とあわせて診断。血清診断は困難。昼間に
末梢血中に出現するミクロフィラリア(Mf)を検出する
・治療:

本邦のガイドラインより転載:
① ジエチルカルバマジン(スパトニン 50 mg錠:田辺三菱)
患者のMf数1~< 2,000/mlの場合、初回に3 あるいは 6 mg/日(分2~3)、翌日より投
与量を毎日倍増させ、7~8日をかけて約400 mg/日(分2~3のまま)とし、以後2~3週間
継続する。経過を観察し、必要があれば上記のコースを繰り返す。なお、Mf陰性の場
合は、初回50 mg/日より開始する。

② イベルメクチン(ストロメクトール 3 mg錠:MSD=マルホ)
Mf数2,000~8,000/mlの場合、150 μg/kg を1回投与。 1~3か月間隔で繰り返す。Mf数< 2,000となった場合は、上記のDEC治療を考慮してもよい。

③ アルベンダゾール(エスカゾール 200 mg錠:GSK)
Mf数 > 30,000/mlでは、200 mg を 2回/日、21日間投与する。
これとは別に、①のDEC治療が奏功しない場合には③を試みる。

Mf数8,000~30,000/mlでは、副作用に細心の注意を払いつつ②を、あるいは③を試みる。
③を試みた場合は、6か月時点でMf数の60%減少を目安に②に切り替える。

米国:Diethylcarbamazine(8-10mg/kg)を21日間、40-50%の人では再治療が必要である。
→microfilariaeになっている人は、治療により治療後、脳症の高いリスク因子である。(>2500 microfilariae/ml)

予防手段:
・流行地域へいく場合にはdiethylcarbamazineの300mg毎週を服用すべきである。

一般の副作用対策:
(発熱、頭痛、掻痒、血管性浮腫など)にはステロイドや抗ヒスタミン剤が併用される。

参考文献
Mandell et al. Principles and practice of infectious diseases, Eighth edition.
寄生虫症薬物治療の手引き. 日本寄生虫学会
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